無縫地帯

お名前.comがやらかした先日の件

どうも名簿屋方面に情報がすでに流れてしまったっぽい名前.comのドメイン利用者情報漏洩事件ですが、GMOにはもちろん再発防止をお願いするとしても、ユーザー側も最悪を常に想定して準備すべきですね。

山本一郎です。今年も残すところあと2週間となりましたが大変ですね、と毎年のように言っているような気がして、進歩のないことに気が滅入る所存です。

ところで、世の中何が起きるか分からないもので、ドラマの筋書きとして考えれば、あまりにあり得なさすぎて説得力に欠けるため誰も採用しそうになさそうな、そんなどうしようもない人為的ミスが現実には起きてしまうということを、まざまざと見せつけてくれる事態が発生しておりました。

IT企業:メール16万件、別人に誤送信(毎日新聞 14/12/4)

IT企業「GMOインターネット」(東京都渋谷区)は4日、インターネット上の住所に当たるドメインの登録サービス「お名前.com(ドットコム)」で、会員向けメールマガジン16万4650件分を誤って別人に送信したことを明らかにした。メールには会員IDと個人会員の名字や法人名、取得したドメイン名が最大30件まで記載されていた。毎日新聞
これはやってしまいましたね。どこの誰がどんなドメインを運営しているかといった情報が、赤の他人に向けて合計16万4650件もばらまかれてしまったという、場合によってはかなり致命的とも言えそうな事故となっていました。

お名前.com ひどいなこれ。
隠れてドメイン運営してた人は今頃真っ青だ。彷徨狸【タヌキ横暴注意】
社会的にアウトなサイト副業で運営してたのバレて電車にGMOする奴出そうだなこれカロリコン・カクーラー
あまり想像したくないことですが、知られてはまずいようなドメイン運営をしていた個人の情報が、たまたま悪意のある第三者へ流れて、それをネタに恐喝事件に繋がるなどということも可能性としては十分にあり得そうです。なにせ16万件超のメール誤配が現実に起きてしまっているので。

やらかしてしまったお名前.comでは以下のようなリリースが公表されています。

お名前.comメールマガジン誤配信に関するお詫び(お名前.com 14/12/4)

今のところ同社で実施している対応は「対象のお客様には、メールにてお詫びと当該メールの破棄・削除をお願いさせていただきました」となっていますが、単にメールの破棄・削除をお願いするだけではなんとも心許ないものがあります。仮にもし悪意のある輩がいれば、このようなお願いは全く通じないことになるでしょう。
実際に、さっそく名簿屋さん界隈ではちょっとした騒ぎになっているようで注意が必要なレベルになっています。何らか事件が起きるとすると半年後とかそのぐらいなのかもしれませんが。

とりあえず同社では「今後は二度とこのような事態が発生しないよう、再発防止策について、本ページにてご報告させていただきます」としていますが、なぜこのような通常では起こり得ないような事態が発生してしまったのか、その辺りの経緯も詳らかに公開してほしいところであります。正直、発表された内容だけでは何が起きてどう収拾するつもりなのかいまだに良く分かりません。

なお、今回の件で被害に遭われた方がブログで以下のような報告をされています。

お名前.comでメール誤送信による個人情報漏洩が発生(別館「S3日記」 14/12/4)

廃止する方法が判りませんし、登録してあるクレジットカード情報を削除する方法も判りません。というか、そういう機能がありません。お名前.comを運用しているGMOインターネットさんには早急に機能追加をして欲しい物です。別館「S3日記」
どうやら、お名前.comのサービス利用時に登録する「お名前ID」というユーザーIDは、今のところ紐付けなどの変更は出来ても廃止する方法が提供されていないようです。この対応は早急になされないとまずい感じでしたが、もう対策されているのでしょうか。

いずれにしても、Webサービス/クラウドサービスにおいて、ユーザー情報の管理が杜撰なものを利用してしまった場合、こんなとんでもないことが起きる可能性があるということを改めて知らしめてくれた事例として、今回のお名前.comがやらかした件はより多くのネットユーザーによって広く共有されるべき情報ではないかと考える次第です。

これはGMOに「二度とやらかすな!」と言いたいわけではなく、人が集まってできるのが組織なのですから、何らかこういうミスは起きる前提でリスク管理をユーザーもしっかりしておかなければならない、ということでもあります。「あってはならない」のだけど「起きることはある」のが有事です。もちろんミスがないに越したことはないのですが、安全神話に彩られた原子力発電所の如く何事にも完璧はないのだ、ということで注意と用意は怠らずに日々暮らして強く生き抜いていきたいと思う次第であります。

来年も「あー、もうあと2週間かー」とかのんびり言えている年末が迎えられるといいっすね。