東芝がChromebookをいよいよ国内販売するかもしれないという話
ハード業界のダークホース気味であったChromeOS搭載の低価格端末が東芝から出るらしい、という話を聞いて期待を隠せません。結構良いんじゃないでしょうか。色物マニア的に。
山本一郎です。半袖でうろうろしていると視線が辛いです。みんなもっと自分を解き放てばいいのに。
ところで、この記事を書いている時点では産経しか報じていないため確証はありませんが、どうやら東芝がChromebookを国内で販売する可能性が出てきたようです。
“グーグルPC”4月に日本上陸東芝発売へ(MSN産経ニュース 2014/3/8)
Chromebookとはなんぞやということですが、まあ記事に書かれた説明の通り「米グーグルの基本ソフト(OS)「クローム」を搭載したノート型パソコン(PC)」ということです。かなり乱暴にまとめると、GoogleのWebブラウザ「Chrome」だけが動作する専用ノートブックで、ワープロや表計算といった全てのアプリ動作はChrome上で処理される仕組みですが、もう少しちゃんとした説明が必要な方にはやや古いですが以下の記事が参考になると思います。
最近よく聞くグーグルの「Chromebook」って?(CNET Japan 2013/6/18)
注目すべきポイントとしては、データ保管はGoogleのクラウドストレージ「Google Drive」を使い、またアプリはクラウド上にあるWebアプリを利用するため、常時オンライン接続して使用するのが原則となっている点でしょう。そのため、若干のオフライン機能も提供されるようですが、基本はネット接続できる環境が必須となります。
で、Chromebookがこのように注目されている理由は、Googleが提供するWebサービスがメインでそれなりの品質が担保されているだろうという期待感に加え、とにかく端末価格が安いということにつきます。
Chromebook を購入すべき6つの理由と、購入すべきではない6つの理由(インターネットコム 2014/1/22)
Google Chromebook サイトで紹介されている9台の Chromebook のうち、8機種まではその価格が350ドル以下だ。(中略)Chromebook の購入は一般的なノート PC の購入に比較して、3年間で5,000ドルのコスト削減につながるという。インターネットコムこうした経済的なメリットはセールスにも如実に反映しているようで、上記記事によれば「米国における2013年1月から11月までの Chromebooks の販売台数シェアは、ノート PC 売上全体の21%にも達し」ており、「米国 Amazon.com における2014年1月のノート PC トップセラー上位2機種は、Chromebook が占めている」そうです。
まあ、メリットがあれば当然デメリットもあるわけですが、ここではそれを論じるのは主ではないので気になる方は上の記事に書かれている「Chromebook を購入すべきでない6つの理由」をご自身でお読みください。
ともかく、安くてそれなりに使えそうなノート型PCの代替物がようやく東芝からも国内発売されそうだというのが今の状況です。
では、なぜ東芝はこれまで日本国内で展開していなかったChromebookを、今のタイミングで発売に踏み切ろうとしているのでしょうか。理由としてはやはりWindows XPサポート終了ということが一番にあげられそうです。しかし、それだけじゃ当たり前過ぎるというか誰でも思いつく話でして、さらにもう一つ重要なファクターがありそうなんですね。それが何かというとネットブックです。
ネットブックは2007年に登場し、販売ピークの2009年前後を過ぎるとその需要は急落してしまいましたが、当初は非常に多くの人々から注目されました。表向きに目立ったのは、やはりギーク層を中心とした新しもの好きな人達による反応でしたが、その一方で家庭用にPCは欲しいのだけれど経済的に手を出せないという人達が価格の安さに惹かれてネットブックを購入したという例も多かったように思われます。そして当時こうして売れたネットブックの多くはWindows XP搭載でした。
その後ギークなユーザーであればネットブックのOSをわざわざXPから8.1にしてみるとか、Ubuntuを入れるなどという酔狂な話もあるようですが。
ネットブックをwin8.1にしたよ(chocottoの『お気楽ブログ』 2013/10/19)
さすがに普通に家庭用PCとしてネットブックを購入した層であれば、そのまま今もXPで使っている人がほとんどなのではないでしょうか。で、こうしたユーザーにとってポストXPマシンとして訴求力があるのは、もしかするとAndroidやiOSが搭載されたタブレットやWindows 8.1マシンではなく、安価でしかもGoogleというブランドが付いたChromebookだったりするのかなと想像してみた次第です。何をいまさらという感じかもしれませんが、国内レイトマジョリティー層にとってみればテレビでCMを見ることも増えて漸くにGoogleが世界的に有名かつ新しいブランドであるという認知をされだしたタイミングであり、そこに堅実な国内ブランドの東芝が新たにノートPCを作って販売するという組み合わせであれば、なかなかに説得力のあるマーケティングを実現できるかもれいないという。あくまでも一つの仮定なんですけれどね。安くてキーボードがあってネットが出来ればいいという価値判断でネットブックを選んだユーザー層に対しては、Chromebookはそこそこ受け入れられる素地がありそうに感じます。
一方でギーク層に新しいプラットフォームを売るにはまったく異なった攻め方が必要なようでして、さすがクールジャパンというか、こんな国は地球上で他にはなさそうでして、まだまだ平和で良かったなという。
「艦これ」が火付け役!タブレット市場に異変世界シェア2%のウィンドウズタブが日本で台頭(東洋経済 2014/3/9)
これは世界的に見ても日本だけの事態だ。米調査会社ガートナーが3月3日に発表した全世界のタブレット販売統計では、ウィンドウズ搭載型のシェアは2013年暦年でわずか2%。10~12月を抜き出してみても「日本以外は、この傾向に変化がない」(ガートナーの佐藤篤郎シニアアナリスト)。東洋経済世界でもiOSがトップな我がジャパンの真骨頂とも言えましょう。骨の髄までガラパゴス。でも独自なのは個性ですし、きっと良いことですよね。ね。寒くても半袖が個性です。