湯沢高原でベビーカー乗車拒否を喰らった思い出の越後湯沢セキュリティワークショップ
湯沢高原へ子供3人連れて遅れ馳せの家族旅行を楽しんでいたら、現地でまさかのベビーカー乗車拒否に遭うなど楽しい思い出に恵まれた越後湯沢のセキュリティワークショップを少し振り返りたいと思います。
山本一郎です。ご無沙汰でありますが、別に何かあったわけではありません。
単に忙しかったんです。
というのも、今年の夏は山本家三男の長期入院などあり、家族旅行などとてもではないけどできる状況にありませんでして。退院後も思い出したころに発熱などあり経過観察などしていて、旅行も出張も全部キャンセルして一家総出で看病したりしておりました。
【吉報】三男、危地から生還のご報告(やまもといちろうBLOG 14/8/3)
【御礼】三男が無事退院&全快いたしました(やまもといちろうBLOG 14/8/31)
このたび、越後湯沢でのセキュリティワークショップにお呼びいただいたということで、いそいそと出張の準備をしていたところ、「越後湯沢、楽しそうですね」という家内の独り言がありまして…そこからもう、季節外れの夏休み家族旅行がスタートするわけですよ。いいことじゃないですか。
[[image:image05|center|大自然の中で貸しチャリを楽しむ子供たち。]]
実のところ、越後湯沢は何度か家族で足を向けており、北海道出身の家内の希望もあり子供がもう少し大きくなったらスキーをやらせたいという思いもあって、値ごろなマンションを越後湯沢かどっかで買おうかとか計画していたわけです。
[[image:image06|left|みんなで乗れるゴーカートとかもあるよ。]]
で、湯沢高原。風光明媚だし、季節折々の景色があって、とても気持ちの良いところなんですよね。夏はハイキングやゴーカート、アスレチックにちょっとした植物園にボブスレーなど、レクリエーションやアトラクションも数多くありますし、冬はもちろんスキー場になります。素敵なところですので、SLばんえつ物語号とか子供と乗りに行くときは、越後湯沢に前泊したりしてリピートしておったわけです。
なにしろ高原ですので、ロープウェイに乗って上まで行った後は、いたるところで急な勾配があるので無料のシャトルバスや、300円のリフトなどを乗り継いで、ヤギを見たりご飯を食べたりします。それが楽しいんです。山本家の三男は歩き始めたとはいえ、まだ数歩ですんでベビーカーのご厄介にならざるを得ないわけなんですけど。
[[image:image04|left|湯沢高原で飼われているヤギとの触れ合いもある。これはこれで楽しい。]]
ここで事件が。
遅めの昼ごはんでもロープウェイの駅近くのイタリアンで食べてから東京へ帰る新幹線に乗ろうと、少し下ったところにある植物園付近のバス停からロープウェイの駅まで運行している無料バスに乗ろうとしておりました。おり悪く、私自身、新調した靴があまり足に馴染まず、ちょっと痛くしており、次男もアスレチックの丸太渡りで転んで足を痛がっておりました。そこへ、好都合なことにバス停に赤と緑に塗られた綺麗なバスが停まっています。混んでいるといっても、東京基準でいえば全然普通に乗れるような、立ってる人わずか数人のバスです。ベビーカーを畳み子供の手を引きいそいそと乗ろうとすると、バスの運転手のおじさんが「ベビーカー、畳んでくれる?」。
えっ。すでに畳んでるんですよね。子供も下ろして背負ってる状態で、バスに乗ろうとしていた私は愕然とするわけなんですよ。もっとベビーカーが小さくならないのかという話なのかと思いました。仕方がないので、ベビーカーに乗せていたお土産など荷物も手に持って「これ以上、畳めないんですよね」というと、「混んでるし、次すぐ来るから、次のバスに乗ってよ」と突き放されます。「他のお客さんの迷惑になるから」と。
確かにバスの入り口は狭いから乗りづらいかもしれないけど、他の客の迷惑になるはずがないじゃないですか。午前中、ずっと遊んで疲れている5歳3歳の兄弟もいて、どうにか早く飯をという一念でバスに乗ろうとしていた親としてはショックでした。ベビーカーで乗車拒否されただけでなく、他の客の迷惑になるとまで言われたら、何のために運営しているバスなのか分からないですしね。別に優遇しろという話じゃなく、普通に乗せてくれということです。
