無縫地帯

ソフトバンクモバイルを中心に、業界界隈における「通信の最適化」問題が再燃したようです

数年に一度蒸し返される「通信の最適化」問題が今年も話題になっておりまして、ソフトバンクモバイルの「通信速度1位」などの宣伝文句など通信業界の通弊が興味深いです。

山本一郎です。私の体重も最適化したいです。

ところで、興味深い話がネット民周辺でにわかに話題となっているようです。
なんでも、ソフトバンクモバイルの「通信速度1位」のカラクリについてが出発点だったようですが。

ソフトバンクの「通信速度1位」のカラクリが明らかに(BUZZAP! 2014/6/4)

全国の主要都市の広告看板やテレビCMなどで「通信速度No.1」をうたうソフトバンクですが、そのカラクリが検証の結果、明らかになりました。キーワードは同社が適用している「通信の最適化」です。(中略)ソフトバンクが掲げている「通信速度No.1」は、ユーザーが通信するデータを有無を言わさず圧縮し、ネットワークに負荷を掛ける行為についても一切許さないという、徹底的な統制を行った結果として得られた数字であり、そのような数字を元に「他社よりも速い」と勝ち誇っているわけです。(中略)グラフや数字を根拠にした「通信速度1位」という看板の訴求力は絶大なものであると思われますが、ユーザーの自由度が制限されていることや、あまりフェアでない条件での比較であることに触れられることは、おそらく今後もありません。BUZZAP!
なぜ今さらこのタイミングでこうした記事が出てくるのかその背景は今ひとつよく分かりません。いやー、分からないな、ちっとも。まあ確かにソフトバンクはモバイル通信において「最適化」を実施しており、その情報自体は同社もオープンにしているわけですが、その公開の仕方がエンドユーザーからすればまったくもって分かりにくいというのも事実でして、もう少し誰でも簡単に分かるような形に改善されるべきかなとは思います。

ご利用の際に通信制御することがある内容について(ソフトバンク)

上記コンテンツ・サービスなどをご利用の際、通信速度の制御や各種ファイルの最適化を行う場合があります(最適化されたデータの復元はできません)。ソフトバンク
「各種ファイルの最適化を行う場合があります」と言いつつ、実際には常に最適化されていたも同然というのでは、たまには最適化されないこともあるのかと微かな期待をしていたユーザーからすれば裏切られた感があるのは致し方ないことかもしれません。本来の画像はもっときれいなはずで、劣化されたものを見せられるのはけしからんという思いにはなりがちですよね。生ビール頼んだら水で薄まってる感のある某居酒屋チェーンみたいなものでしょうか。

ちなみに、この通信の最適化という施策が開始されたのはもう2年以上も前の話であります。最初に挙げたBUZZAP!というサイトも当時その旨をしっかりと記事にしております。

ソフトバンクモバイルは「通信の最適化」をすでに実施中、その内容は?(BUZZAP! 2012/2/21)

スマートフォン向けに画面の表示速度や動画の再生開始時間を早くするためにKDDIが導入する予定の「通信の最適化」ですが、ソフトバンクモバイルが先行して導入していることが明らかになりました。BUZZAP!
KDDIが通信の最適化を開始するということで話題になって色々と確かめていたらなんとソフトバンクが既に実施していたという、いかにもソフトバンクらしい展開でありました。

で、別のスマホ情報サイトも同事案を取り上げ、その中では以下のような指摘をしています。

ソフトバンクでも、以前から同様の最適化を行う場合があるという旨の注意書きがあるが、実際にどのような処理が行われるのかは説明からは分かりにくい。不要な情報の除去や圧縮方式の変更だけでは大した通信量削減は見込めないので、日本通信のイオンSIMなどで採用されている「Webアクセラレータ」と同様に、画像を低い画質に圧縮し直すことでファイルサイズを削減するのではないかと見られており、コンテンツ制作者の意図しない改変を無断で行なうのは著作権侵害ではないかとか、本来のインターネット上のコンテンツの取得が不可能なネットワークをインターネットと称して提供するのは不当表示ではないかなどの批判が上がっている。あんどろいどスマート
つまり当時も今も、ユーザーが気にしている部分はほぼ変わらないのですが、こうした情報が広く共有されることなくどこかで途切れ、ある日突然に思い出したように再び同じ不満が噴き出すという事態が繰り返されている印象です。まあ、キャリア側が都合のいい部分だけを全面に押し出して、あまり知られたくないことはいつの間にかひっそりと情報公開するという姑息なことをやっているからこんなことが起こるという話でもあるのかもしれません。

そういえば、国内主要キャリアの長がそれぞれ東京オリンピックへ向けて熱い弁舌をふるったようですが、今回のような都合の悪い(?)話も分かりやすい形でしっかりと公言していただけるとありがたいですね。

東京オリンピックに向け都が2020年代の通信を問う。都知事、携帯各社の社長登場(Engadget日本版 2014/6/3)

東京都は、6月3日、2020年の東京オリンピックに向けた取り組みとして、携帯電話の通信環境やWiFiの接続環境の改善を行うため、都庁で関係各社のヒアリングを実施しました。このヒアリングには、NTTドコモの加藤薫社長、KDDIの田中孝司社長、ソフトバンクの孫正義社長らが登場。Engadget日本版
とはいえ、ここヤフーニュース個人はヤフージャパンによって運営されており、ヤフージャパンはソフトバンクグループですので、日ごろのご愛顧を兼ねて文末は絶賛の嵐で終わりたいと思います。

よっ、ソフトバンク日本一!最高!大好き!