かつてSecond Lifeをイチオシした電通が、今度はPinterestと提携
さまざまな「ナイストライ」を続けている電通が、今度は楽天系のPinterestと提携し、何やら進めようとしているようです。
山本一郎です。安ワインを飲みすぎると具合が悪くなるという事例を先ほど体験しました。うえー、気持ちわりぃ。
ところで、その昔むかし、Webの未来がここにあるということで「Second Life」というサービスが大いにもてはやされ、トップ企業が次々と参入していくという素晴らしい時代がありました。当然のように電通も力を入れておりました。
「Second Lifeの可能性に賭けている」――電通の展望(ITmedia 2007/9/10)
「確かにSecond Lifeには課題は多い。ユーザー数も少なく、今は広告価値もない」と、電通メディア・コンテンツ計画局企画調査部スーパーバイザーの粟飯原(あいはら)健氏も認める。それでも同社が開拓を進めるのは、Second Lifeの可能性を信じているから。「3次元仮想世界は今後進化する。その可能性に賭けている」ITmediaとても夢のある壮大な話でしたね。
人間、大いなる空想に身を委ねる日々もまた必要だということであります。
電通が大人気と宣伝したセカンドライフが、ついに愛され続けて10周年(ニンジャ速報 2013/6/22)
で、Second Lifeで大失敗してしまった電通ですが、また懲りずに可能性のあるネットサービスへと次の賭けに出るようです。
電通が業務提携、写真共有SNS「Pinterest」の普及支援(ASCII.jp 2014/5/22)
電通は22日、米国発の写真・動画共有サービス「Pinterest(ピンタレスト)」を国内で展開するピンタレスト・ジャパンとの業務提携を発表した。(中略)電通はピンタレスト・ジャパンの戦略的パートナーとして、日本でのPinterestの活性化を支援するとともに、広告主や媒体社に対してPinterestを提案していく。ASCII.jpPinterestはここ数年米国においては、とくに女性ユーザー層に人気があるネットサービスということで注目されています。
米国で女性の5人にひとりがPinterestを利用:調査結果(WIRED.jp 2012/9/20)
ソーシャルメディアのスタートアップ界隈では、Pinterestのことを「最も女性に愛されているサーヴィス」という文脈で語ることが多い。この見方を強力に裏付ける調査結果が発表された。(中略)Pewのレポートによると、米国でインターネットを利用する女性の5人にひとりがPinterestを利用。これらのユーザーは、結婚式のアイデアからデザートのレシピ、休暇中の景色やスポーツカーを撮影したものまで、様々な写真を同サーヴィスに投稿しているという。WIRED.jp当初は人気があるにも係わらず収益を得られるシステムを持っていなかったために長続きはしないのではという観測もあったわけですが、ソーシャルサービス系からのトラフィック誘導において非常に効果があるという話が盛り上がるにつれ、Eコマースサイト周辺から熱い視線を集めるようになっています。
ピンタレストがツイッターを上回る、Webサイトにもたらすトラフィック(メディア・パブ 2014/5/9)
ネットマーケターにとって、ソーシャルメディアの重要性が高まっているのは言うまでもない。その中で気になっていたのが、フェイスブックは別格にして、米国においてソーシャルメディアの2番手として意外にもピンタレスト(Pinterest)が飛躍してきたことだ。日本では今一つパッとしないピンタレストであるが、米国市場では多くの分野でツイッターなどを引き離し、2位の地位を確保してきているのである。メディア・パブしかしながら、いみじくも上記記事の中で指摘されているように、米国では盛り上がっているPinterestですが、「日本では今一つパッとしない」状況でもあります。
興味深いのは、Pinterestの日本市場との関わりは決して急に始まったものではなく、2012年には楽天が大規模な出資を行い国内進出への足かがりを築いておりました。
楽天がPinterestに約40億円の出資。日本国内進出に向けて視界は良好...!?(ギズモード・ジャパン 2014/5/17)
今回の出資により、楽天はPinterestの日本国内進出を支援・協力するとともに、将来的に楽天市場との連携を狙っているとか。ギズモード・ジャパンしかし、実際に日本市場へ本格的な進出を果たしたと言えるのは昨年末。万全を期するがゆえに1年半の準備期間を要したということなのかもしれませんが、この手のネットサービスにしては随分ゆっくりしているようにも見えます。
写真投稿SNS「Pinterest」が日本語に対応--楽天の出資から1年半(CNET Japan 2013/11/12)
ピンタレスト・ジャパンは11月12日、写真共有SNS「Pinterest」の日本語版サービスを公開した。ウェブサイトまたはスマートフォンアプリ(iOS/Android)で利用できる。これにあわせて日本法人も設立した。CNET Japanちなみに、Pinterestが国内サービス開始に遅れた理由にはドメイン絡みの紛争もあったようです。
Pinterest日本展開とその裏に隠されたもう1つのストーリー(BLOGOS 2013/11/20)
確かに、日本知的財産仲裁センターのページにある「JPドメイン名紛争処理の事件・裁定一覧」には、「PINTEREST.JP」と「PINTEREST.CO.JP」を巡って紛争のあったことが記されています。
楽天からの資金を得、紛争も含めて無駄に長すぎる準備期間を経て、今回そこに電通がパートナーとして加わったのですから、もはや盤石の体制ということなのかもしれません。Second Lifeの時と同じようにこれから色々とバズが作り出され、メディアでの露出も増えていくということなのでしょう。どのような展開が繰り広げられるのかお手並み拝見ということで、遠くから生温く見守りたいと思います。
まあ、ある意味で混ぜるな危険という雰囲気もしないでもありませんが、朗報を期待したいと思います。