個人情報流出事件が全国民に周知されたが故に新しい詐欺が起きてしまう残念感
社会に不安が広がると、それにつけこむ詐欺のような犯罪が跋扈するのは自然の流れともいえますが、一連のベネッセ他の個人情報漏洩についても同様の問題が広がってしまい、残念でなりません。
山本一郎です。お世話になっております。
ベネッセの顧客情報が流出した事件は、取り調べが進むにつれてその被害規模がどんどん拡大しており大変なことになっています。
ベネッセ漏洩で元SE再逮捕延べ2億件売却(日本経済新聞 14/8/11)
松崎容疑者は、これまでの調べで「ベネッセから持ち出したデータを名簿業者3社に売却した」と供述。生活経済課によると、昨年7月~今年6月、20回にわたり延べ2億300万件の顧客データを売却し、計400万円の利益を得たという。当然ながらあくまで「のべ」ですので、実数はどのくらいであるのか微妙なところではありますけれども、この手のデータブローカーの問題がようやく明るみに出たというのはそれはそれで意義深いところであります。
データは名簿業者などが転売を繰り返し、ソフト開発のジャストシステムや英会話学校大手のECCを含む数百社に渡ったとみられている。日本経済新聞
事件自体はとても残念というか遺憾ではありますが、これだけの規模で一旦データが流出してしまうと、あとはコピペされてねずみ算のようにどんどんと拡散されていく可能性を考えなければなりませんし、こうした事態を悪用する輩が今後続々と現れることも覚悟しなければなりません。
もはや、流出させないこともさることながら、流出したものが活用されないことも併せて対策として必要になってきていると言っても過言ではありません。
ベネッセの個人情報流出、詐欺師はこんな手口で動き出す(SAFETY JAPAN 14/7/18)
詐欺に使われるかどうかは知らないが、(売り込み先は )基本は同業他社や通販会社だと思う。子供がいる・教育熱心・生活にゆとりがある、これだけ分かれば、どういう売り込みをすればいいか対応できるじゃないか」(名簿ブローカー)ということで、すでに本件がニュースなどを通じて大々的に報道され全国民に周知されているという事実を逆手に悪用した詐欺事件が各地で起きています。
彼は「詐欺に使わわれるかどうかは知らない」といったが、そんなに世の中は甘くない。SAFETY JAPAN
「ベネッセ流出情報削除します」都職員かたり不審電話「代わりの人登録を」(東京新聞 14/7/24)
「個人情報削除する」と不審電話…公的機関装う(読売新聞 14/8/14)
こうした詐欺のすごいところは、それまであまり個人情報漏洩に敏感ではなかったであろう残念なリテラシー層が対象になっているところです。ベネッセ事件をきっかけにして大規模に個人情報が流出しており、そうした流出情報が悪用されるということを認知しはじめたポイントにおいて、彼らの中途半端な理解の隙を突くような「公的機関が個人情報を削除する」という甘言をもってして陥れる手法を編み出して、古典的だけど有効な詐欺になっているのは彼らならではとも言えるでしょう。シチュエーションとしては母さん助けて詐欺よりもシンプルなだけに応用性も高そうで、今後より周到なシナリオが作られてしまうとまた被害が増えそうで嫌な感じです。
ちなみに、こうした詐欺電話で使われている電話番号も何らかの形で流出した個人情報を元にして作成されたリストが元になっている可能性が高いです。なにかのきっかけで流出してしまった個人情報は、詐欺行為に最適化された形に修正されさらに拡散していくという負の連鎖の中にありますが、これを断ち切るのはなかなかにむつかしい。こうした事態に対しては先に挙げたSAFETY JAPANの記事の中にもどうすべきかの一例が記されていますが、これを実際に行うのは相当な心構えが必要かもしれません。
名簿が流出してしまった親御さんは、あらゆる誘いを拒否しなくてはいけない。どんな接触であっても詐欺であると受け止めるぐらいの気持ちが必要だ。ところで、今回の大規模個人情報流出のような事件が起きる原因を論考した記事でちょっと興味深いものがありました。言わんとしていることはある意味で至極ごもっともな内容だとは思うのですけれど、その記事タイトルが単に某氏を貶めたいだけなんじゃないかと思わず勘繰ってしまうのは、単に私の心が汚れてしまっているからなんでしょうか。まあ、きっとそうなんでしょうね。
弁護士や警察・官庁を名乗って電話をして来る場合も多いが、すべて「かけ直します」と対応してもらいたい。その際に、相手が教えた番号ではなく、相手の名前・所属を聞き、自分で調べて電話するほうがよい。むろん、すべて無視してもかまわない。SAFETY JAPAN
マック、ベネッセが出来なかった委託先の選別と管理(PRESIDENT Online 14/8/13)
ベネッセの個人情報漏えいと、マクドナルドの期限切れ肉使用問題は、顧客への裏切りという点では同罪だ。PRESIDENT Online原田泳幸さんの悪口はやめろ。