無縫地帯

難しすぎて大ヒットという話題のゲーム「Flappy Bird」が今度は謎の突然削除でまた話題の件

一発芸的アプリの死滅が恐れられている昨今、その難易度の高さゆえに話題となった「Flappy Bird」が今度はアプリストアから自ら削除したという事案が噂になっているようです。

山本一郎です。いろいろと鳥のようにバタバタしております。

ところで、その鳥を題材としたゲームでゲームの難易度が高すぎてクリアできないがゆえに世界中で人気を集めて大ヒットという不思議な現象が起きておりました。

あまりの難易度で人気爆発のFlappy Bird。制作者によるゲーム3本が一気にトップ10入り(TechCrunch Japan 2014/2/3)
ベトナム発カジュアルゲームが米国App Storeランキングを席巻!…無料ランキング上位10タイトルに全アプリがランクイン(Social Game Info 2014/2/3)

『Flappy Bird』は、2013年5月に1.0.0をリリース、9月に1.1.0をリリースしており、12月まではランキング圏外にいたものの、12月27日にゲームアプリの”家族”カテゴリで26位にランクインして以来、徐々に頭角を見せ始める。そして、それ以降順調に右肩上がりで順位を上げていき、今年(2014年)1月17日より無料ランキング1位にランクイン。Social Game Info
Flappy Birdは現在、iOS版とAndroid版とで1日に2、300万件ダウンロードされているそうだ。しかし、ここに至るまでFlappy Birdはお金をかけたプロモーションを一切行なっていない。現在の地位も広告などのプロモーションのせいではないというわけだ。TechCrunch Japan
よくありがちな絨毯爆撃方式による広告出稿などは一切行われなかったそうで、当然アプリストアのランキング操作などもやっていないようです。いわゆるネタ的な扱いでSNSなどでのバイラル効果が相互作用してシンクロニシティが生じ、通常ではあり得ないような異常なほどのブーストが自然に行われたと見るしかなさそうです。それに、こうしたブームを分析するような記事が大手ネットメディアで盛んに取り上げられたことも、さらに火に油を注いだことは間違いないでしょう。

Flappy Birdのレビューを書くのもブームのようになっていると指摘する。高得点がとれずいらいらばかりが募るゲームについて、出来る限りわかりやすい形で、しかし馬鹿馬鹿しい感じのするようなレビューを書くことが競争のように行われているのだ。TechCrunch Japan
で、なんとピーク時にはアプリ内広告だけでデイリー5万ドルの稼ぎを叩き出していたそうです。

Flappy Bird:やめたいけどやめられない、世界中で大人気の鬼畜ドット絵ゲーム(アプリオ 2014/2/7)

「Flappy Birdを無料で提供し広告で収益を上げる方法を採った理由は、それが日本のスマホゲーム市場で一般的だから」と語るNguyenは、今ではゲーム内のバナー広告から1日あたり平均して5万ドル(約510万円)を稼ぎ出しているそうだ。アプリオ
日本のスマホゲームのマネタイズ手法を真似たというのは別の意味で興味深い話でもあります。

ところが、これだけ調子が良かったはずのFlappy Birdでありますが、突然作者がアプリストアから削除してしまい、これがまた新たな話題を呼んでいます。

人気ゲーム「Flappy Bird」、作者がアプリストアから削除(ITmedia 2014/2/10)

人気が急上昇していた無料モバイルゲーム「Flappy Bird」が2月9日、米AppleのApp Storeと米GoogleのGoogle Playから消えた。作者のドン・ニュヤン氏が「ユーザーには申し訳ないがこれ以上やっていられない」と22時間前にTwitterで予告し、自ら削除した。ITmedia
作者はTwitter上でこの削除の理由をコメントしていますが、なかなかに微妙といいますか、なんとも哲学的でもあります。

2月8日に「Flappy Birdは私のゲームとしては成功したといえますが、私の日常生活を台無しにもしました。だから、今ではこのゲームが嫌いです」とツイートし、しばらく後に「Flappy Birdのユーザーの皆さんには申し訳ないが、今から22時間後にFlappy Birdを削除します。これ以上やっていられません」と宣言した。ITmedia
このゲームがなぜ世界中で爆発的なヒットをしたのか謎でしたが、突然の削除も不思議なものがあります。

一部では以前からこのFlappy Birdが任天堂のゲームに似ているという指摘がありました。

ゲーム動画を見れば、どこからどう見ても任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」をモチーフにしていることが丸わかりだからだ。あの緑色の土管、コインをゲットしたときのような効果音、水中面に登場する敵キャラのプクプクに似たキャラクターなどを見ると、二十数年前の自分を思い出さざるをえない。アプリオ
で、あまりにゲームが話題となり儲かりすぎてしまった作者が怖くなってしまったのではないかという憶測もあるようです。

人気ゲーム「Flappy Bird」が発表通り公開停止に ー 本当の公開停止理由はあの「土管」が原因か?!(気になる、記になる… 2014/2/10)

開発者であるDong Nguyen氏は、公開停止の理由を「過大評価され過ぎ、もう耐えられない」と述べていたものの、一部には任天堂からの法的措置を恐れていると漏らしており、あの”土管”のデザインが影響しているものと思われます。気になる、記になる…
はたして、本当のところはどうであったのかよく分かりませんが、作者の人には新しいゲーム開発で頑張っていただきたいと思う次第です。

ところで、こうしたシンプルで懐かしい趣のゲームがスマホ市場で売れるということが改めて実証されたわけですが、こうしたゲームを得意とし、また過去のゲームタイトル資産も大量に抱えている任天堂がなぜスマホ市場で活用しないのか、これもまた多くの人が興味津々となる一つの謎ではあります。

任天堂、1月30日の事業方針説明でスマホに参入発表か?日経の記事が伝える(GameCast iPhone 2014/1/28)
スマホに陥落?否、ぶれない任天堂(日本経済新聞 2014/1/31)

岩田社長いわく「自社のゲーム資産をそのまま移植したとしても、それはスマートデバイス向けの娯楽として最適ではないと考えていますので、このようなアプローチを取ることは一切想定していません」「これをもって、『マリオをスマートデバイスに供給』と報道されますと、完全にミスリードになってしまいます」(中略)ここまで不振が続き、経営環境も悪化の一方をたどっているにもかかわらず、こういい切れるぶれない姿勢。それこそが任天堂の強みであり、魅力だといえます。日本経済新聞
トップ記事で任天堂がスマホ市場へすわ参入としか読めないような飛ばし記事をデカデカと掲載した日経が、その後日、編集部ブログでこういう記事をしれっと書いてしまうあたりもなかなか趣があって楽しいものです。

日経の飛距離には定評がありますので、やはり市場で私財を投げ込む投資家は凄い飛距離のホームランを打たれないよう警戒する必要がありそうですね。