無縫地帯

「アホ男子母死亡かるた」界隈で何やら焦臭いようですが大丈夫でしょうか

昔は2ちゃんねるやmixiの投稿をパクった書籍発売で炎上という事例が多かったですが、最近では主戦場がTwitterになって、一層やり口が巧妙になってきて面白いです。

山本一郎です。元アホ男子であり、現アホ男子父であります。

一昨年の冬頃からのようですが、男の子を育てるお母さん方が子育てにまつわる苦労話を愛情をこめて短歌風にツイートしたものがハッシュタグ「#アホ男子母死亡かるた」でくくられて、多くの人から注目されておりました。主なツイートはTogetterなどにもまとめられています。

#アホ男子母死亡かるた まとめ(Togetterまとめ)

さらに昨年の9月には、フジテレビの「とくダネ」でも話題として取り上げられたようです。その際に、私も地味に出演していました。何という奇遇。

アホ男子いろいろ(スズコ、考える。 2013/9/11)

で、このアホ男子母死亡かるたが面白いと思った主婦の方が一人、自分の詠んだ句にイラストを付けてブログに公開されておりました。このイラストがそれなりに良く出来ていたことがきっかけとなり、出版社から書籍化しないかというオファーがあり、今回めでたく販売されることになったというお話のようです。

立ち読み:アホ男子かるた(株式会社ユーメイド)

ここまでならたいへん美しいお話なわけですが、どうもネット界隈がざわついております。その原因となったのは、上記ページにも記載されている「ネタ」募集にあるようです。

優れた作品は「アホ男子かるた」のネタとして漫画になります。
twitterではハッシュタグ「#アホ男子かるた」または「#ahodanshi」と入れてつぶやいてください。株式会社ユーメイド
まぁ、元々は「#アホ男子母死亡かるた」のハッシュタグで皆がツイートを寄せ合って楽しんでいたところに、商用利用を前提にして類似ハッシュタグでネタを集めようというのは、ユーザー感情的には面白くないというのはありますよね。

#あほ男子かるた という微妙に違うタグを作成してネタを改めて募り、そのタグと私の作った #アホ男子母死亡かるた のどちらものネタを合わせたまとめを別につくっているようです。そのまとめを本人が書籍化するのだから問題ないと言うことだったのでしょうか……:イシゲスズコ(オットスキー部)|https://twitter.com/suminotiger/status/427819950963568641
あたかも、自社発信の #アホ男子かるた タグで、オリジナルのコンテンツを収集してるかのよう。元ネタが #アホ男子母死亡かるた にある旨の記載はなし。asaco
「#アホ男子母死亡かるた」が大好きで、楽しませてもらったし力をもらった。たくさんの母ちゃんズもそうだと思う。しかしそっくりの名前のパクリ本が作られ。ツイまでパクってパクリタグ立て。「うちは法律的には問題ありません」と、「アホ男子母死亡カルタ」書籍化が類似後発扱い…今ここはな@ちくわの穴
いやー、これはじわじわと燃え広がる類のいい炎上ですね。好感が持てます。

しかもなにやら盗作疑惑があるとすると、事は穏やかではありません。早速、我らが佐々木俊尚氏も駆けつけてきております。

このハッシュタグで、またも人々のツイートを勝手に使って書籍を出版するという事件が起きてるんですね。しかも似たようなハッシュタグ別につくって独自に見せかけるってのは悪質かも……。#アホ男子母死亡かるた佐々木俊尚
現時点では客観的な事実がハッキリしないため、ここでどうこういう判断は差し控えたいところですが、もしツイートを著作者(今回の場合はツイートした本人)に無断で引用して商用利用しているのだとすると、それは著作権侵害行為になる得ることだけは注意したいところです。やや特殊な例となりますが、過去に他人の写真を勝手にツイートしたものが報道目的で商用利用され、それが裁判で著作権侵害であると判断された例も米国ではありました。著作権違反した通信社と画像販売業者には120万ドルの賠償金支払が命じられています。

Twitter上の画像を無断転用したAFPなどに120万ドルの支払い命令(スラッシュドット・ジャパン)

それにしてもここ最近、どう考えても出版社自らが墓穴を掘ってしまっているようにしか見えないSNS絡みの事故案件が増えているようにも思えるのですが、それは単なる気のせいなのでしょうか。ちなみに、今回問題となっている書籍を出版する会社の社長さんの名前をGoogleで検索すると妙な結果が帰ってくるんですけど、これは何かやってるんですかね……。

去年は盛大にやらかした秋田書店など出版業界のオリジナルネタが興味深かったわけですが、今年はもっともっとカロリーを消費して原発に換わる代替エネルギーとして活用して参りたいと思います。