無縫地帯

筆まめがなぜか今頃SNSビジネスに参入した件

年賀状が廃れ、また個人間のコミュニケーションがSNSなどに移行していく中で、いままでの勝ち組が商売の先を案じて勝算の乏しい新規事業に打って出る後姿が勇ましいなと思うわけです。

山本一郎です。年賀状とかあんまり出しません。

ところで、ごく普通の日本人がPCを使ってやってみたい作業の一つがオリジナル年賀状作成ではないでしょうか。おそらく全国のパソコン教室的なところでは年末が近づけば必ず定例メニューとして年賀状作成コースが催されていることと思います。で、PCの年賀状作成ソフトの代名詞と言えば今でも「筆まめ」が人気のようです。

年賀状ソフト・はがきソフト 人気ランキング(価格.com)

この記事を書いている時点では、なんと売れ筋ランキング、注目ランキング、満足度ランキングの全てにおいて筆まめが1位を獲得しているのに加えて、売れ筋ランキングでは上位3位を独占している一人勝ち状態です。

しかし最近は、無料ソフトでもそれなりに機能豊富で使える製品が増えてきましたし、なんとなれば日本郵便自らが無料でオリジナル年賀状を作成できる特設サイトまで公開しています。

日本郵便、年賀状が作成・注文できる特設サイト「郵便年賀.jp」本格オープン(INTERNET Watch 2014/11/1)

日本郵便は11月1日、年賀特設サイト「郵便年賀.jp」を本格オープンした。年賀はがきの通販や年賀はがき作成サービス、外部サービス連携で年賀はがきの発送も利用可能。年賀はがきの作成サービスは無料で利用できる。INTERNET Watch
年賀状作成関連ビジネスはライバルも多く大変そうです。しかも、実態としては電子メールやSNSの普及により年賀状を出す人もこのところ減少傾向にあります。

年賀ハガキの利用者が減っているらしい(Yahoo!ニュース個人 2013/12/2)

過去4年間に限られた範囲ではあるが(中略)年賀ハガキを出す人が少なくなっているのが一目で分かる。Yahoo!ニュース個人
上記記事中に示されているグラフを見ると、年賀状を出す予定の人が顕著に減少していることがよく分かります。性別や年齢などの属性による違いなども色々と見られてかなり面白いので、是非リンク先の記事でご覧いただければと思いますが、要するに年賀状関連ビジネスはこうした状況の影響をもろに受けざるを得ません。危うし、筆まめ。

ということで、筆まめの中の人達も色々と次のビジネスは何かを考えたのでしょう。そして出てきた答えがどうやらこれのようです。

株式会社筆まめ、新規サービスを展開。コミュニケーションサービスの提供を開始。(筆まめニュースリリースPDF書類 2014/5/22)

株式会社筆まめ(本社:東京都港区 代表取締役社長:萩原義博)は、従来からのソフトウェア開発・販売に加え、新たにコミュニケーションサービスを展開いたします。この新規サービスの第1弾として、家族とつながるクローズドSNS『まめほ』を2014年5月22日(木)に公開いたします。筆まめニュースリリースPDF書類
年賀状から一気にクローズドなSNSというのがすごいですね。サービス開発・提供の背景として以下のように説明されています。

弊社が新たにコミュニケーションサービスを開発するにあたり、もっとも身近なコミュニティである「家族」に着目いたしました。一緒に暮らす家族はもちろん、離れて暮らす家族とも、もっと手軽に深くつながることで、ひとりひとりが「ほっと」できる。家族のつながりの新しい形を提案するクローズドSNS『まめほ』を提供いたします。筆まめニュースリリースPDF書類
なるほど、画面を見ると基調となっているオレンジ色がいつかどこかで昔見たことのあるような懐かしい雰囲気で、まさにほっとするような気がしなくもありませんが、どうなんでしょうか。正直かなり思い切った振り方をしたものだなと。

この筆まめによる新サービス、いくつかのITニュース系サイトなどが軽く記事として取り上げていますが、概ねニュースリリースをそのまま掲載しているだけでネット民の反応もあまり無いようです。下記の記事などが軽くツッコミを入れていますが、まさにそういうことでしょうね。

筆まめ、独自 SNS「まめほ」公開、家族・身近な友達とだけ利用できるクローズドサービス(インターネットコム 2014/5/23)

少人数での交流を前提にしたクローズド SNS は、先行サービスの多い分野だ。恋人同士だけでつながる「Couple」「Pairy」、交流相手を最大150人に限定した「Path」など、ソーシャルメディア市場のニッチを埋めようとする試みは絶え間なくあらわれてきた。まめほが同市場で存在感を示せるかどうかは興味深い。インターネットコム
想像するに、筆まめ登録ユーザーにはもれなくお知らせメールが届いていたりするのでしょうが、何人くらい利用しようと思うのでしょうか。もしかしたら、mixiが隆盛を極めた頃にはPC等を使うこともなかったような高齢者層がガラケーからスマホに乗り換えて、これは新しいと飛びついたりする可能性もあったりするのでしょうか。興味深いです。

そういえば、リクルートグループがおっぱじめたビジネスマン向けSNSの「BIZ-IQ」がたまに会員向けにクソのようなスパムメールを送ってくるのを見、またBIZ-IQの公式twitterの死亡具合を見るに華やかなこの世界の暗部を垣間見る思いがいたします。

Twitter - bizIQ

皆様からのmixi年賀状、心よりお待ち申し上げております。