無縫地帯

Googleが良しとして目指すものは我々にとっても善しというものなのでしょうか

日本時間6月26日に開催されたGoogleの開発者会議「Google I/O」では、長い映像を観ながらGoogleであるが故の素晴らしさとその裏返しにある傲慢さのようなものを感じておりました。

山本一郎です。アイスコーヒーを飲みすぎるとむしろ眠くなるような気がします。眠いです、猛烈に。

ところで、今年もGoogleの開発者会議「Google I/O」が開催され、冒頭の基調講演から早速に色々と新しい発表がてんこ盛りだったようです。すでに日も経っておりますので個別の詳細はさておき、一体どのようなことが発表されたかについては以下の記事がザックリと要点をまとめていて分かりやすいです。

Google I/O 2014で発表されたこと、されなかったこと(ITmedia 14/6/26)

廉価版スマホ、次期Android OS、スマートウォッチ、自動車向けデバイス、スマートTV、オフィススイート製品、クラウド、ヘルスケア、等々、とにかく目一杯詰め込んで「約3時間にわたった」長丁場だったようです。見ている方もおつかれさまという感じでしょうか、Twitterなどでは「長い」という怨嗟のつぶやきも見受けられました。まるでバンクーバーで行われたオリンピックの開幕式みたいです。で、そうした無駄にダラダラと長いキーノートの雰囲気を味わいたい方には以下の記事もおすすめです。

Google I/O 2014キーノート速報。Android L予告、Android Autoやスマートウォッチ発表(Engadget日本版 14/6/26)

こちらの方は大量の画像と共に逐一どのような出来事があったかを細かくレポートしていますが、個人的に気になるのは抗議を呼びかける輩が途中で二度も登場してるあたりでしょうか。「Googleが殺人ロボットを作って人間を脅かす云々」といった発言もあったようで、Appleあたりのキーノートではまず起きないであろうフリーダムな雰囲気が素敵です。

で、上記のような記事を読んで感じることは、とにかくどんどん新しい技術を採用し、どんどん新しいモノを提案をしていきますよというGoogleのアピールがすごいことです。キーノートでは発表されなかったと指摘されているスマートホーム関連にしても、実はGoogle I/O開催日の前日に一つ大きな発表をしたりしています。

Google、スマートサーモスタットNestをハブとするホームオートメーション・プラットフォームを発表(Techcrunch 14/6/25)

Googleは今日(米国時間6/24)、Works with Nestというデベロッパー・プログラムをスタートさせた。これによってガジェット、自動車、リモコンなどがブランド、OSを問わずNestのサーモスタットと会話し、連携動作することが可能になる。スマートホームが一気に身近なものになってきた。Techcrunch
また、キーノート後の別セッションで発表されたようですが、Gmail関連でも大きな動きがあるようです。

[I/O 2014] Google Announces The Gmail API - Promises Much Faster Performance Than IMAP(Android Police 14/6/25)

The API will allow developers to implement basically the same functionality as the Gmail search box, too, and because it no longer uses TCP / SMTP, the Gmail API can be implemented in basically any environment. It's also apparently much, much faster than IMAP at most operations, especially search.Android Police
上記記事によると、Gmail向けに新たなAPIが提供されることでIMAP等の既存のメール関連技術が事実上不要となりそうです。

Googleが新しい技術やサービスでそれまでデファクトであったものを置き換えてしまうというパターンは、これまでも多々あったことです。まさにネット検索のあり方がそうして変わったことは誰もが認め評価していることでもありますが、そうした流れが従来のネットの中だけにとどまらず、自動車や住宅といったリアルな世界にまで拡大しつつあるのが今です。Googleのオープンさや技術力の高さ、既存の常識に囚われない革新的な視点は大いに素晴らしいと思います。しかし、その一方で、一旦大規模に展開しほぼデファクト化したサービスでも、彼らの思惑に適わないものであれば容赦なく切り捨てるという冷酷さは、過去にあったRSSリーダー等の例からも明かです。こうした思想・価値観で行動する営利企業が、世界中の社会システムにおいてデファクトとなるようなサービスをいくつも抱えるという状況がはたして健全なのかどうかということはちょっと考えてみる必要もあるでしょう。

先日も検索においてちょっとした問題がありました。

Googleが特定単語にまつわる検索を検閲しているのではという疑惑の件

こういう事象が起きるのは今のところネット上だけですが、もしかしたら近い将来リアルな生活の場面の数々においても同じようなことが起きたりするのでしょうか。その昔Microsoftの影響力が大きすぎて悪の帝国などと呼ばれたこともありましたが、今になってみるとGoogleのそれははるかに巨大で比較にもならないほどとなりつるあるように感じなくもありません。まあ、全ては単なる杞憂ということであれば良いのですが。

新しい技術に前のめりに挑戦するmixiであって欲しいです。