無縫地帯

Microsoftが相変わらず大変そうです

マイクロソフトが混乱していて、スティーブ・バルマー勇退後の新しいCEOの選任すら満足にできない状態のようです。大変なことですね。

山本一郎です。雪が東京でも降るらしいんですが、気合が足りません。なんですかその申し訳程度の雨と寒さは。ロシアで鍛えた私からしますとコート要らないレベルです。早く子供や犬が喜ぶぐらいの雪を東京でも実現して欲しいものです。

怒りの収まらない本日のトゥデーですが、CEOのスティーブ・バルマー氏が引退を明らかにしてから随分時間が経つ状況ですが、いまだ後任も定まらず、Microsoft周辺はどうも落ち着かない印象があります。

改革拒む伏魔殿マイクロソフト次期CEOの「豪腕」頼み(日本経済新聞 2013/12/12)

今のマイクロソフトは、変化や改革を拒む抵抗勢力が巣くう「伏魔殿」である。誰がCEOになろうとも同社が抱える問題を解決するのは至難の業だろう。長年の成功体験の影で閉鎖的な文化が社内に染みついているからだ。同社の再浮上には、こうした空気を一掃できる次期CEOの豪腕に頼るしかない。日本経済新聞
万事が順調な状況であればまた事情は違うのかもしれませんが、モバイルやクラウドといった現在の潮流に乗り遅れて苦戦する中での後任選びはさすがに一筋縄ではいかないのも当然でしょう。

こうした社内の人事を巡るゴタゴタに嫌気がさして辞めていく社員も少なくないという噂ですが、つい最近も今のMicrosoftにとってかなり重要と目されるような人物がGoogleへ移籍するという事態が起きています。

MicrosoftのBingマップ担当トップエンジニアがGoogleに移籍(ITmedia 2013/12/17)

米Microsoftでエンジニアとして最高位の「Distinguished Engineer」という肩書を持つブレイス・アグエラ・ヤルカス氏が同社を辞め、米Googleに入社する。米New York Timesが12月15日(現地時間)に報じ、ヤルカス氏が自身のブログで認めた。(中略)同氏は自身のブログで、Googleのような大志を抱く優秀な人々のいる企業に参加できるのは嬉しいが、「進行中の多数の素晴らしいプロジェクトと優秀なチームをあとにするのは非常に苦痛」で、「これは人生で最も難しい決断だった」と語った。ITmedia
これはあくまでも憶測ですが、Microsoft社内では次期CEOが決まるまでは開発プロジェクトの多くが事実上停滞してしまっているような状況なのではないでしょうか。欧米企業の場合は、上が変わるとそれまで進められていた事業が全てアッサリ廃止ということもよくあることなので、そういう可能性に思い悩んだ末の転職と見えなくもありません。

さすがにこれではまずいと思ったのでしょう、ようやくMicrosoftの取締役会が後任選びの目処について見解を発表しております。

米MS、新CEOは「来年の早い時期に」取締役が明かす(日本経済新聞 2013/12/18)
米マイクロソフト 新CEO人事、来年早期に決定へ=担当責任者(ロイター 2013/12/18)

米マイクロソフト(MS)は17日、退任の意向を表明したスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の後任を決める時期について「2014年の早い時期になる」との見通しを示した。米メディアが複数の候補者の名前を報じるなど報道合戦が過熱。年内にも新CEOを決めるとの見方も浮上しており、事態の沈静化を図った格好だ。2013/12/18
取締役会が具体的な時期に言及したのは今回が初めて。ロイター
しかし、この発表だけでは依然としてMicrosoftがこれからどこへ向かって進むのかは不明です。で、今後の展開を予想するために参考になりそうな海外コラム記事があったのでご紹介しておきます。ただ、残念なことに翻訳がちょっと辛いですが。

Microsoft CEO曰く:「誰もWindowsを買っていない。買うのはWindows PCだ」(TechCrunch Japan 2013/12/18)

われわれは生産性の会社なのか、それともソフトウェアの会社なのか? われわれが何かと言えば、生産性と真の楽しみのための素晴らしいソフトウェアを作る方法を知っている会社だが、その表現方法はサービスを通じて、また今後は益々デバイスを通じてになるだろう。そして、これは以前から常にそうなのかもしれないが、誰もWindowsを買っていない。買うのはWindows PCだ。TechCrunch Japan
Microsoftが自らハードを作らずOSやソフトのライセンスによって莫大な収益を上げてきたことは今さら説明するまでもないことですが、その状況がXboxをきっかけにして今のSurfaceやWindows Phoneへと向かって大きくシフトしてきているわけです。どれもその成果をポジティブに評するにはちょっとアレなところも多いですが、やはりベクトルはそちらに向かっているわけでして、今後はどこまでその方針を突き進めていくのかがポイントとなりそうです。もしかして、今さらでMicrosoftもAppleになるのかというとそれもないでしょうし、なかなか大変そうです。

で、とりあえずはMicrosoft製品を購入する際には正規品を買いましょうということで。

マイクロソフト、非正規版Windows・Officeのオンライン販売に注意を呼び掛け(INTERNET Watch 2013/12/17)

日本マイクロソフト株式会社は、大手のeコマースサイトなどでWindowsやOfficeを購入したユーザーから、「インストールできない」「動作しなくなった」「返品を受け付けてもらえない」といった声がカスタマーサポートに寄せられており、これらは悪質な業者が販売した偽造品や、不正なプロダクトキーなどの「非正規品」による被害だとして、注意を呼び掛けている。INTERNET Watch
マイクロソフトもいい感じで雪景色の冬模様となっているようですが、新しい事業ドライバーをこしらえて、あの悪辣で憎たらしくもふてぶてしい組織に早く回帰して欲しいと思っております。