新型iPhone発売祭りが中華転売問題に直結、さらにバイラルメディア問題へと波及する一部始終
iPhone6発売が大きな話題となる一方、発売日が遅れる中国大陸での旺盛な需要を見込んだiPhone6転売のための騒動の数々がネットで晒され、されに乗っかるようなバイラルメディアが物議を醸しました。
山本一郎です。auで予約したiPhone6の入荷連絡を正座して待っている状態です。
そのiPhone、9月19日の朝8時から新型iPhoneの発売が始まったようですが、予約購入できるのにも係わらず、わざわざ列を作ってまでして購入された皆さんはご苦労様です。
で、テレビのニュースなどを見る限りは、一部の物好きな人々が集まって平和に楽しくやっていたように見受けられます。
iPhone6販売開始に長い列(NHKニュース 14/9/19)
アップルの新型スマートフォン「iPhone6」の販売が19日から始まり、携帯電話各社の販売店などには、最新の機種をいち早く手に入れようと、大勢の人が開店前から長い列を作りました。そうですか。盛り上がるのはいいことですね。
(中略)
午前8時に販売が始まると、歓声を上げながら店内に駆け込み、最新機種を買い求めていました。
東京・千代田区にあるドコモの販売店の前で、徹夜をして並んだという49歳の男性は「世界的に注目されている機種なので、少しでも早く手に入れたいと思っていました。これからゆっくり使ってみたいです」と話していました。NHKニュース
一方で、ごく限られた特殊な人達に対しては批判的な疑問の眼差しが向けられているのも確かです。
待望の「iPhone6」求めて徹夜行列――路上を「長時間占拠」しても問題ないの?(弁護士ドットコムニュース 14/9/16)
このような「iPhone行列」。道路を歩く通行人の立場からすると、邪魔になると思う人もいるかもしれない。iPhone購入のために、何日も路上を占拠することは、法的に問題ないのだろうか。また弁護士ドットコムですか。何というか、格式高いJ-castみたいになってますが、大丈夫なのかと心配になりますが、まあ言わんとすることは分かります。
(中略)
発売日や前日などに道路交通法違反を理由に警察が取り締まるかどうかは分かりませんが、客としては、やむを得ず道路上の行列に並ぶ場合でも、交通の妨害にならないように気をつけていただきたいと思います弁護士ドットコムニュース
とりあえずここまでは例年のお祭り騒ぎといった趣もあり、まさに「気をつけていただきたい」ぐらいの感慨で周りの人々もやり過ごしていたはずなのでありますが、今年に限っては従来とは違う祭りが勃発していた模様で、そうした尋常ではないらしいという報告がネット民によってもたらされたのを受け、ITジャーナリストの三上洋さんが現場へ突入という事態へ。
この後、取材に行きます/【iPhone6行列】アップルストア銀座で大勢による割り込み発生か? 中国人男性が憤慨し意外な証言|ロケットニュース24 http://bit.ly/1pkkSLF 三上洋この後の経緯については三上さんのツイートまとめが既に出来ておりましたので、そちらをご覧いただければと思いますが、かなり緊張した事態となる一幕もあったようです。
ITジャーナリスト三上洋(@mikamiyoh)が見たAppleStore銀座の夜(Togetterまとめ)
主に転売用の買い付け目的で大量に中国人がやって来ていたという話なのですが、実はこれは何も日本だけで起きていたわけではなく、他国でも同様な事態が発生しております。
Nearly half the buyers queuing for days to buy the iPhone 6 in Australia are planning to sell them for TRIPLE the price in China(Daily Mail Online 14/9/19)
上記記事はオーストラリアでのことですが、iPhone 6を買い求めようとして並んだ行列のおよそ半分が中国での転売を目的とした輩であったとあります。なかなかしびれるのは以下の辺りでしょうか。
The gold version of the iPhones are going for as much as $4,000 on the Chinese black market.Daily Mail Online転売された金色のiPhoneは中国のブラックマーケットで最高4000ドルもの価格で取り引きされることもあるようです。
今回、iPhone 6とiPhone 6 Plusの中国での販売時期は未定となっているため、この狂騒ぶりはしばらく続きそうです。
新型iPhoneの中国発売なお未定、認可取得難航か(ロイター 14/9/19)
中国本土は新型iPhoneの初期発売国から漏れており、アップルも中国での販売についてコメントしていない。工業情報省からの認可取得が難航しているとの観測も出ており、不透明感が広がっている。こういう報道が流れれば流れるほど、中国ブラックマーケットでのiPhone 6需要は高まり、転売を目論む輩のモチベーションも高まることは間違いないでしょう。
地元メディアでは、中国での発売が遅れていることについて、さまざまな憶測が出ている。金融専門紙の21世紀経済報道は今週、発売は2015年以降になる可能性があると報じた。ロイター
一部では、こうした転売屋が動くことで中国外でのiPhone販売の数をさばけるので、Appleも密かに歓迎しているのではないかという憶測もあるようですが、さすがに中国内で正規販売する数と転売目的で売れる数は比べようもないほどに差がありますから、さすがにそれはないのではないでしょうか。
調査会社ガートナーのアナリスト、C.K.ルー氏はiPhone6の中国での販売台数は四半期当たり1000万台と試算。発売遅れはアップルの業績に「甚大な」影響を及ぼすとの認識を示した。ロイター人々が行列をなしてiPhoneを買ってくれる光景がこれまではポジティブな広告効果を果たしていたのが、今回の騒動により一転ネガティブキャンペーンに発展しかねない状況になっており、Appleとしても今後もこうした行列を作らせるというPR戦略を考えなおす時期が来ているのではないかと感じなくもありません。
ところで、最後に当の三上さん、自身の事務所のブログで渾身の取材にただ乗りしてアクセスを掻っ攫っていったバイラルメディアに怒り狂い、低い温度の炎を上げておられます。
バイラルメディア掲載は得か損か。iPhone6中国人転売屋のツイート中継(ライター三上洋事務所14/9/20)
本来この手のお話は損得ではなく、べき論で語るべきだと感じるんですが、菩薩のような草食性が人気の三上さんでさえ遠慮の暖簾の向こうに見える煉獄の猛りは分からんでもないですね。今年年末にかけて、この辺のバイラルメディアのクズ具合や、そろそろバブルが弾けていろいろと売りに出ているバイラルメディアを全力で指差して笑う準備をするべきだろうなと思う次第でございます。
mixiのバイラルメディア参入を心より祈念しております。