格安スマホがシニア層に人気だそうですが大丈夫なんでしょうか
量販店などからMVNOの仕組みを使った格安スマホが登場、市場でシニア層を中心にウケているとの報道が出ておりますが、いろいろ見ていると安いがゆえの微妙な使い勝手やサポートの無さは逆に知識が要るのでは。
山本一郎です。人生がエブリデイロープライスです。嘘です。
ところで、そういう表現がはたして適切なのかどうかやや悩ましいところもあるのですが、このところ一部のメディアでは「格安スマホ」の話題がにわかに盛り上がっているようです。
格安「イオンのスマホ」、好発進(日経ビジネスオンライン 2014/4/4)
格安スマホ、家電量販もビックカメラ、月2830円ヨドバシは来月(日本経済新聞 2014/4/18)
ビック、ヨドバシも「格安スマホ」シニア層狙い流通続々参入(サンケイビズ 2014/4/19)
ビックカメラで端末代込み月額2830円の格安スマホ、1000台限定販売(ケータイWatch 2014/4/18)
関電系「ケイ・オプティコム」格安スマホ参入へ(2014/4/16)
こうした記事で取り上げられている「格安スマホ」というのは、いずれもMVNO(仮想移動体通信事業者)方式による携帯電話回線を提供し、接続速度やデータ通信量を制限することで接続料金を安く設定すると同時に、型落ちモデルや不人気機種等の端末を買い叩いて仕入れることでコストを下げることで、格安なサービス料金を実現しているわけです。
当然ですが、この手の安さだけを打ち出したMVNOの場合、通信速度などは主要キャリアが正規で提供しているものとは比較にならないほど遅いですから、その辺りを割り切って利用することも必要になるのですが、その辺りの事情をちゃんと理解してユーザーが契約しているのかどうかは気になるところです。
月間1ギガバイトのデータ通信が利用できるが、最大通信速度は毎秒14.4メガビットと、携帯大手が販売する最新モデルに比べ大幅に遅い。(中略)イオンでは、月額使用料が7000円程度になる携帯電話大手のサービスで、スマホ購入に踏み切れない層があり、機能などを制限しても、3000円程度ならば、需要があるとみていた。事実、データ通信速度は遅いが、発売から2週間で販売台数は6000台を超え、今月中には売り切れる見通しだ。特にシニア層からの人気が高く、「アクティブシニアが、半数以上」(コーポレートコミュニケーション部)という。サンケイビズまた、仮に通信速度の遅さについては既に明記されているため皆さん承知してるとしても、端末のサポートについて考えているユーザーはあまりいないのではないかという危惧があります。スマホの場合は従来のガラケーと異なり端末上で扱うデータも増えますし、それだけセキュリティ面でも注意しなければならないのですが、最低限のセキュリティアップデート等が主要キャリア扱いの端末と同じように提供されるのかどうかといったところは要確認でしょう。
もっとも、国内キャリアから提供されているAndroid端末でも売りっぱなしのままOSアップデートもろくに提供されないという事例はありますから、下手な国内メーカー品よりもイオンの扱うGoogle直系モデルの「Nexus 4」の方が最新OS環境を利用できて良いという考え方もできなくはありません。
ただ一つだけ言えることは、こうした格安スマホの場合、端末に不具合が生じたり使い方がよく分からないといった場合などに、ドコモと同じような至れり尽くせりのサポート対応はあまり期待できないだろうということです。そうしたコストを削減することで「格安」が実現しているのですから仕方ないですし、価格が安い分は自助努力が求められていると考えるべきでしょう。
格安スマホにはそうした背景があるわけですが、今の「特にシニア層からの人気」が高いという状況を見ていると、はたしてシニアの皆さんは大丈夫なのかなとちょっと心配になってしまうのですが、それは余計なお世話ということなのかもしれません。
ちなみに、実践的な格安スマホ運用ノウハウについては以下の記事などが参考になりそうです。
スマホをとことん安く使いたいなら格安SIM+格安IP電話アプリが最強!(PC Online 2014/4/22)
記事の中ではしっかりと「安いのには理由があるし、注意すべきポイントもある」と明示され、「日常的に無線LAN(Wi-Fi)を利用できる環境である」ことが前提という但し書きもあったりします。こうした情報を理解できるだけのリテラシーがあって初めて格安なスマホの運用が可能というのが実態だと思うのですが、シニアに向けた「格安スマホ」のセールス現場ではここまでの説明はあまり無さそうですし、仮にこんな面倒な説明をいちいちしていたら売れるものも売れなくなりそうですね。
そういう知識があってはじめて成立する格安を使いこなせる男になりたいです。