無縫地帯

家入一真を新しがる人々は、偉大なる先行事例であるKNN神田敏晶を崇めるべき

分かっていないやつが多すぎる。家入一真と堀江貴文の取り組みは面白いし貴重だが、それよりもはるかに前に、選挙制度のハックを試みたり、身体を張って逮捕されたKNN神田敏晶という逸材が残した足跡を知るべき。

山本一郎です。頑張って仕事をしています。

先にGoogle Glassを装着したまま映画を鑑賞したかどで逮捕された馬鹿についてのエントリーを書きましたが、その中でKNN神田敏晶さんについて少しだけ触れました。

Google Glassを付けたまま映画館で映画を観てたら逮捕されたでござるという話(ヤフーニュース個人 やまもといちろう 14/1/23)

しかし、記事に対し頂戴した反響の中に、KNN神田について知らない、興味ない、なにこいつといった軽視する内容が多数見られ、そういいたい気持ちは深く理解するところであり一部賛同するのですけれども、KNN神田という男の稀少な先進性については解説せずにはいられません。

っていうか、KNN神田を舐めるんじゃないぞ。貸し金を踏み倒し選挙に挑戦したイット業界人というカテゴリーでは、家入一真の十年は先を行った男なんだ。KNN神田の様々なエピソードに比べればほんのわずかのことながら、代表的なものを以下に解説してやるから惜しみなくKNN神田を崇拝していただけるとありがたいです。

■ 公道でセグウェイ乗って罰金喰らい押収されたセグウェイの返却を懇願する男、KNN神田

「セグウェイ返してください!」キャンペーン(KandaNewsNetwork KNN 04/6/24)

当時、新しかったセグウェイで公道を走り、未認可であるが故に逮捕され罰金刑を喰らったKNN神田。曰く、時速5kmで爆走していたところ警察にパクられ、10ヶ月以上の長きに渡り押収されたセグウェイを返却されずレンタル料金が発生したと言う。借りたセグウェイで走り出して逮捕されて泣いているKNN神田の背中を見て、さすってやりたくなるのは私だけでしょうか。

でも、当時セグウェイってセンセーショナルでした。そういう新しい物を見て、変な帽子を被ったKNN神田が人目のある場所で走りたくなる気持ちはとても分かります。普通の大人なら絶対にやらないようなことに全力で取り組むKNN神田は偉大です。

■ 『政治2.0』を掲げて2007年にネット選挙を世に問うて参院選に出馬した男、KNN神田

家入一真が堀江に担がれ都知事選に出馬する7年前、すでにネット選挙の限界に挑戦していた男、それがKNN神田です。前を行き過ぎて眩暈がするぐらい、先見性のある人なんです、神田って人は。

堀江貴文も2005年に衆院選に出馬していますが、そのころは豚でしたからね。

神田敏晶(かんだ・としあき)マニュフェストベータ版(KandaNewsNetwork KNN 07/7/5)
神田敏晶、大地に立つ(やまもといちろうBLOG 07/7/6)

この勝てるわけのない無謀な選挙に打って出て、一万余票を獲得したのみで散っていった神田の生き様というのは乾いた心に染み渡るものがあります。見果てぬ新天地を目指して勇躍出航した船が湾から出る前に沈没し、満面の笑顔で泳いで港へ帰ってくるKNN神田の姿が目に浮かぶようです。

ちゃんと総括もしており、選挙とは何であるかを身をもって示しておられます。

参議院選挙に出馬してわかったいくつかの事(KandaNewsNetwork KNN 07/7/30)

驚くべきは、ここでマニュフェストとして提示されているKNN神田のやりたいこと、伝えたいことは、家入一真のそれとほぼ同等か、むしろより高い熱量で論じられていることです。つまり、少なくとも政治家の質としてはKNN神田未満の状態で家入一真は出馬してしまった、ということをも意味するわけです。

