無縫地帯

読売新聞が面と向かってFacebookの広告をdisっている件

国民生活センターがSNSにおける広告やサービスの消費者トラブルについての注意喚起を始めており、中身を報じた読売新聞が素敵だったため取り上げてみました。

山本一郎です。各社のカオスな決算発表に一喜一憂しております。

さて、どうしても今さら感は拭えない部分もありますが、国民生活センターがようやくという感じでSNSにおける消費者トラブルについて注意喚起を行っています。

SNSの思わぬ落とし穴にご注意!―消費者トラブルのきっかけは、SNSの広告や知人から?―(国民生活センター 2014/4/24)

SNSに関連した相談件数は年々増加しており、2012年度の件数を2009年度の件数と比較すると、1.94倍(2009年度:2,518件、2012年度:4,878件)となっている。また2013年度においても、2012年度の同期よりも多く相談が寄せられている。国民生活センター
メディアでもこの件については記事として取り上げられておりました。

SNSで消費者トラブル増国民生活センター、注意を(47NEWS 2014/4/24)
SNS上の広告や勧誘に注意高額請求後に購入サイトが見つからないなど、トラブル増加中(ねとらぼ 2014/5/1)

同センターがトラブルの事例の1つとして挙げるのが、SNS広告をきっかけにした高額請求です。相談者らは美容関連の広告をクリックした結果、「1回300円でダイエット用サプリメントのお試しができる」「しわ取りクリームのサンプルが400円で買える」といったふれこみでクレジットカード情報や連絡先の入力を促されました。しかし、決済すると定期購入に申し込んだことになり、数万円の高額請求がくる事態に。クレームを入れようにも、購入のきっかけとなった広告が消えていて、申し込んだサイトにたどりつけない――こんなトラブルが起きているそうです。ねとらぼ
怪しい広告があるのは別にSNSに限ったことではないのですが、SNSだとなぜか油断して思わず罠にはまってしまう人が少なくないのかもしれません。気をつけたいところです。

ところで、こうした国民生活センターの注意喚起をきっかけにした報道記事の一つにかなり思い切ったものがありました。最初は個人ブログの記事なのかと思ったほどです。

Facebookの怪しい広告にダマされるな(読売新聞 2014/4/25)

人気のSNS、Facebookに怪しい広告が掲載されている。偽ブランドの販売広告、詐欺同然のお試しサプリメントの広告、さらには風俗サイトの広告まで登場。無法地帯に近いので、ダマされないように注意しよう。(ITジャーナリスト・三上洋)読売新聞
署名記事とはいえ、Facebookを名指しにするなど一般紙としてはかなり振り切れた感があります。好ましくない風俗広告の例として添付されているスクリーンショットでは「高級デリヘル」などという単語がそのまま見える形にまでなっており、これには正直驚きました。さすが三上洋先生、ストレートの振り抜き方が凡百のITジャーナリストとは違います。

また、登録された個人情報を使ってFacebookがいかに下衆なターゲティング広告を展開しているかも具体的な形で説明されており、個人的には喝采を送りたくなるような面白い展開になっていまして、読売新聞としては密かに打倒Facebookという意気込みが込められているように読めなくもありません。

冒頭で紹介したFacebookの風俗広告も、このターゲティングを使っているだろう。筆者を「スケベなオヤジ」として見たのかもしれないが、40代の男性に出した広告であることは間違いない。(中略)Facebookの広告は、形だけの審査はあるものの、実際はだれでも簡単に出稿できるものだ。特にFacebookページからの広告掲載は簡単で、クレジットカードだけで誰でも広告を出せてしまう。そのため、このような怪しい物、詐欺同然のものが登場してしまっている。Facebookで出てくる広告は、疑ってかかるほうがいい。読売新聞
それにしても「Facebookの広告は基本的に信用しない」とまで断言してますが、個人的な「いいぞもっとやれ」という心情とは別に当の新聞にしても怪しい広告が掲載される可能性が全く無いとは言えないわけでして、ここまであからまさにFacebookの広告事業を非難してしまって大丈夫なのかと、他人事ながら要らぬ心配までしてしまいます。まあ、読売新聞としてはそういう広告は絶対掲載しないだけの自信があるのでしょうか。

そういう問題が盛んに喧伝されているネット広告といえば、このところ動画広告の増加が著しいですね。PCでブラウザを開いて記事を読んでいて、意図せずマウスのポインタが広告の上を通過すると突然動画が開いて、大音響と共に見たくもない広告を見せつけられるのは非常に苦痛であります。そう感じている人は決して少なくないようです。

「御社のマウスオーバー広告がウザいんですけど」と聞いてみた(日刊SPA! 2014/2/22)

今後、この手の動画広告で詐欺や風俗の広告が展開されでもするようですと、まさに世も末であります。うっかり風俗の動画広告とかマウスオーバーしてしまった行動がターゲティングされて、変なところで名寄せされた結果が風俗系スパム大集合とかだとだるい人生を送ること間違い無しです。個人的な気持ちとしてはなんらかの自主規制なり法的規制をお願いしたいところですが、どうなんでしょうか。

これから先は、より悪質なスマホ向け広告が先鋭化していくでしょうから、消費者問題が続発しそうで楽しいですね。このまま任天堂が倒されてしまったりするのでしょうか。