無縫地帯

「ノマド」か「カフェで長居」か

少し前までは旬なキーワードであった「ノマド」。最近はかなり廃れた感はありますが、昔から喫茶店やファミレスに長時間居座り勉強したり、パソコン使って働いたり…線引きが難しすぎ宗教戦争みたいになってます。

やまもといちろうです。日曜一日子供を抱いてうろうろしていたら腕と腰が大変なことになっております。

このところ、ノマドにあこがれる人というのがいたらしく、それは単なる不正規労働やフリーランスのことなんじゃないかと誰もが思っていたと思いますが、その働き方の一つに「好きな時間、好きな場所で働き、成果を出して対価を得る」というものがありました。

カフェで長居する客「お断り」で大論争「自己中にもほどがある」「場所代込みだろ」

自分なりの働き方の模索の結果として、組織の中で働くよりも自分でペースを作って仕事に取り組んだほうがパフォーマンスが出せるという結論に至ったのであれば、それはそれで尊重するべきことであります。何を隠そう、私自身も大学を出て最初就職こそしましたが、実家にあまりにも借金が多く、こんな金額はサラリーマンの初任給の中から返せるようなものではないと悟り、またサービス残業やら休日出勤やらに耐えられるほどの体力に自信がなかったためにあっさり組織人に見切りをつけて、独立しました。それが良かったかどうかは分かりませんが、自分なりに考えて考え抜いて出した結論が「自力で働く」ことでありました。

喫茶店で働く、それも、店員としてではなく、そこの場所を使ってできる仕事を仕上げるというのは、モバイル全盛のこの時代になる前からなくはありませんでした。かくいう私も、20代のころクライアントのオフィスの近くにあるドトールの席をコーヒー数杯で長時間占拠して提案資料を取りまとめたりした記憶があります。はっきりいって、カフェに長時間居ることに対して文句を言える資格はありませんし、いまでも地方都市に出張して、ホテルにいるのが辛くなるとスターバックスやマクドナルドなど電源のある環境に数時間居て書き物や作業をすることがあります。自分の会社のオフィスはあるし、社員も雇っている以上はノマドとしての自覚は無いけれど、都度都度の状況で長時間カフェにいてやるべき作業をしたり、資料を読んで整理したり、書き物をしたり、書籍や雑誌に目を通したりします。

お店が混雑したときはなるだけ席を立つようにはしていますが、作業しているということは、店内の雰囲気にすぐ気づいたりしないわけですね。いままでの経験からして、作業していると店員さんが申し訳なさそうにやってきて「いま、お客様が混み合っておりますので」という声をかけてもらったケースが何度かあります。お詫びして、整理して店を出るわけですけど、冒頭記事の問題で言うならば、ノマドをする側もお店の側も、ある程度のコンセンサスというかマナーとして、店が混み合ったら店員さんが声をかけてくれる、それを聞いたら気持ち良く切り上げて店を出る、というような常識ができるようになるといいな、と思います。集中しノッているときに中断させられるのはつらいし、何より電源があるということはそれ相応の時間は充電するために用意してあるんでしょっていう暗黙の了解みたいなものはあるんでしょうが…何をもってフェアか、というのもありますけど、都合はそのときそれぞれでしょうから、困ったときに気軽に声をかけて、かけられた側も配慮するって感じの解決策でいければ丸く収まるんじゃないかといつも思っています。

できれば、だれだれの権利とか、何が公平かとか、そういう四角四面の話じゃなしに、うまく気遣いしあえる状況ができるといいなあと。