無縫地帯

「XPのその後」中国爆裂篇

サポートを終了したwindows XPですが、その余波でPC販売が好調。一方、中国ではマイクロソフトの厚意を無にする形で独自の進化を遂げている模様です。

山本一郎です。ゴールデンウィークだそうですが、その実態はただの4連休です。ゴールデンなど飾りです。

で、先日、Windows XP終了のネタを当ブログで取り上げ、その中で「XPサポート終了の余波はまだまだ当分続きそうな気配があります」と書いた次第ですが、

XP終了で世の中が色々と盛り上がったようです

やはり期待通りに色々と余波が起きているようです。まずは業界にとって明るい話題から。

3月のパソコン国内出荷台数は20・8%増と過去最高大きかったXP終了特需(MSN産経ニュース 2014/4/25)

昨年4月から今年3月までの昨年度の出荷台数も前年度比8・6%増の1210万9千台で、過去最高だった。MSN産経ニュース
近年はPCの売上が低迷し、2013年の11月には「販売台数2けた減、PC需要は『近年になく落ち込み大きい』――“復活の処方箋”は?」(ITmedia])といった見出しの記事まで出るなど業界としてもかなり悲観的な状況でしたが、蓋を開けてみればあくまでも短期的な需要増であることは分かっていてもメーカーにとってはかなり美味しい展開になったと言えそうです。しかも、JIETAによれば「XPを使っている利用者がまだ残っており、4~6月は前年を上回る状況が続くのではないか」([http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140425/biz14042516510028-n2.htm MSN産経ニュース)という観測まであるようです。さすが、XP、ひっそりと姿を消すというような気配はまったくありません。

さらに、組込用途のXPについてはPC向けとは異なりまだサポートが今後もしっかりと継続されるのですが、それに付随した話に尾ひれがついて要らぬ不安を煽るようなデマも流れたりしています。運用ポリシーがしっかりしていれば今のところ問題ないはずですが、日経でも以下のようなノリの記事になってしまうあたり、それだけ「XP」という単語は耳目を集めてネタにしやすいということなんでしょうね。

XP搭載ATMは安全か国内にまだ17万台(日本経済新聞 2014/4/27)

いまなお国内で稼働するATMの9割でXPが使われている。インターネットと直接つながっていないATMがサイバー攻撃に遭う可能性は小さいとされるが、海外では被害も報告されており、安全とばかりは言い切れない。日本経済新聞
また、海外ネタでは前回の記事でうっかり見落としていた中国の話が色々と想定外の動きになっていて面白すぎます。

サポート終了で盛り上がり!?中国のWindows XP事情(ASCII.jp 2014/4/17)

中国人の間で定番のユーティリティーは、Windows Updateを介さずに脆弱性の修正プログラムをアップデートし、セキュリティーを強化するもの。Windows XPサポート終了後も、これまでサポートしてきた定番のユーティリティーベンダーが中心となってWindows XPをサポートするので、当の中国人ユーザーにとっては、今まで通りのサポートが続くという認識だ。ASCII.jp
Microsoftが安価にOSアップグレードへのパスを提供し、それまでの暫定措置として既存XPユーザーに色々と便宜を図ろうという思惑で中国メーカーと提携したにも係わらず、中国の企業やユーザーはそのMicrosoftの親切を仇で返すような方向へどんどん走っているというカオスな状況のようです。さすが中国で奥が深い展開と言えましょう。

さらに、ニュースソースがアレな感じではありますが、中国政府もXPを断固使い続ける方針という話まで出てきています。

「Windows 8は高すぎる」として中国政府はWindows XPを使い続ける予定(GIGAZINE 2014/4/24)

Windows XPユーザーが半数以上を占める中国では政府がWindows 8へのアップグレードを行う意向はなく、カスタムサポート契約を結ぶ予定もないようです。GIGAZINE
しかし、どうせ怪しげなニュースということであれば、より中国らしさを感じさせるのはこちらでしょうか。

XPのサポート終了に中国政府が不快感、国産OSの開発を強化へ―中国(レコードチャイナ 2014/4/26)

マイクロソフトが8日、Windows XPのサポートを終了したことを受け、中国工業情報化部チーフエンジニアの張峰(ジャン・フォン)報道官は、「この措置は中国の通信インフラの全体的な安全を脅かす。われわれは中国版Linuxの開発と使用への支援を強化する」と語った。レコードチャイナ
確か北朝鮮はすでに国産OSを開発していたかと思いますが、中国も負けずに頑張っていただきたいと思います。

北朝鮮産のOSが登場!しかしどうみても『MacOS X』のパクリ(ガジェット通信 2014/2/9)

さて冗談はともかくとして、XPのサポートが終了した後で最初のゼロデイ脆弱性が発見される事態が発生しました。

IE 6~11に未解決のゼロデイ脆弱性、Microsoftがアドバイザリ公開(ITmedia 2014/4/28)
再びIEにゼロデイ脆弱性 - 標的型攻撃も確認、Windows XP環境は特に注意を(マイナビニュース 2014/4/28)
サポート終了「Windows XP」に修正予定ない最初の脆弱性(Security NEXT 2014/4/28)

すでにこの脆弱性を狙った具体的な攻撃も始まっていることが確認されていますが、今のところ攻撃対象は「IE 9~11」ということです。---これらのバージョンのIEはXPに対応していませんが、攻撃に利用される脆弱性そのものはXP上で動作する古いIEにも存在しているためXPが安全という話では決してありません。---今後XPを狙った攻撃も開始されると考えておくべきでしょう。Microsoftでは「調査が完了した時点で月例または臨時更新プログラムを公開して修正する予定」(ITmedia)としていますが、---当然ながらもうXP向けに修正パッチが提供されることはありません---(訂正: 特例で、マイクロソフトから修正パッチが提供されたようです。ご指摘ありがとうございました)。いよいよXP始まったなというところでしょうか。今もXPを使い続けるユーザーはくれぐれもご用心ください。