総務省の調査結果(ただし速報)でGoogle+の意外な存在感が明らかに
総務省の情報通信メディア関連の公的調査の速報で、なぜかGoogle+がLINEに次いで二位という驚きの結果にネット社会が騒然としておりました。
山本一郎です。今日も咳が止まりません。毎朝食後にヤクルトを飲むのが日課なんですが、ヤクルトを飲んだ後で医者から処方された抗生物質を口にするわけです。ええ、細菌を殺すために出ているのが抗生物質です。何かこう、せっかく腸まで届こうとしているヤクルト菌が、胃のところで抗生物質の錠剤に叩き潰されているさまを考えると、我が身の中でアクセルとブレーキを踏むという逡巡が芽生えているのが実感できます。生きろ、ヤクルト。
ヤクルトの話が長くなりました。恐縮です。ところで、総務省が平成24年から実施している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」について、平成25年調査の結果を速報という形で発表しました。
「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(速報)の公表(総務省)
速報はPDF形式で公開され誰でも閲覧可能となっています。同調査は以下のような目的で実施されており、メディア関連の仕事等に携わる者であれば必ず目を通しておくべきデータといえましょう。眺めているだけで面白いですよね。
スマートフォンの普及等により利用が進んでいるソーシャルメディア等のインターネット上の新しいメディアと、テレビ、新聞といった従来型のメディアについて、時間帯毎の利用実態、利用目的、信頼度等を把握し、メディア間の関係を明らかにする総務省結果の注目点としては、平日のリアルタイムなテレビ視聴時間が対前年比で約9パーセント減少している一方、そうしたテレビ視聴では20パーセント前後が携帯電話を使いながら視聴しているということ。また、若年層のコミュニケーション手段はメールからソーシャルメディアへ移行しているのが明らかになると共に、この傾向は若年層以外にも拡大しているとのこと。スマホ利用も全体で52.8パーセントと過半数を超えました。
ここで特に注目されるのが、具体的にどのソーシャルメディアが利用されているのかという調査結果です。予想通りといいますかLINEの普及が著しく、全体で対前年比2倍を超える伸びを見せ、20代では80パーセント超、40代でも40パーセント超が利用している状況です。
で、興味深いのがLINEの次に人気のソーシャルメディアが何かということなんですが、なんとGoogle+がFacebookを僅差でかわして2位に着けております。この結果を見てちょっと微妙だ、何かがおかしいと感じるネット民は少なくないようでして、まずは面白ネタとして取り上げるブログ記事がありました。
総務省調査で日本のGoogle+利用率がLINEについで2位という謎を解く(More Access! More Fun! 2014/4/17)
みんなびっくらこいているわけです。なんと日本人の1/4以上がGoogle+を使っていて、FacebookやTwitterよりもずっと多いと!!(中略)年齢が上がれば上がるほどGoogle+の利用率順位は上がり、なんと60代では第1位だ。(中略)60代の81.7%がガラケーで、スマホが8.7%しかいないのに、Google+使ってる人が7.7%。なんとスマホ所有者のうち88.5%の利用率。ガラケーでもGoogle+の一部は使えるらしいがそこまで無理してる60代はいないと思います。(中略)大胆な仮説を立ててみたいと思います。すなわち高年齢者の多くは、GoogleとGoogle+の区別が付かなかった!!More Access! More Fun!かなり強引なオチになっていますが、実はまんざら間違ってもいないように思えなくもありません。そうしたところが、同じ問題をより客観的な事実の積み重ねで論考しているブログ記事が公開されました。
「LINEの次にGoogle+が高利用率」総務省の調査結果を検証する(ガベージニュース 2014/4/18)
現時点では2013年分の調査票が未公開のため(前年通りなら7月頃公開予定)、確定はできないものの、「検索サービスのGoogleと、ソーシャルメディアのGoogle+を勘違いして回答した人がどの世代にも一定数おり、それが全体のGoogle+利用率を底上げする形となった」と推論づけられる。仮にその推論が正しいとすれば、今調査のGoogle+関連の値は、多分にぶれが生じていると見なさなければならない。もちろんGoogle+がそれなりに高い利用率を示していることに違いはないだろうが、今件素データのようにFacebookを超えた値であることは考えにくい。ガベージニュースやはり、GoogleとGoogle+を混同した人が一定数いたのではないかという推測が成り立つという結論に至っています。上記記事では調査に利用された設問の設定が不適切であったのではないかと指摘されていますが、その辺りの検証部分については是非リンク先の記事を読んでいただければと思います。
というわけで、これはさすがに総務省の調査がちょっとやらかしてしまったのかとも考えていたのですが、ここですかざすITmediaがしっかりと総務省へ直にツッコミを入れておりました。
GoogleとGoogle+を混同?「SNS利用率2位はGoogle+」調査結果への疑問、総務省に聞いてみた(ITmedia 2014/4/18)
総務省に取材したところ、「Google+をGoogleと間違った回答が含まれる可能性は認識しており、調査票では『Google+(グーグルプラス)』と表記して誤解を招きにくいよう配慮している。間違いよる誤差があったとしても、それが数字を大きく押し上げることはない」(三島由佳・情報通信政策研究所主任検査官)との認識。夏に発表予定の報告書では、間違いが含まれる可能性について注釈する予定という。ITmedia個人ブログをきっかけにして話題が盛り上がり、それをしっかりと商業メディアがフォローして事実を明らかにするという絵に描いたような美しい展開ですね。そして、ここでの注目点は、総務省も「Google+」の認知度の低さは織り込み済みで設問を作成していたというあたりでしょうか。
それにしても「Google+の利用者数を押し上げているのは10~30代の若年層が中心」(ITmedia)という状況は、もしかしてやはり掟破りとも思えるようなAKBの起用が功を奏したということなのでしょうか。
なぜ、Googleが本気を出したはずのSNS「Google+」は流行らないのか?「AKB色を全面に出したのが大失敗だと思う」というユーザの声(アプリオ 2013/4/26)
Google+のAKBスパムがうざい(Marketing bizarre 2013/11/28)
いずれにしても今回の総務省の調査結果についてはあくまでも速報ということなので、6月末~7月はじめ頃に発表予定とされる正式な報告にてより精緻な分析を期待したいところですが、さすがにGoogle+がいつの間にか国内でこれほどまで普及するに至った原因というところまでは踏み込まないでしょうね。個人的にはGoogle+がFacebookよりも優位だったという数字にはなんとも不思議な感覚を抱いてしまうので、できれば得心がいく理由を知りたいところですが。
来年のmixiとはてなの盛り返しを強く期待したいところです。