私たちは、神田の挑戦を絶対に忘れてはならないと思います。私に言わせれば、家入一真の活動は量産型KNN神田と言われても仕方がないです。

それにしても、供託金はどうなったのでしょう。KNN神田は政党を立ち上げるという話があったはずなのですが、いまからでも遅くありませんので、一刻も早く家入一真や堀江貴文と合流してインターネッ党を結成して欲しい、そして仲間割れして血みどろの抗争を繰り広げ、ネットウォッチ界の至宝として永遠に輝いて戴きたいです。

KNN神田敏晶氏、残念ながら落選も「次は政党を立ち上げる」?!(TERAinformation 07/8/5)

■ 東日本大震災の福島原発事故よりも早く原子力問題でガセネタを流しラジオから排除された男、KNN神田

先見性のありすぎるKNN神田の真骨頂がこちら。なんと2004年に書いたブログ記事「真実と事実はちがうバグダッド」での「日本の原子力発電などに利用された劣化ウランが米国に販売もしくは、廃棄物利用のために利用されている」という驚愕の内容で東京電力からクレームをつけられラジオ番組から降板させられるという事例です。

真実と事実はちがうバグダッド(KandaNewsNetwork 04/2/6)
〔劣化ウラン〕神田敏晶氏がスポンサーの意向でラジオ番組から排除(低気温のエクスタシー(故宮) 10/1/11)

すげえよ。この神田って男、本当にすげえよ。内容はガセネタだけど、東日本大震災が発生する2011年3月11日よりも早く、炭鉱のカナリア状態で先駆的で前衛的な東京電力批判を展開したあと、優雅に権力に叩き潰されているKNN神田はエスパーなのかと見紛うほどです。地震がきたあと、そういえばと思い出して検索かけたら記憶どおりにこのネタが出てきたとき、私は震えたね。西野カナ状態だったね。

そもそも何で神田がバグダッドにいたの。

■ 津田大介とほぼ同タイミングでTwitterの凄さに着目し世に広めようとしたけど圧倒的敗北を喫した男、KNN神田

津田大介の出世作『Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流]』(09/11/6刊行)とほぼ時を同じくして、Twitterの将来性に着目しTwitter関連本を上梓しているKNN神田。その名もズバリ『[http://amzn.to/1egGvqT Twitter革命』。版元はソフトバンククリエイティブ、刊行は09年11月18日ですんで、たった二週間の差でブレイクし損ねるも、心あるネットヲチャーの間ではこのハナ差2着は伝説になっています。

ひょっとすると、その後メディアで持て囃されているのは金髪ではなくテンガロンハットだったかもしれないわけでね。
このKNN神田の「もってない」感じがとても好きです。

でも、こうやっていつものKNN神田が笑ってインタビューを受けているのを見ると、まるでさざえさん一家のような変わらない光景が繰り拡がっていて安心するわけですね。人柄が出ているっていうか、本当に好きだわ、KNN神田。むしろ、変にブレイクしないほうが神田らしいと思うわけです。

INTERLITERACY 第23回 神田敏晶

なお、本は読んでません。

■ まとめ

言っておきますが、KNN神田の生き様というのはここで簡単にトピックスでまとめて終わるほどのものではありません。この男の凄いところは、自分が進んだ道を後からやってきた家入一真をピュアな心で応援していることなんですよ。FACEBOOKで神田敏晶のページを見ると、カバー画像にしてまで家入一真を応援しています。

神田敏晶 FACEBOOK

プライドってものはないのかよ。家入さんも、こういう先人をもう少しリスペクトしてあげるべきです。

素敵なんだよなあ、神田敏晶。真の意味の先駆者であり、失うことを怖れず前に進み挑戦し続ける男の肖像だと思います。こういう人間国宝級の存在があるからこそ、ネットで楽しく日々過ごせているんだという感謝の気持ちを忘れずに、日々を生き抜いていきたいものです。

KNN神田のニュース個人はこちらです。

IT起業家、家入一真都知事選出馬、ホリエモン副知事誕生するか?(ヤフーニュース個人 神田 敏晶 | ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント 14/1/22)

まあ、どうでもいいんですけどね。