にわかにガラケーブーム再来みたいな雰囲気ですが
スマホ全盛時代になりつつある昨今、ガラケーの良さを再評価する調査データが発表され議論百出のようです。
山本一郎です。昔の名前で出ています。
ところで、JEITAなどによれば、10月になって国内における携帯電話の出荷が4か月ぶりに前年同月を上回ったそうです。
10月の携帯国内出荷17.4%増冬モデル投入で(日本経済新聞 2013/12/10)
国内スマホ出荷、10月13.4%増の116万台(日本経済新聞 2013/12/10)
なぜか同じ統計を元にした記事が2度に小分けされているのですが、それぞれに興味深い情報が含まれています。まず、注目したいのは今回発表された数字には海外製のスマホの数が含まれていないということです。
統計はシャープやソニー、京セラなど国内メーカーのデータを集計した。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や韓国サムスンの「ギャラクシー」などは含まない。日本経済新聞そしてなおかつ、スマホの普及は順調に進んでいる傾向が示されつつも、いわゆるガラケーも根強く需要のあることが見て取れます。
携帯電話・PHS全体の国内出荷台数は前年同月比17.4%増の192万9000台で、4カ月ぶりの増加となった。従来型携帯電話も一定数の出荷が続いているという。全体に占めるスマホの割合は60.2%だった。日本経済新聞ちなみに今回の出荷増については「年末商戦向けの新商品の出荷が始まったことが要因となった」と分析されており、まあ、たまたま各メーカーの在庫モデル入れ替えのタイミングと合致したという可能性もあるかもしれません。また、新しく発売されたiPhone 5s/5cの発売日は9月20日でしたから、もしiPhoneも集計対象となっていれば、全体に占めるスマホの割合は相当変わっていた可能性が考えられます。この辺りは統計そのものが「出荷数」ということで、本当に売れた数字ではないところも加味して見ておく必要があるでしょう。
それはともかく、上記の数字はここ直近の国内携帯電話市場の様子をなんとなく俯瞰できるデータだと思います。そうしたタイミングでなぜか突然、ガラケーを持ち上げるような面白記事が新聞紙系サイトで取り上げられております。
ガラケー人気、細く長く…電池長持ち・操作簡単(読売新聞 2013/12/11)
ガラケー絶滅せず…独自進化続くスマホ移行、思惑通り進まぬ背景とは?(SankeiBiz 2013/12/12)
スマートフォンの急成長が続く中、従来型の携帯電話が根強い人気を維持している。(中略)10日発表された統計でも従来型携帯が国内出荷に占める割合は4割と、存在感は大きい。読売新聞で、こういうネタにはネット民の食いつきも良いわけでして、Twitterなどでもこれらの記事を読んでの感想などが多数投稿されておりました。以下にいくつかそのまま引用させていただきます。
日本のメーカーはガラケーライクな低消費電力で堅牢性の高い、多言語対応のOSを作って、低価格で世界に売り込んだ方が良いと思う。 / “ガラケー絶滅せず…独自進化続くスマホ移行、思惑通り進まぬ背景とは? (1/4ページ) - San…”大網 清和(Kiyokazu Oami)
現実問題としてガラケーの方が安くて電池が持って通話に便利だからなぁ / “ガラケー絶滅せず…独自進化続くスマホ移行、思惑通り進まぬ背景とは? (1/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)”楠 正憲
一年毎のMNPが許容できればスマホの方が圧倒的に安いんだけどなRT @masanork:現実問題としてガラケーの方が安くて電池が持って通話に便利だからなぁ / “ガラケー絶滅せず…独自進化続くスマホ移行、思惑通り進まぬ背景とは?國清 崇正
個人的実感値としてざっくりスマホ料金が6千円のガラケーが3千円くらいが相場感っぽいんだよね。まあスマホの方は割引が幾つか組み合わせればもっと下げれるけども。この料金の差というのがやっぱ大きい。ヘビーなガラケーユーザーは月に1万円以上使ったりもしてたけども。igi
LTEから無料通話なくしたり、ちょっと調子こき過ぎ感wはありますね。それもあって4S維持…>>ガラケー絶滅せず…独自進化続くスマホ移行、思惑通り進まぬ背景とは? - SankeiBizRYO aka 嵐バラる
ガラケーは、チケットの取りやすさ(=混雑時の回線の繋がりやすさ)から、いまだに手が離せない。積極的利用者。猪田有弥やはり、経済性とバッテリーの持ちの面でガラケー有利という意見が多いわけですが、それ以外にも電話という機能面でスマホにはないメリットがガラケーにはあるという話が出ていて興味深いです。
それで思い出したのですが、PCがまだキャズムを越えるか越えない頃の時代、ワープロ専用機とPCのワープロソフトのどちらが優っているかということで同じような議論があったということです。初期のPC用ワープロソフトというのはやはり専用機には適わなかったんですね。ところが、そのうちにPCのマシンパワーがどんどん強化されるに従ってPC用ワープロソフトもどんどん賢くなっていき、ある時期にワープロ専用機よりも高機能を実現できるようになったという経緯があります。まぁ、中には今でもワープロ専用機の方が優れているという意見の方もいるのでしょうが、さすがにそれはかなり特殊な例かと。ガラケーとスマホに関しても、電話用途に関して言えば今はまだガラケーが優っているという状況で、まさに専用機の強みということなのではないでしょうか。
ただ微妙なのは、電話という音声による通信手段だけを取り出して考えると、もしかしたら今後も専用機のガラケーだけで十分でPCのようなものに進歩する必要は無いという結論もあり得ます。携帯電話は必ずしもワープロが辿った道と完全に一致するような歩みをするものではないのだろうなと。
で、先ほどの読売新聞とSankeiBizの記事の話に戻りますが、よく読んでみるといずれも調査会社・MM総研の意識調査に基づいて書かれており、そういう調査が行われた背景としては以下のような事情があることも分かります。MM総研自体はかねてから大変微妙な風評のある会社さんではありますが、まだ頑張っていたようで何よりです。
スマホ一辺倒だった携帯大手3社も「ユーザーからの要望」(加藤薫NTTドコモ社長)に応じ、冬春モデルでガラケー10新機種を相次ぎ投入、安さや使い勝手だけでなく、機能面でも静かに“進化”しようとしている。SankeiBizもしかして、このタイミングでこういう調査が行われて記事になるのは、結果としてガラケー新機種を投入しているメーカーに都合が良いPRだったりするのでしょうか。まぁ、それは勘繰りすぎというものかもしれません。つまるところ、たかが携帯電話なのですから、スマホでもガラケーでも自分が使いたいと思うものを誰に強制さるでもなく自由に使うのがよろしいのではないかと思う次第です。
とりあえず、私自身は個人用普段使いのAndroidをはやくガラケーかTizenに乗り換えたいです。