小渕優子経済産業相の辞任とあわせて松島みどり法相の交代論が浮上(追記あり)
経産相辞任を申し入れた小渕優子女史ですが、これを機に問題閣僚を一緒に処理する話が持ち上がっているようで松島みどり法相も更迭の構えですが、それ以前に女性議員の育成に課題があったのではないでしょうか。
山本一郎です。公私共に女性には頭が上がりません。
ところで、今日深夜、ロイターが不思議な感じの観測記事をあげていたので「またまたご冗談を」と思っていたら、自民党筋が本当にそういうことを考えていることが分かって驚いています。まあ、一時的なダメージになれども、失血は最小限に抑えたいという話なのかもしれませんけれども。
松島法相の交代論が急浮上(ロイター14/10/20)
この「もっと大きい問題も起きてしまったのだから、この際他の問題案件も一緒に処理してしまおう」というのは妥当なのか私には分かりません。が、「そもそも閣僚を務めるに足るだけの女性議員自体の絶対数が少ないこと」が女性登用を戦略的に仕掛ける際の最大の問題点であったということが改めてバレてしまったわけであります。男女平等を目指して女性を起用しようにも、任に堪えるまともな女性が見当たらないという件については、やはり将来を見越して一定数の女性議員の登用、育成を積極的に仕掛けることの大切さというのはあるんじゃないかと思うわけですね。
とはいえ、政治の世界はキャリアが大事であり、女性がのしあがっていくには何らか男社会で響くに足る何かを持っていないといけないわけです。翻って、女性が政治で活躍する日本を作ろうと言う点においては、それこそマドンナ旋風が巻き起こった1989年の参議院選挙まで遡ってあれから25年経過しても政治を任せられそうな女性議員があまり輩出できていないことは日本の不明でもあります。いったいあの熱気は何だったのでしょうか。
むつかしいのは、公共部門でも政治部門でも民間でもなかなか女性登用は進まないけど、それでも頑張っている体は作らないといけないので、数合わせ的に能力的、あるいは経歴的に課題を抱えている人でも女性を昇進させてポストをつけてしまった結果、実はその人はまだ能力的に不足していて火事を起こしてみんなあたふたする、という部分です。それこそ、小泉政権下で田中真紀子女史が外相に就任した折、隣の国から金正男さんが来日したときの対応などを見ておりますと、適材はもちろん適所を宛がうことも結構難しいということに思い至るわけであります。
この前編集者さんたちと話していて、やはり似たような議題として「何か経済的なイベントをやるに当たって、壇上できちんと話のできる女性経営者がいない」という問題があると伺いました。日本の何処を見ても女性の社会進出は叫んでいながら、依然として女性の姿が表舞台にしっかりと見受けられないというのは何か別の問題が起きているんじゃないかと思うのですがどうでしょうか。別人を立てようにももう女性議員で立てられそうな人が払底しているというのが凄いことなんじゃないかと。
というか、辞任するなら先に法相の松島みどり女史のほうじゃないのと思ったんですけれども。
(追記12:38)
この記事が公開されたすぐ後に、松島女史の辞任が報じられてしまいました。観測記事が出てからもう一日二日粘ると期待していたのが、あっさり裏切られた格好でありますが、一方、小渕女史の元秘書であった群馬県中之条町長の折田謙一郎さんも辞職の方向だそうです。いろいろ動きがありますね。
松島法相 辞任の意向固める(NHKニュース 14/10/20)
民主党の階猛副幹事長は、17日、公職選挙法違反の疑いで松島大臣の刑事責任を問うように求める告発状を東京地方検察庁に提出しました。小渕氏元秘書の群馬・中之条町長が辞任「報告書を作成」(朝日新聞14/10/20)
こうしたなか、松島大臣は、告発状が受理されれば、法務大臣の立場にありながら、捜査の対象になることなどから、国会審議や法務行政に、これ以上、影響が出ることは避けたいなどとして閣僚を辞任する意向を固めました。
松島大臣は、20日にも辞任の意向を安倍総理大臣に伝えるものとみられます。NHKニュース
折田氏はコメントを発表し、後援会や自民党支部など3団体の会計は「私が全部チェックし、報告書を作成し、提出している」と説明した。取材に対しては、「小渕氏は何も知らないし、悪くない」と話した。撤収は一気に、という方針であることは間違いなさそうですね。戦術的には正しいのではないかと思います。一方で、戦略的には「他にいないのか」という話になると思うので、悩ましいところですね。
折田氏は、故小渕恵三元首相、優子氏の秘書を長く務め、2012年1月から町長を務めている。小渕氏元秘書の群馬・中之条町長が辞任「報告書を作成」(朝日新聞)