スマホ市場でサムスン他が壊滅の一方、中国メーカーが大活躍のようです
スマートフォン端末の低価格化に拍車がかかり、新興市場を中心に安価な端末を主力とする中国系のメーカーが台頭、スマホ端末メーカーの勢力図に大きな変化が起きております。
山本一郎です。クーラーにやられて鼻水が止まりません。
ところで、少し前からそうした傾向は見えていたのですが、IDCの調査結果が発表されまして、いよいよこれからの世界スマホ市場の動向は中国メーカーの存在が大きく影響しそうであることが明らかになってきました。
中国メーカーの躍進鮮明に - 第2四半期世界のスマートフォン出荷台数(IDC調査)(WirelessWire News 14/7/30)
世界のスマホ市場、中国メーカーが市場平均上回る速度で成長(ITpro 14/7/30)
メーカー別出荷台数では、サムスン(Samsung)が7430万台で首位をキープしたものの、前年同期比では3.9%の減少となり、シェアも同31.3%から25.2%に低下。また、2位のアップル(Apple)は3510万台(前年同期比12.4%増)で、シェアは前年の13%から11%に縮小。いっぽう、出荷台数を大きく拡大したのが3位ファーウェイ(Huawei)、4位レノボ(Lenovo)の中国メーカー勢で、ファーウェイが前年同期比95.1%増の2030万台(シェア6.9%)、レノボが同38.7%増の1580万台(シェア5.4%)となった。5位のLGは1450万台(前年同期比19.8%増)でシェア4.9%となった。WirelessWire News
中国メーカーは市場平均を上回るペースで伸びており、とりわけ中国Huawei Technologies(華為技術)と中国Lenovo Group(聯想集団)の成長が目覚ましいという。(中略)IDCによると、Samsungはスマートフォンの製品ラインアップが最も多いメーカーの1社。だが同社のシェアは前年同期から7.1ポイント低下している。Samsungが今後シェアを伸ばすには、地元メーカーによって支配されている中国などの新興国市場で弾みをつける必要があるとIDCは指摘している。ITproこれまでスマホ市場のシェアで上位を占めてきたSamsungとAppleが共にシェアを落とす一方で、中国メーカーが好調とあります。Appleが伸び悩んでいる要因の一つにはあまりにも早くから噂が出ていた次期モデルを巡って買い控えが起きたということもあり、今年後半に予定されている発売で盛り返せるだろうという観測もありますが、一方でSamsungはかなり厳しい状況にあるようです。
サムスン第2四半期決算、減収減益--モバイル事業が不振(CNET Japan 14/7/31)
サムスンは、2014年の後半について、モバイル市場の競争がより低いデバイス価格へと向かっており、業績に打撃を与えていることから、「依然として課題」であると警告した。CNET JapanSamsungがスマホ市場で苦戦している理由としては、以下のような分析が挙げられています。
焦点:モバイル市場に「中国サプライズ」、アップルとサムスンに明暗(ロイター 14/7/26)
中国の低価格帯市場では、地場メーカーが販売台数を伸ばしており、業界最大手サムスン電子の牙城が切り崩されている。(中略)すべての価格帯で製品をそろえる戦略を取るサムスンが、価格競争力のあるメーカーと上位機種メーカーの間に挟まれ、身動きが取れなくなっている姿を示している。(中略)サムスンは中国では強いブランド力があるが、カウンターポイント・リサーチ(韓国ソウル)のアナリスト、トム・カン氏によると、同じような機能を持った中国製端末より値段は60━100%高い。同氏は「ブランドプレミアムがあるとはいえ、ちょっと高すぎる」と語った。ロイター全方位的な戦略展開をしていたはずが、気がついてみれば普及モデルでは新興メーカーの思い切った価格競争に対抗できず、かといって高級モデル市場ではAppleに押されて勝負にならないという感じでしょうか。今後Samsungがマーケティングで立て直しができるのかどうかは微妙なところかもしれません。
で、実はソニーもスマホ事業に関してはSamsungと似たような状況に陥っているようです。
ソニー4―6月期最終利益は資産売却で大幅増、スマホ事業に減損リスク(ロイター 14/7/31)
4―6月期は、スマホの販売が前年を割り込んだことが厳しさを表した。今期は、中国市場など新興国で普及価格帯モデルの伸びを見込んでいたが、小米科技など中国メーカーが高機能化することで勢力を拡大。ソニーが狙う市場と競合する状況が生まれている。(中略)スマホ事業は中期戦略の見直しに着手しており、世界規模の販売拡大より収益管理を重視し、国や地域ごとに商品やラインナップを絞り込んでいく方針。だが、吉田CFOは「スマホ事業の見直しが資産の減損につながる可能性がある」と述べ、同事業が赤字に陥る可能性があることを明らかにした。ロイター台数をさばける普及価格帯のスマホに関しては、安くてそこそこ高機能な中国メーカー製品が今後さらに勢力を伸ばしていく可能性は低くないでしょう。ソニーでは「国や地域ごとに商品やラインナップを絞り込んでいく方針」とありますが、結局はハイエンドモデル市場でSamsungやAppleといった強敵としのぎを削るような戦いをせざるを得なくなると考えられます。
で、海外はともかく日本のスマホ市場でならソニーでもそれなりに勝負できるのですようか。
安売り端末が上位を占める日本市場――週間販売ランキング(すまほん!! 14/7/31)
販売ランキングのトップは、発売からわずか1ヶ月半程度で投げ売りされたXPERIA ZL2に。白ロム価格も暴落しているので、頃合いを見て拾っておくのがいいかもしれません。すまほん!!確かにソニー製品が売れているようですが、売れ方が「投げ売り」ということでして、あまり好ましい姿ではないようです。総務省が推し進めるSIMロック解除の義務化によって端末価格が高騰するという観測もあり、そうなるとますますスマホ市場では安い端末しか売れなくなりますから、端末メーカーとしてはますます商売が厳しいことになりそうです。
SIMロック解除が来年義務化へスマホ価格が10万円に跳ね上がる可能性も(日経トレンディネット 14/7/30)
日本で販売されている高性能スマートフォンは、定価に近い7万~10万円程度の価格を支払わなければ購入できなくなる。そうなるとユーザーの端末購買意欲が大幅に低下して機種変更が進まなくなるし、キャリアが提供する端末も購入しやすい低価格のミドルクラスのモデルへと変化するだろう。キャリア間の競争以前に、端末メーカーなど周辺の産業に与える影響が非常に大きくなってしまうのだ。日経トレンディネットところで、Samsungにとって逆転勝利のカギを握る最後の頼みの綱であったはずのTizenスマホは、どうやらIntel側の都合で延期になったようだなんていう話も出てきてますがどうなんでしょう。
サムスンがTizenスマホの発売を延期した理由は=中国メディア(サーチナ 14/8/1)
記事は、Tizen搭載のスマートフォンの発売が延期になった理由は「サムスン側ではなく、インテル側の準備が整っていないためではないか」とし、「Tizen搭載のスマートフォンを発売するにあたり、サムスンにとってはインテル以外のCPUでも問題ないが、それではインテルにとってはTizenプロジェクトの意味がなくなってしまうため」と論じた。サーチナこら!Tizenしっかりしろ!寝冷えしている場合じゃないぞ!