無縫地帯

ソフトバンクが絶好調らしい件

ソフトバンクの企業業績が拡大しているという話があるようです。

山本一郎です。そこそこ好調です。

ところで、ソフトバンクが2013年4~12月期の連結決算における営業利益でドコモ越えをしたそうでおめでとうございます。決算発表を受けての報道は色々と出ていますが、以下の日経の記事が今後の課題なども含めて各ポイントをうまくまとめていて分かりやすいです。昨今のつまらない飛ばし記事にはいささか愛想を尽かすところもありますが、この辺りはさすが経済新聞を名乗るだけの手堅い仕事ぶりで好感が持てます。

ソフトバンク通期営業益、ドコモ超え純利益最高(日本経済新聞 2014/2/13)

ソフトバンクの業績が拡大している。12日発表した2013年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純利益が4882億円と前年同期比58%増え、同期間として過去最高を更新した。通期の営業利益はNTTドコモなどを抜いて携帯電話業界で首位を固める勢いだ。(中略)ただ、足元で好調な国内事業は減速する兆しも出始めている。10~12月期に限ると、ソフトバンクの契約数の純増は69万2000件で、前年同期の86万1000件を下回る。海外の買収先についても、米スプリント事業の10~12月期は358億円の営業赤字だった。契約者の純減が響き、赤字が続いている。日本経済新聞
米スプリントの事情については丁度こんな記事が出ておりました。

スプリント「独り負け」=大幅赤字続く―米通信大手決算(時事ドットコム 2014/2/12)

3位スプリントは6万9000件減。前期の53万5000件減から改善したが、LTE整備などの設備投資が重しとなり、依然10億ドル(約1020億円)超の赤字を抱える。時事ドットコム
ソフトバンクとしてはさらなるキャリア買収も目論んでいるようですが、なかなか前途多難な気配もあって、いつもの強気な孫社長のコメントもやや微妙に見えなくもありません。

米携帯電話市場は2強2弱、健全な競争環境にない=ソフトバンク社長(ロイター 2014/2/12)

FCC当局者によると、ウィーラー委員長はスプリントとTモバイルUSの統合について、難色を示したという。スプリントとTモバイルUSの統合をめぐっては、米司法省反トラスト局のベア司法次官補も競争環境維持の観点から反対する姿勢を示している。ロイター
まあ、そりゃあそうですよね。

しかし、今回の決算発表で何気にインパクトがあったのは、ドコモを抜いたという話よりも実は中国のAndroidアプリストア「Wandoujia」に出資して筆頭株主になっていたということでしょうか。相変わらず目の付け所と攻めの姿勢が孫正義で感服します。

ソフトバンク、中国最大級のアプリストア「Wandoujia」の筆頭株主に(CNET Japan 2014/2/13)

Wandoujiaは中国で新規に出荷されたAndroid端末におけるインストール率が約5割と高い。また、同ストアは2012年4月にサービスを開始したが、2014年1月時点ですでに3億ユーザーを抱える巨大ストアへと成長しているという。(中略)Wandoujiaが有する3億人のユーザーに対して、子会社であるガンホー・オンライン・エンターテイメントやスーパーセルのゲームコンテンツ、その他グループ企業のサービスなどを提供していきたいと意気込んだ。CNET Japan
そんな素敵な孫さんですが、さらに素敵な発言が決算発表会における報道陣との質疑応答の場であったようです。

孫社長、“通話は5分以内”の新定額プランは「かけ直せばいい」(CENT Japan 2014/2/12)

たとえば、恋人同士が繋ぎっぱなしで喋ってもいないのに、朝まで枕元で『そばにいるだけで嬉しい』みたいな使い方は困る。多くのお客様に平等に提供するためにはなるべく1回の通話は5分で終了してほしいCENT Japan
確かにこんな使い方をされてしまうとキャリア側は困るでしょうね。それにしても、この例え話を壇上であの顔で語っていたのかと思うと、失礼ですが失笑してしまいました。

で、真面目な話としては、キャリアの提供するプランが理不尽でよくないと消費者が判断するのであれば単に使わなければいいだけですから、ソフトバンクがはたしてこんなサービスを提供してどれくらい加入者がいるのか興味津々ではあります。まあ、個人的にはKDDIの田中社長ではないですが「あれ、高くない?」と思う次第ですが。

ソフトバンク音声定額に「あれ、高くない?」――KDDI田中社長の決算会見囲みにツッコミ(ITmedia 2014/2/7)

ちなみに、上記記事はIT系ジャーナリストの石川温氏によるものですが、その石川氏は別の記事でこの「通話定額制」なる代物についてさらなる面白いツッコミを入れていまして、血気盛んな石川氏には是非各キャリア社長3人を相手にしてのぶっちゃけ対談みたいなことをやっていただきたいところでなんですが、どこかのメディアは企画しないですかね。

ソフトバンクが今春導入するスマホ“通話定額制”の残念な内容と真の狙い(週プレNEWS 2014/2/3)

SBMが通話料金定額制を始めたとなれば、ドコモやauも後れを取ってはなるものかと、似たような条件のプランを近く打ち出してくる。そうしてライバル社の対抗プランが出そろった頃合いを見計らって、孫正義社長がツイッターあたりでさらに魅力的な本命の定額プランを電撃発表すると、『さすが孫さん、消費者のことを考えてくれてる!』とネット上で話題になる。つまり、4月の時点でSBMが導入するプランは、他社を引きつける“おとり”のようなものだと見ています週プレNEWS
ソフトバンクはすばらしいきぎょうですね。ばんざいばんざい。