Appleは「iPadの苦戦」を反省してタブレットの市場を再構築したいんでしょうか
AppleがiPadの販売苦戦を糧に市場の再定義や再構築を検討しているようで、新しいガジェットの方向性を打ち出すことを考えているようです。
山本一郎です。地味にiPad使ってます。
グローバル規模でスマホ市場がいよいよ活気づく気配の一方、期待されたタブレットについては陰りが見え始めたという観測記事がやや目立つ昨今です。まあ、しょうがないよね。もっとも、こうした論調が出てくる主な原因には、タブレット市場でずっとトップを走り続けてきたiPadのシェアが縮小し売上そのものも落ち込んでいるという事実があります。
で、さすがにApple側としてもこうした状況をただ黙ってやり過ごすことは出来ないのでしょう、CEOのTim Cook氏自らが色々と取り繕う一幕もあったようです。
アップルのクックCEO、「iPad」販売台数減も楽観視(CNET Japan 14/7/23)
Cook氏は22日、アナリストとの電話会議で、販売台数低下の要因として、米国を含む一部地域の不振と流通在庫の減少を挙げた。とはいえ、同氏はiPadについて、今でも楽観的だ。きっとこれから良くなるから大丈夫と思うよと言われても、はいそうですかと素直に受け取る人がどれくらいいるのかは謎ですが、iPadが売れなくなった理由については色々と各方面で論考されていまして、以下の記事などがざっくばらんな感じで分かりやすいかもしれません。
「われわれは、タブレット市場の将来を非常に楽観視している。当社はソフトウェアとハードウェア、サービスを通して、今後もこのカテゴリに技術革新をもたらし続けることができると確信している」とCook氏は述べた。CNET Japan
「第3の端末」iPadに見えた限界(ニューズウィーク日本版 14/8/20)
アップルによればiPad購入者の50%以上がタブレット初心者だが、新モデルへの買い替え需要が発生するのは当分先だろう。そろそろ第6世代が登場するというのに、多くのユーザーはまだ第2、第3世代のiPadで満足している。酷ぇことを書くメディアですね。私のような上品な人間には到底受け入れられません。
(中略)
iPhoneが売れるのは2年でガタがくるからだ。プロセッサの処理速度やバッテリーの寿命が低下し、スクリーンは破損する。
iPadもそうすればもっと売れるかも?
ニューズウィーク日本版
要は丈夫で長持ちするため短いサイクルで買い換える必要がないということのようで、まあそれは確かにごもっともです。確かにタブレットの場合、スマホほどには苛酷な使用環境にないことが多そうですから、頻繁に壊れて買い換えみたいなパターンはあまり見込めないでしょうね。
また、新興国市場においてはスマホでもタブレットでもなく、その両者の中間的なサイズと機能を兼ね備えたファブレットへの需要が急激に高まっている結果、タブレットは購入の選択肢から外れてきているという見方もあります。
一足飛びの技術導入が加速、「リープフロッグ」とは何か(下)(CIO Magaine 14/8/22)
ファブレットとは、5~7型の画面を持ち、タブレット端末とスマートフォンの特徴を併せ持つデバイスのことだ。某新興国に足を向けた際、私の目の前でiPadを顔の横につけて通話しているビジネスマンをみたことがあるんですが、あれは本当にiPadだったのかはさておき、そういう需要があるのは事実なんじゃないかと思います。
(中略)
ファブレットの購入意欲は、先進国より新興国の消費者の方が強い。スマートフォンの購入を予定している消費者のうち、ファブレットの方がよいとした人の割合は、インドでは67%、中国では66%、南アフリカでは65%だったのに対し、米国では40%、ドイツでは30%、日本では19%だった。CIO Magaine
ファブレットが新興国で人気を博している大きな理由は「米国や西欧諸国よりも急ピッチで新たなテクノロジーを導入しつつある国々では、ファブレットは最新鋭のデバイス」であり、「初めての購入で、スマートフォンもタブレット端末も持っていない人にとっては、ファブレットは最適な組み合わせのデバイスだ」そうです。
さらにAppleもiPhone次期モデルではいよいよ5.5インチサイズを採用する可能性が高まっていますから、時勢はやはりファブレットへと流れているのかもしれません。
で、そうなるとタブレットは一体どうするのかというと、さらに大型化する可能性が出てきたようです。
アップル:12.9型のiPad、来年初めの発売で準備中―関係者(Bloomberg 14/8/26)
米アップル のサプライヤーは、大画面を搭載したタブレット端末「iPad(アイパッド)」の新型モデルの生産準備を進めており、来年第1四半期までに生産を開始する予定だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。12.9インチですか、でかいですね。こうなるとほとんどノートPCと同じです。まあ、タブレットがPC市場を淘汰する可能性については以前から言われているところですから、いよいよAppleはそちらへ大きく舵を切ることになるのかもしれません。既に、IBMとの提携でエンタープライズ市場へ向けての地ならしも着々と行われていますし、iPad次期モデルは従来のApple製品にはあまり見られなかったビジネスユーザーへ向けてのアピールがぐっと増える可能性もありそうです。
詳細情報が公開されていないとして匿名を条件に述べた関係者によると、大型の新アイパッドは画面サイズが12.9インチとなる。Bloomberg
速報:AppleとIBMがハード、ソフトで全面提携―エンタープライズ分野に激震(TechCrunch 14/7/16)
仇敵アップルとIBM、企業向けアプリ開発、モバイル端末販売で提携(WSJ 14/7/16)
こうなってくると一番厳しい立場に追い込まれるのはSurface戦略で今ひとつぱっとしないMicrosoftとなるのかもしれないですね。Surface3は信者がせっせとポジティブ情報を振り撒いているようですが、Microsoftというだけでゲップが出る日本人は多数と思われますので、そこをまず何とかするべきなんじゃないでしょうか。
一方、我らがTizenがさらに残念なことになっています。
ファーウェイ幹部:「Tizen搭載スマートフォンの開発予定はなし」(WSJ報道)(Wirelesswire 14/8/26)
スパイ疑惑が大声で囁かれるHuawei陣営からすらもTizenは要らない子扱いされており、無残に拍車がかかってしまってます。Tizenなど全くあり得ないという感じでバッサリと切ってますけど、こういうファブレット需要を満たす端末をいち早く出して世間を驚かせて3DO状態になって見向きもされないクソハードに昇華して欲しいと願うわけです。
私はiPadは主にゲーム機として使っています。