無縫地帯

二次創作界隈では相変わらずゴロな輩が暗躍しているようでけしからんです

このところ、漫画などの二次利用を中心とした同人市場が絢爛でありますが、著作権者「黙認」という意図的なグレーゾーンを突いて著作権ロンダリングとでも言うべき黒い世界が広がってまいりました。

山本一郎です。けしからん男ではありません。

ところで、わざわざ「二次創作」という言葉を選んでみましたが、ざっくばらんに言えば「同人」作品のことです。同人と言えば「コミケ」ということで、昨年末のコミケには遂にあのディズニーまでが参加しております。

ディズニーがコミケに初の企業参加(RBB TODAY 2013/10/25)

こうした同人市場の可能性については非常に多くの論考がすでにネットで散見されますが、その規模は概算で600億円程度という話もあるようです。

“違法な”同人誌はなぜ放置されている?600億円市場に突然警察介入の可能性も…(ビジネスジャーナル 2013/3/10)

ちょっと調べてみたのですが、同人誌を取り扱う市場は、媒体で300億円弱、流通形態で300億円強、合計600億円市場といわれているらしいです。ビジネスジャーナル
この額が大きいと見るか小さいととるかはその視点によって随分異なるとは思いますが、日本結婚相談所連盟の記事によると婚活ビジネスの市場規模が丁度「500~600億円」だそうで、どちらの数字も具体的なソースは不明ながら「へー」と思うわけです。

婚活ビジネス市場の傾向(日本結婚相談所連盟)

まぁ、そうした規模のビジネスですが、同人市場というのは先の記事の見出しにもあるように「警察介入」のリスクを孕んだ世界なんですね。その理由は著作権侵害にあります。こうした問題点の指摘は遠い昔から繰り返されていることなので、すでにもうよくご存じで聞き飽きたという方も多いとは思いますが、改めて二次創作の「必要性」と「違法性」についてわかりやく解説している記事がありましたので、ご紹介しておきます。

『二次創作と著作権について』 限りなく真っ黒に近いグレー(てすかとりぽか 2011/7/19)

そうしたものが一切許されなくなるのは困るけれど、拡大解釈して無法なことをされても困るという、なかなかに扱いがむつかしいものです。しかし、それがビジネスとしてどんどん肥大し、いつの間にか婚活ビジネスと同じくらいに大きな規模になっていたと。

で、そうした中で相変わらず無法なことをやって荒稼ぎをしている輩がいるという報告も上がってきています。

二次創作イラストの無断グッズ化の仕組み(Togetterまとめ)

二次創作絵を作者に無断でグッズ化して販売するケースが増えています。
今回起こったケースは合同誌に寄稿したイラストが丸ごと他のサークルによって無断でグッズ化されるというものです。
ところがこの合同誌を製作したサークル自体が・・・Togetterまとめ
この件が報告通りだとすると、最初から無断で二次創作したイラストをグッズ化するために複数の団体を作り上げていたと推測され、かなり悪質な手口と考えざるを得ません。昔から「同人ゴロ」などと呼ばれ決して新しいことではありませんが、同人市場の規模が大きくなれば当然のようにこれまでよりも多くの人々から注目される機会も増え社会問題化しやすくなります。これまでグレーであった領域が完全にクロとして認知され厳しい取り締まりの対象となる事態も起こり得るでしょう。関係する同人誌販売店などは今後のことも含めてしっかり対応していただきたいところです。

ちなみに、上記のまとめでは「著作権ロンダリング」などという造語まで出てきておりこれはこれで面白いですが、この言葉がネットに登場したきっかけはまさにネットに跋扈する数々の素行が良からぬまとめサイトを非難するためだったようです。

まとめブログへの転載禁止を明記した画像が改竄、著作者ロンダリングされた後にまとめブログに転載されるまでの顛末まとめ(erumotoの日記 2013/12/25)

ブログ記事を書いた筆者としては怒りが収まらないといったところでしょう。気持ちはよく分かるつもりですが、はたしてあれが著作権侵害になり得るのかどうかを弁理士の方が論じておられます。

著作権ロンダリング(今日も重馬場~弁理士馬場信幸のブログ~ 2014/1/2)

通常、あるデータに基づいて作成された表は、「創作性」が否定され著作物には該当しません著作権ロンダリング

結論としては、裁判してみなければ本当のところは分かりませんが、著作権侵害という判断になる可能性は残念ながら低いようです。しかしながら、「禁転載」と記載された部分を削除して掲載する行為そのものは決して誉められた行為ではなく「個人的には問題があると思います」という結論になっています。やはり著作権は一筋縄ではいかずむつかしいですね。

ご利用は計画的に。