無縫地帯

Facebookが広告出稿増大を目論んで微妙な施策を絶賛展開中のようです

いままで無料を謳ってさんざん企業などに公式のFacebookページその他を開設させておきながら、そこに「いいね!」した人に情報を企業が届けようとすると金を取る方向にFacebookが転換したようです。

山本一郎です。雨が降っていますが、スワローズファン的には克服しなければいけない壁であると認識しています。

ところで、3月下旬くらいからFacebookがアルゴリズムを変更したらしく色々と巷で話題になっております。以下の記事などは、比較的早くそのことに触れた日本語記事の一つかもしれません。

フェイスブックの極端なアップデートによって、Facebook ページの投稿がユーザーに届きにくくなっている(ReadWrite Japan 2014/3/20)

フェイスブックはこれまで長い間、コンピューター制御によるルール(いわゆるアルゴリズム)を使ってユーザーのニュースフィードに表示する内容を決定してきた。最近同社はこのアルゴリズムを調整し、Facebook ページ(組織や企業によって運営されるプロモーション用のページ)からの投稿がユーザーのニュースフィードに表示される確率を減らした。(中略)実際のページビューがどれくらい影響を受けているかどうかは不明だが、Valleywag が本日報告したところによると、Valleywag の有機配信数は同社のページで「いいね」ボタンを押してくれた人数のおよそ 1~2% にまで減少しているという。ReadWrite Japan
こうしたポリシー変更への対応策としてFacebook側では企業ユーザーなどに対して「他のメディアと同様、企業が人々に自分たちのコンテンツを見てもらいたいのであれば、最善の戦略はこれまでと変わりません。広告料を支払うことです」というコメントを出したそうでして、これは当然多くのユーザーから反感を買うのではないかなと見ていたわけですが、まだこの記事が出た当初は国内ネット民の間での関心はそれほど高くなかったように思います。

しかし、その後にいわゆる炎上系の見出しでPVを稼ぐ素敵な人気サイトのギズモード・ジャパンがしっかりと期待を裏切らない記事を掲載しまして、一躍国内ネット民の間でも大きな話題となりました。

Facebookページリーチ激減り、ただ乗り終了のお知らせ(ギズモード・ジャパン 2014/3/31)

やはりこういう切り口の見出しでないと多くの人にはクリックしてもらえないのかなと思うとやや残念な気持ちにもなりますが、そのような本音はともかくとして、ギズモードの記事も大筋は先に触れたReadWrite Japanと同様なのです。で、注目したいのは追記された以下の情報でして、やはりアルゴリズム変更の影響は確実に出ているようです。

UPDATE:Social@Ogilvyが100社以上を対象に行った最新調査でも、ピークの10月から2月までに49%減って平均6.15%、いいね50万以上の大手は2.11%という結果です。情報筋からはコミュニティ管理者に「近い将来ゼロになる覚悟で」という非公式のアドバイスが行われているそうです。ギズモード・ジャパン
で、このギズモード・ジャパンの記事に触発された論考記事がありましたのでご紹介しておきます。

Facebookページのリーチ激減りとSNSのビジネスモデルの脆弱性について(Future Insight 2014/3/31)

常々、Facebookはこれからどうやって収益率を上げていくのだろう、とおもっていたけど、まさかFacebookページのリーチ率を下げて、有料広告の出稿を増やす作戦にでるとはちょっと予想外だった。(中略)SNSの中で流通する個人以外の情報を有料広告の出稿量に比例させるように変化を行っている中に、どのあたりにSNSの活動の最適ポイントがあるなか、とかんがえると、今後の動きもうっすらと見えてくると思う。Future Insight
このブログ筆者が言うところの「うっすらと見えてくる」今後の動きがどんなものなのかはよく分かりませんが、Facebookとしては出稿量を増やさなければ食っていけなくなることだけは確かなので、今回の動きはビジネスとしては正当化されるものだったということでしょうか。ただし、そうした流れに納得できない客が離れていくのもまた至極当然の話でして、とある企業ユーザーがFacebookへ非難の声を上げたというニュースなどもすでにあります。

人気ページがアルゴリズム変更でリーチ激減「あなたは変わってしまった」とFacebookに別れの手紙(ITmedia 2014/4/1)

個人的には「あなたは変わってしまった」のではなくて「あなたの本性にようやく気づきました、申し訳ございませんでした、これで失礼させていただきます」という話ではないのかと思います。とはいえ、いままでさんざん煽ってFacebookページで興味関心を集めさせる無償のマーケティングツールを提供してきたFacebookとしては、今後このあたりのバランスをどう取っていくのかが一つの課題になりそうです。

さて、Facebookについては色々と思うところもある訳ですが、個人的に最近一番合点がいった話は先にちょっと非難めいた指摘も書いてしまったギズモード・ジャパンの以下の記事でして、いやあギズモード・ジャパンはやっぱり面白いですねとちょっとだけフォローを入れておきたいと思います。

オタクモードとかFacebook市長()とか死滅しかねません。これはいけないことです。ゆるせませんぞこれは。

Facebookが新デザインを捨てた理由(ギズモード・ジャパン 2014/3/31)

私(または今これを読んでいるあなたも)のモニタは27インチの超高解像度のシャープなものかもしれませんが、多くの人のモニタはそうじゃないってことです。世界全体では、アップルとかデルの高解像度モニタより、低解像度の小さなスクリーンの方が一般的なんです。私たちがテストしたデザインは、10インチのネットブックではうまく動きませんでした。1記事だけですら、表示範囲に収まらないんです。ギズモード・ジャパン
FacebookのGUIがダサイのは世界標準でよくよく考えた結果であるというのは、グローバルなビジネスを考える上での一つの参考にもなる話です。まあ、今後はPCじゃなくてスマホの画面が基準になっていくでしょうから、さらなる検討も必要でしょうが。

ところで、mixiページはどうなってしまうのでしょうか。