無縫地帯

Snapchatのサービス提供内容があまりにもデタラメだった件

欧州で人気だったメッセージサービス「snapchat」ですが、個人情報漏洩だけでなくアプリを通じて送られるメッセージや写真などは消滅するはずが消えていないなどの問題をやらかして興味深いわけです。

山本一郎です。猛暑で汗が止まりません。このままでは昼でもビールなど飲料を摂取しないと脱水などにより心臓に負担がかかってしまいます。暑いからね。しょうがないね。

ところで、国内ではあまり普及していませんが、欧米圏で高い人気を誇るメッセージングサービスに「Snapchat」というのがあります。しかしながら、このサービス会社はかなりデタラメな運用をしていて、460万人分のユーザー個人情報が漏洩するという事件を新年早々に起こしたりしております。その件は拙ブログでも取り上げたので覚えておられる方も少なくないでしょう。

今年も大規模な個人データ流出は止まらないようです

で、そのSnapchatがまたやらかしてしまったようで、今回は米連邦取引委員会(FTC)からツッコミが入っております。

スナップチャット、ユーザーを欺いたとする問題で米FTCと和解(WSJ.com 2014/5/9)
Snapchat、消えるのはうそだった…(APPREVIEW 2014/5/9)

FTCによると、スナップチャットはユーザーに対し、同社のアプリを通じて送られたメッセージ、写真、動画は10秒以内に自動的に消えると約束したが、実際には、その後も受信者と部外者がメッセージを見ることができた。また、FTCによるとスナップチャットはユーザーの維持情報は収集しないと説明していたが、アンドロイド端末の位置情報を収集していた。WSJ.com
実際のところ、サードパーティ製アプリを使ってSnapchatにログインが可能な上、受信したコンテンツは公式アプリでのみ削除されるため、利用者は画像や動画の閲覧から保存まで出来ると言う。(中略)これらサードパーティ製アプリは既に数百万回ダウンロードされたそうです。APPREVIEW
なんでしょう、この百度をまったく笑えない展開は。

Snapchatの最大のセールスポイントであったはずの、どんな写真でもすぐに消えるから大丈夫という機能が全くの嘘だったいうことですね。いやはや、これで恥ずかしい写真が流出してしまった人もいたりするのでしょうか。

Snapchatは「今後20年間、独立したプライバシー専門家によって監視される包括的なプライバシープログラムを実装する」(APPREVIEW])という条件でFTCと和解したそうですが、気になる点は「スナップチャットは事実関係については肯定も否定もしていない」([http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304155604579551194164834548.html WSJ.com)というあたりでしょうか。訴訟大国の米国のことですから、今後はユーザーによる集団訴訟が起きる可能性もありそうですが、当事者であるSnapchatが自らの非を公に認めていない状況がどう影響するのか興味津々です。

それにしても、こんなデタラメなサービスがFacebookによる大型買収の俎上に乗ったこと自体が今となっては遠い昔話のようにも思えます。

フォトメッセージアプリの「Snapchat」、Facebookの買収提案を拒否、米紙報道(ITpro 2013/11/14)

米Facebookがフォトメッセージングサービス、米Snapchatの買収を試みたと、複数の海外メディアが米Wall Street Journalの記事を引用して現地時間2013年11月13日までに伝えた。Facebookは現金30億ドル以上で、Snapchatを買収すると提案した。だがSnapchatはこの提案を断ったという。ITpro
しかも、FacebookはSnapchatを真似したサービスの「Poke」まで立ち上げていたのですが、今回のFTCとの和解騒動のタイミングに合わせるようにひっそりとサービスを終了していたりします。

Facebook、単体アプリ「Camera」と「Poke」をひっそり終了(ITmedia 2014/5/12)

米Facebookが2012年にリリースしたiOSアプリ「Camera」と「Poke」が米AppleのApp Storeから消えた。同社は5月9日(現地時間)、The Vergeに対し、これらのアプリを削除したことを認めた。(中略)Pokeは米Snapchatの同名の人気アプリに対抗してリリースされたもの。ITmedia
これを機にSnapchat的なサービスが衰退するのかどうかは分かりませんが、Facebookとしては高い金を払ってSnapchatを買収していなくて良かったと胸を撫で下ろしているのかもしれません。

さて、今回のSnapchatの件は、第三者が提供するサービスをどこまで信用していいのかという問題提起にも繋がる話でありまして、モヤモヤしたものを感じずにはいられません。残念ながら明確にこうしろと断言できるような答えはどこにもありませんが、Snapchatのようにその素行に信頼できない点があると分かった時点で、そのサービスは利用しないという判断を下すくらいしか今のところはないですね。

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