普段は底抜けに温厚で人前で怒ったことのない私としましても、さすがに本件は遺憾でありまして、運転手のおじさんに「お前その言い方はなんなんだ」と若干声のボリュームを上げ気味にして優しくお話をさせていただきました。「詰めれば全然乗れるだろ。ベビーカーだってこれ以上畳めない。子供3人抱えてこの山の上まで登れっていうのか」と申し上げましたが、面倒くさいと思われたのか、運転手のおじさんは「次のバスはすぐ来ますから」の一点張りです。何だそれは。大自然に囲まれた越後湯沢の澄み切った空気はいまや一触即発です。とはいえ、日常でも常に面倒くさいと思われがちな人生を送っている私としては、運転手のおじさんの顔に滲むほろ苦いやっちゃった感のある困惑の表情を見て、押し問答の無駄を悟ります。「じゃあもういいよ。早く行けよ」そのように穏やかに促すと、運転手のおじさんはばつが悪そうにバスを発車させました。
[[image:image02|right|両親が放つ怒りのオーラを感じ取った三男、マジ切れの構え。]]
こうなったら意地です。もうプライドにかけてもバスには頼れません。怒りゲージがMAXになった私は疲れた次男と三男を一台のベビーカーに乗せて気合で押し、家内も両手に土産物の袋をぶら下げ長男の手を引いて山本家怒りの登頂です。お陰様で、いい運動になりました。もはや靴擦れなど関係ありません。人間、根性ですよ。湯沢高原で買った土産なんか捨てて帰ろうかと思いましたが、長男が大事そうに袋をずっと握っているのでそっとしておきました。その間、パンフレットにあった電話番号にクレームの電話を入れるなどの必殺技も繰り出し「もう私たちは来ないけど絶対に他の人のベビーカー乗車拒否なんかするなよ」といって電話を切りました。「ふざけるな」という清らかな心で満たされた私は、ロープウェイの駅では当然付近の店に入らずロープウェイに直行。さっさと下山してタクシーに乗り越後湯沢駅でイタリアンを食べ、発車ギリギリのタイミングで予定の新幹線に飛び乗って帰京したわけであります。
[[image:image01|left|疲れ果てて落ちる次男。足痛いのに良く頑張った。感動した。]]
越後湯沢には何の恨みはありませんし、景色も素晴らしい場所ですので、秋の行楽やスキーには最適な場所だと思います。山本家としては二度と足を踏み入れないでしょうが。マンション販売のパンフレットも手で細かくビリビリに破いて新幹線のホームのゴミ箱に打ち捨ててきました。もう来ねえよバーカ。とてもいい思い出をありがとう湯沢高原。フォーエバー湯沢高原。
前置きが長くなりましたが、越後湯沢のセキュリティワークショップにおいては、みんな大好きプライバシーフリークカフェの会が開催されました。憤怒の湯沢高原の前日の晩、我らが高木浩光先生と鈴木正朝先生との動画が上がっております。二時間とか超長いんですけど。というか、お酒を召さない高木先生とお酒を召さない鈴木先生に挟まれた私がガンガンに日本酒を飲んで徐々に沈んでいくという新しい形のパフォーマンスを展開しておりますが、一般の人がご覧になられても面白くも何ともないかもしれません。
プライバシーフリーク・カフェ特別編@越後湯沢 (スライド付き)
また、先の第3回プライバシーフリークカフェの前編が、エンタープライズジンに掲載をされておりました。
漏洩が問題なのではない、名寄せが問題なのである―第3回プライバシーフリークカフェ(前編)(エンタープライズジン 14/10/17)
そろそろ名簿屋問題も具体的な事実関係が明らかになりつつあるところで、さて現状をどう認識し、解決するためにどのような道筋を考えていくべきなのかといったところが重要な課題のひとつになっております。名簿の問題はすでに国内で完結するものではなく、海外のデータブローカーと一体となって、あるときは名簿の売買、またあるときはリスト型サイバー攻撃の元帳となって生活安全上、安全保障上の問題になってしまいかねないというのが重要な論点ですね。
もちろん、成長戦略としてパーソナルデータの利活用を促進するために国際的に協調できるルール作りを日本も進めていき、民間企業が安心してパーソナルデータをビジネスに活かすための方策も考えていかなければなりません。
このあたりも踏まえて、何とプライバシーフリークカフェにおいては個人情報保護法のアレを待たず来年2月ぐらいに本になるらしいです。ご関心のある方は是非そちらもご期待くださいませ。
今後ともよろしくお願い申し上げます。