無縫地帯

情報化社会という視点から2013年を振り返る

2013年、今年もいろいろありました。セキュリティ関連やスマホなど通信界隈を中心に、今年はどうだったっけなという話で一年を振り返ってみたいと思います。

山本一郎です。振り返っても後悔しない生き方を目指しております。

早いもので2013年も残すところあと僅かとなりました。月並みではありますが、ここで「情報化社会」というお題目で今年1年を簡単に振り返ってみることにします。

まず、世界的に一番大きなニュースだったのは、やはりエドワード・スノーデン氏による米国政府等の諜報活動の暴露だったのではないでしょうか。FBIやCIAに比べて日本のお茶の間ではあまり知られていなかったNSAもこれで随分存在感が増したように思います。

ここで改めてスノーデン氏にまつわる話を一から説明することは全く不要でしょうが、なんとも興味深いのは、彼が一体何をどこまで知っていて何を証拠として持っているのかが今もって不明という点です。

政府はスノーデンが何を持ち出したのか、よくわかっていない(TechCrunch Japan 2013/12/16)

スノーデンが何を持って逃げたのかがわからないため、政府は手探りで行動する他はなく、次に何が出てくるか心配している。そしてそれは何ででもあり得る。電話メタデータからPRISM、日常的暗号解読、侵入的XKeyscoreシステム、そしてMUSCULARにいたるまで、スノーデンの暴露は深淵かつ広範にわたる。TechCrunch Japan
同氏の暴露情報をきっかけにしたメディアの追求は広がりを見せており、つい先日もロイターがかなり衝撃的なスクープをしております。

NSAは、セキュリティー会社に金を払って欠陥暗号化アルゴリズムを使わせていた(ロイター)(TechCrunch Japan 2013/12/21)
RSAとNSAとの秘密契約疑惑で揺らぐ暗号システム評価(雑種路線でいこう 2013/12/23)

RSAといえば代表的な公開鍵暗号アルゴリズムで、作者が暗号を商用化するために設立した会社の社名でもある。その老舗がNSAから1000万ドルを受け取って、同社の暗号ツールキットBSafeで、NSAが開発したバックドアを含む擬似乱数生成器Dual Elliptic Curveを標準設定にしたとロイターが報じた。事実であればRSAやBSafeのブランドだけでなく、Dual_EC_DRBGをSP 800-90Aとして標準化したNISTへの信頼も揺らぐ。雑種路線でいこう
セキュリティ対策企業自らが政府の願いに応じるままセキュリティに穴を開けていたという、まさにフィクション小説さながらの事態が起きていたということで、IT業界の中で地道に築き上げられてきた信頼は一気に崩壊した感があります。

このほかにもITにまつわるセキュリティについては、不正アクセスによる個人情報の大量流出や、銀行オンラインサービスを狙ったマルウェアの横行、ネット通販詐欺サイトの急増など、すでにどれもが決して特殊な事件ではなく、残念ながら交通事故のように日常茶飯事のものとなってしまいました。

巧妙な手口のインターネット通販詐欺が急増しています。(FNNニュース 2013/12/24)

日本通信販売協会では、ネット通販詐欺の相談が急増している。
特に多いのが、ブランドバッグ、靴、そして腕時計だという。
日本通信販売協会消費者相談室の八代修一室長は「(4~9月までの上半期)昨年(2012年)の約7倍くらいの相談が入っておりまして、もう急増というよりも、とんでもない跳ね上がり方という感じですね」と話した。FNNニュース
ドコモが遂にiPhoneの取扱いを開始し、スマホがキャズムを越えてレイトマジョリティー層へと浸透し始めた今年こそが、まさに本当の意味での日本の情報化社会元年と言えるのかもしれません。これまでPCを使ていなかった人達までが一斉に訳も分からず高性能な個人用モバイルPCを使い始めたも同然の事態です。そこに巨大な市場が出来たとして商機を逃すまいと殺到するのに善人も悪人も違いはありません。風流に表現すれば、また一つパンドラの箱が開いてしまったとも言えそうです。

あとは2013年といえば、パズドラとLINEが大ブレイクの年でもありました。アプリ市場バブルを見ていると、日本経済不調と言われながらも、なんだかんだ言って世界でもトップクラスのお金持ち国なんだなを思い知らされます。そしてそれは同時に、世界中からセキュリティの穴を狙って日本のネットにサイバー攻撃が仕掛けられてもなんら不思議ではない理由でもあるわけですが。

アプリの市場規模、日本が世界一1年で3倍に(日本経済新聞 2013/12/13)

日本はスマホの浸透が遅れていた。2012年には普及率が28%にとどまっていたが、13年は42%まで上昇し、米国とほぼ並んだ。企業別ではガンホー・オンライン・エンターテイメントやLINEなどのアプリが人気を集め、各社の積極的なテレビ広告も販売拡大に寄与した。日本経済新聞
さて、来年はやはりビッグデータ周りがいよいよメインイシューとなりそうです。はたして法制度の改正は実現するのでしょうか。

個人情報保護法の見直し方針固まる「非特定情報」の扱いを柔軟化(ITpro 2013/12/24)

メリークリスマスという割には風情のない話題ばかりで恐縮ですが、皆さま元気で良い年の瀬をお迎えください。