あのキングソフトがまたやらかしたようです
中国の面白会社「キングソフト」が、オンラインバナー広告に「警告!」などとユーザーを煽る文言のコピーをつけ、広告を踏んだユーザーにセキュリティソフトを売りつけるという素敵なフィッシング紛いをやりました。
山本一郎です。最近ウォッカを飲まないと逆に調子が悪い感じがして、病むのは嫌いなので禁酒しようとしています。
ところで、これまでも色々と香ばしい話題提供等でネット民に人気のあるキングソフトですが、また何やらやらかしてしまったようです。彼らも酔っ払っているのでしょうか。とりあえず過去の件については、昔の拙ブログ記事などをご笑覧ください。
我らが高木浩光先生にキングソフトがステマ依頼を行い派手に玉砕した件で
で、今回も広告絡みでトラブルが出ております。
Twitpic上の「警告!」悪質広告をキングソフトが釈明、「中国の代理店が勝手に」。取下げへ(Engadget日本版 2014/2/19)
スマートフォンでWebサイトを見ていると突然、画面に警告メッセージが表示されるものの、実は真っ赤なウソで、アプリのダウンロードを促す悪質な広告でした。そんな事例が話題になっています。誘導先アプリの開発元であるキングソフトに状況を取材するとともに、スマホ向け悪質広告への見解を問いました。(中略)状況を確認するため、キングソフトへ問い合わせると、Clean Masterの件について把握していました。当初「弊社とは一切関係ない」とコメントしましたが、後に訂正しています。Engadget日本版いやー、あまりにも悪質すぎて心がワクワクしますね。確かに仕組みとしては思いつきはするけど、実際には絶対にやらないタイプのことを素敵な笑顔で平然とできるその精神はやっぱりとても中華でございます。
そして、なかなか豪快なのはキングソフト側による以下の釈明あたりでしょうか。
広告会社との契約は中国本社が行っており、広告バナーは広告会社が制作。キングソフトでは「広告クリエイティブは広告会社が勝手に作っている」と話しています。Engadget日本版うーん、広告会社が「勝手に作っている」からといって、そういう広告会社に発注しているのはキングソフトなんですよね。まあ、「成果報酬型広告の競争が過熱している中国では、広告クリエイティブ、つまり広告バナーを広告会社側が勝手に差し替え、ダウンロード率を高める手法が横行している」ような状況だと、ある意味で出稿側も被害者なのかもしれませんが、なんともスッキリしません。まあ、どうであれ釈明が聞き入れられる余地は少ないでしょう。Engadgetの記事でも書かれているように「アプリを利用する側からすれば、中国のネット広告事情は関係ありません」ということです。
この手の類似事件は昨年末にも起きていましたが、スマホが普及することでこうした事例はさらに増える可能性もあり気になるところです。
勝手にAndroidアプリをダウンロードしようとするバナー広告が出現(ガジェット速報 2013/11/16)
また、PC向けではアドネットワークを踏み台にしてマルウェアが配信されるような事例も起きています。
Yahoo!の広告からマルウェアが送り込まれて何千人も感染する事態が発生(GIGAZINE 2014/1/6)
こうなってくると広告配信事業者やサービスを信頼できるのかという話にも飛び火する可能性はあります。残念ですが、今回の事例を理由に中国の広告事業者は現状では信頼するに値しないと判断する人もいるでしょう。はたして企業にモラルを任せることはできるのかという命題にも至ります。
ここでやや牽強付会な話のもって行き方にはなりますが、全ての企業が以下のような性善説に適う存在であるとするのはナイーブに過ぎるのではないかなとも感じる次第です。
通常の企業は、みずからのビジネスが継続させることを前提としています。利用者からの信頼を損なってしまっては、ビジネスを継続することはできません。企業は利用者のことを、いちばん真剣に考えている主体です。利用者を無視した行動をとることは基本的にはありえないと思います。NHK NEWS WEBこれが僕たちの望んだ素敵なスマホ社会の本当の姿なんだよ…。