「収益不足」大手SNSの取り組みに周囲困惑
Twitterがいままで盛り上がる原動力であったサードパーティの締め出しとも思える施策を打ち出し、悲嘆と困惑の声が渦巻いております。収益か、外部化か。難しい取捨選択の舵取りがそこにはあるようです。
やまもといちろうです。SNSはもっぱらHoot Suiteを使っている自称名誉mixi会員です。
ところで、SNS「Twitter」の人気クライアントソフト「TweetDeck」が、iOS版/Android版/AIR版を開発終了し、5月初旬には配布も停止するようで、波紋を呼んでおります。
Twitter、TweetDeckのモバイルアプリの提供を5月に終了へ(ITmedia 2013/3/5)
この記事によれば、TweetDeck側の言い分としては「モバイル端末では公式Twitterアプリを使うというのがトレンドになっている」とありますが、実際のところは、Twitterがサードパーティー向けに解放していたAPIの規格が変更されるため、開発者側としてはこれに対応するのが徐々に難しくなってきたという流れがあります。
Twitter API 1.1への移行に際して #tweetbotjp(Togetter 2013/3/1)
いろいろと制限が厳しくなる、Twitter API 1.1への移行。TwitterがAPI運用でサードパーティーに厳しくなってきた背景には、建前としてユーザー体験の向上などを掲げていますが、実態としては自社サービスによる広告売上の拡大を狙ったサードパーティー製アプリの排除ではないかという観測が大きいです。確かに、そうしたい気持ちは分かる。API変更自体は昨年の8月に発表されていましたが、すでにこの時点で開発者からは懸念する発言も出ていました。
Twitter APIの変更人気クライアント開発者が「パニックにならないで」(ITmedia 2012/8/20)
Twitterは(今回の変更で)変わりやすく、予想できないことがはっきりした。今後また何を禁止するか分からない。私はTwitterでビジネスを構築することはもうないし、(省略)大きな機能を追加するつもりもない。もし私がTwitterクライアントアプリを提供していたとしたら、他のサービスに乗り換えるだろう一方で、SNS同士の連携でも色々と軋轢があり、いまだ憶測レベルですがこんな話も出てきています。
「いいね!」が欲しければTwitter経由のFacebook投稿はやめること(TechCrunch Japan 2013/3/4)
もしFacebookで「いいね」を集めたいと考えているのなら、Twitterへの投稿が自動的にFacebookにも投稿されるようにはしない方がいい。私の経験によると、そうした投稿に対しては、Facebookが厳しく「ペナライズ」するようなのだ。投稿のリーチが大幅に狭まることになるようだ。TwitterとFacebookの連携に関する諍いは、これまでにもFacebookが買収した写真サービス「Instagram」に関して、Twitterがブロックし、Twitter上からInstagramの写真が見えないようにするということがありました。
Instagramの写真がTwitter上で非表示に(INTERNET Watch 2012/12/10)
そんな中、Googleはサードパーティーとの連携を強化する方針をアピールしています。まあ、Google+がTwitterやFacebookほどイケてるSNSか、といわれるとまたこれが微妙なので、サードパーティーの活力を呼び込みたいという気持ちが強いのは理解できるわけですが。
Google+アカウントでサードパーティーサービスへのサインインが可能に(ITmedia 2013/2/27)
情報収集やコミュニケーションの手段として、Twitter、Facebook、Google+といった大手SNSを活用している方は多いと思いますが、そこにあまり依存してしまうと、ある日突然、SNSの思惑だけでサービスが突然打ち切られてしまい途方に暮れるという事態が発生する可能性も否定できません。あくまでもツールの一つとして、いつ無くなっても困らないような心がけで臨みたいものではあります。
それにしても、APIを公開して皆で連携して頑張ろうみたいな、Web 2.0時代から続いてきたネットならではの脳天気な共同幻想は、こうして無くなっていくのでしょうか。致し方ないとは言え、ちょっと寂しくも感じてしまいます。
もうここはmixiとはてなしか我が国において頼れるSNSはないんじゃないかと思いますので、もう倒産する覚悟でサービス改善に取り組んで欲しいものです。