無縫地帯

ファーウェイ(Huawei)がSIMロックフリースマホを日本で本格的に売り出す件

数々の疑惑に晒され続ける中華系通信会社の雄、ファーウェイ(Huawei)が格安のSIMロックフリーのスマートフォンを日本市場に投入するということで、巷ではそこそこの騒ぎになっています。

山本一郎です。安物買いが身上です。

このところMVNOの普及と相まって格安スマホの需要が高まっているとうことで、そうした世相にまつわる話をしばらく前に拙ブログで書きました。

格安スマホがシニア層に人気だそうですが大丈夫なんでしょうか

まあ、色々問題点はあったとしても、やはり端末代やその後の維持費が主要キャリア製品よりも安く済ませられるというのは代えがたい魅力がありますから、今後もこうした流れは続くのだろうと思われます。

先日も、ローティーン市場を意識した製品が発表されており、スマホ市場もここまで来たかという感慨があります。もう遅く来るマジョリティ向けの商材が出て、各社叩き愛の市場状況であると言えましょう。

おもちゃじゃない3G通信・アプリもOKのティーン向け“本物のスマホ”「Fairisia」、メガハウスが発売(ITmedia 2014/5/28)

玩具メーカーが商品の企画・製造からオリジナルアプリの開発、通信サービスまで一貫して扱うのは国内では初めての試みだという。10~13歳の女子をターゲットに、「本格的なスマホが欲しい」というニーズに応えつつ、保護者が安心できる管理機能を豊富に用意する。ITmedia
10~13歳の子供向け製品として機能や価格が妥当かどうかの判断は各人にお任せしたいところですが、保護者側がスマホにまつわるITリテラシーをしっかりと持ち合わせているのであれば、これ以外の選択も色々ありそうな気がしなくもありません。

さて、MVNO普及によるSIMロックフリー端末への需要増が実際にどれほどのものなのかは今ひとつよく分かりませんが、そうした市場拡大を見込んでまた大手メーカーの一つが本格的参入を発表しました。

ファーウェイ、SIMフリースマホ「Ascend G6」を2万9800円で発売(ケータイWatch 2014/5/30)
SIMフリー端末の日本展開を開始するファーウェイに聞く(ケータイWatch 2014/5/30)

キャリアやSIMに縛られない、いわゆる“オープンマーケット”に切り込むファーウェイ。SIMフリー端末の日本展開の経緯について、同プロジェクトの責任者は「ファーウェイでは、従来のオペレーター(キャリア)中心のビジネスとは別に、オープンマーケットにも力を入れていこうということで、オープンマーケットを開拓する新しい部署を4月に立ち上げて、SIMフリー端末の販売を推進する取り組みを始めた」と語る。(中略)オープンマーケットに取り組む意図はどこにあるのか。「日本は特にiPhoneが売れており、少し前までは過激なキャッシュバック競争があった。その影響もあり、Android端末の苦戦が続き、そんな中でファーウェイの端末を選んでいただける確率は非常に小さいものになる。生き残りの策としてのオープンマーケットへのチャレンジ、という意味もある」(同)という。ケータイWatch
積極的に攻めの姿勢で勝負に出たというところでしょうか。この記事だけを読めば、Huaweiなりになかなか頑張っていて好感が持てなくもありません。ただし、この件の企業が他ならぬファーウェイ(華為/Huawei Technologies)という一点が大きな懸念材料です。拙ブログやその他メディアなどでも同社にまつわる話はこれまで何度か取り上げておりますが、やはりそのまま素直に話を受け取れないというのが率直な感想です。

ファーウェイの米国撤退騒ぎは実際のところどうなんでしょうか
ファーウェイ(中国華為技術)―「傍受」疑われる通信の覇者
中国Huaweiの「第五列」浸透

安全性や信頼性と機能、そして価格を天秤にかけて、あえて同社の製品を選ぶ人もこれからは増えるのかもしれませんが、なかなか微妙です。少なくとも国家の安全保障や機密事項に係わる仕事に従事するような人は距離を置くべき製品かなと。

まあ、それでもネット民の多くは安くて機能も充実しているだけに歓迎的な声が多いようです。ケータイWatchの記事のキャッチコピーにある「市場に風穴を開け」が「セキュリティにも風穴を開け」とならないことをまずは祈ることにします。