無縫地帯

キャッシュバックキャンペーン終了の声に踊らされた週末のMNP騒ぎ乙でありました

通信キャリアの間で加熱するナンバーポータビリティ(MNP)キャッシュバック騒動、いまでは1台5万円も当たり前になりつつありますが、そんな中ひと騒動あったようです。

山本一郎です。今日も風が強いですが、タワーマンションの高いところのベランダに、敷布団が並んで干されてます。ビル間の強風に煽られてビラビラとめくれまくっている様子を見るにつけ、日本の伝統芸能である布団が吹っ飛んだ瞬間を目撃したいという衝動に強く駆られます。それにしても、安全上、大丈夫なのでしょうか、あれ。

すみません、余計な話が長くなりました。さて、このところキャリア間でのMNPユーザー争奪戦が過熱するに従って、巷のケータイショップでは法外とも言えそうなキャッシュバック金額が提示される異常事態に陥っておりまして、ちょっとしたお祭り騒ぎになっております。なぜこうしたことになっているのか、その辺の事情を分かりやすく説明した記事がありましたがのでご紹介しておきます。

「MNPでキャッシュバック○万円」のカラクリとは?(ITmedia 2014/3/13)

キャリアがそこまでMNPに躍起になる理由はどこにあるのでしょうか。新規契約では純粋に1回線増になるだけですが、MNPだと他社契約が-1、自社契約が+1になるのでこちらの方がライバルに差を付けられます。そのため、各社のMNP争奪戦という名の契約獲得競争はますます白熱し、今のような状況に至ります。ITmedia
単純明快ですね。一人のユーザーの移動で2倍美味しいという話です。で、この記事が面白いのは、こうしたキャッシュバック資金の出所はどこかというところまで言及している点です。

肝心なお金の出どころですが、その元手のほとんどは、私たちが支払っている通信費。キャリアは収入の一部を販売奨励金として使い、新たなユーザーを獲得しているのです。MNPした人はお得ですが、いちずに特定のキャリアと長期契約し続けている人など、その裏で割を食う人たちがいるのも事実。ITmedia
一つのキャリアに忠誠を誓ってずっと使い続けるユーザーが原資になっているという、残念ながらかなりブラックな状況ということです。損得勘定に聡いユーザーであればこうした事態をそのまま見過ごすことはまずないわけでして、当然機会があればMNPしていくらかでも元を取りかえそうと考えるのは人情というものでしょう。

キャッシュバックの実弾が飛び交うMNP争いの結果は直近だと以下のような感じとなっています。

ドコモが「気持ちいい適切なキャッシュバック」対抗、純増首位返り咲き。MNPはau首位(Engadeget日本版 2014/3/7)

ドコモは相変わらずMNP戦線では苦戦しているようですが、それでも「2月は1月よりもキャッシュバックを強化したため、MNPも改善しています」と広報がコメントしているくらいですから、やはりMNPで戦うにはキャッシュバックが必須というのがキャリア側の認識であると解釈できます。まあ、MNPで優勢なKDDIはその結果を「キャッシュバック施策によるものではありません」としているようですが、そこは勝てば官軍でなんとでも言えるでしょう。

しかしながら、こうしたMNPを巡るキャッシュバック額の高騰は健全な事態であるとは言えません。関係官庁をはじめ各所で問題視されているという話は以前からちらほら耳にする機会もありましたが、ここに来てかなり具体的な話が業界事情に詳しいジャーナリストの本田雅一氏からポンとツイートされたわけです。

MNPの話はもうブログなんかにも出ているのか。以前から話はありましたが、今週、順に各社呼ばれて根回しがされたようです。法的な制限ではなく、各社に同時に総務省から電話が入るってことですね。で、一緒に辞める。毎月のMNP向けCBは昨年夏ぐらいは数10億規模だったのが、今や200億超え本田雅一(本人未確認)
で、これを受けたモバイルニュース系ブログが反応して煽り気味な記事をアップしたと。

MNP大幅優遇まもなく終了、ついに携帯各社がキャッシュバックを減額へ(BUZZAP! 2014/3/13)
iPhoneのMNPキャッシュバック、3/16で各社一斉終了へ。総務省が「官僚組織の掟」破り指導(iPhone Mania 2014/3/16)

さらに、多数のケータイショップがこうした情報に連動するように「16日まで」という期間限定で大々的にキャッシュバックの宣伝をネット上や店頭で週末に繰り広げておりまして、その一部顛末を取材したブログ記事も出ていますが、こちらを読む限り春休み時期に重なって学割申込ユーザーが多いことからもかなりの混雑だったようです。

「MNPでiPhone5s無料+キャッシュバック終了」最終日の現場で直撃取材!(iPhone Mania 2014/3/16)

しかしながら、高額キャッシュバックキャンペーン終了の理由については、いまいちハッキリしない感じです。

3月16日でキャンペーンが終了する事情を聞いてみると、「キャリアからの指示で・・・」と言うスタッフもいれば、「総務省からキャッシュバックをやめるよう指導があったようで・・・」と話すスタッフもいました。iPhone Mania
また案の定と言いますか、16日の午後にはキャリアのMNP処理サーバが落ちたという話もあったようです。

auに家人のiPhone機種変更に行ったら待たされた挙句にサーバダウンですごすごと戻る。
MNPのキャッシュバックがなくなるとかで駆け込みラッシュらしい。
そんなことでサーバダウンってあかん…白猫提督 a.k.a しろねこ
で、本当に面白いのはここからでして、高額キャッシュバックキャンペーンの最終日は16日だったはずが、なぜかその翌日も引き続き同等なキャッシュバックキャンペーンが延長・実施されているという情報がTwitter上にあったりします。

なるほど、やめるやめる詐欺か。RT @isloop 二転三転する厄介業界/ あれ、終了じゃないの?NTTドコモはMNPでの適切なキャッシュバックを3月31日まで延長!iPhone 5sやGALAXY S4などが1台で5万円CBfrnk
よくわかんないけど、Twitterで見る限りはMNP関係、先週と変わりないCB出してるようにみえるんだけど...ゆいたゃん(ナルチョマ)
キャッシュバック延長の動きが一部店舗による営業努力なのかどうかはよく分かりませんが、まさに「必死にMNPしてた人オツやな」という感じでしょうか。

総務省から各キャリアへツッコミがあったという本田氏のツイートそのものは本当のことだと思われますので、いずれ今の過剰なキャッシュバックを利用したMNPユーザー争奪戦が終わりを告げることは間違いないのでしょうが、その終わりが16日の日曜日だったというのはちょっとしたデマだったのかもしれませんね。穿った見方をすれば、本田氏のツイートに端を発して個人ブログや掲示板等があることないことを書き立てた結果、ちょっとしたパニックがショップと客の間で起きていた可能性も考え得るところです。

それにしても、今回の騒ぎの余波は「auからドコモへのMNP、障害継続中」というように日を跨いでもMNPサーバ周りへ障害を及ぼしたようで、システムを担当する中の人は本当におつかれさまでした。

私もSNSをmixiに乗り換えればお金が貰えるのでしょうか。