無縫地帯

GoogleはAndroidの夢だけで足りず本当にロボットを作るようです

次の時代のフロンティアはロボット分野だとGoogle神は仰っております。

山本一郎です。別の意味で最先端に生きています。

ところで、先日ブログの中で、Amazonが無人飛行機を使って配達することを検討中らしいという話題を取り上げました。この話、ネタかと思いきやかなり真面目な計画で、すでに連邦航空局(FAA)にも打診しているようです。

アマゾンの無人飛行機利用計画の障害(WSJ.com 2013/12/3)

FAAはコメントを控えたが、アマゾンから届け出があったことは認めた。アマゾンの広報担当者はFAAの規定を順守すると述べた。WSJ.com
無人飛行機に関しては軍事目的で利用されることが社会問題化していますが、その一方で気象観測など軍事目的以外でも様々な分野で応用されています。

すでに活躍中の無人機、5つの現場(毎日新聞 2013/12/3)

で、無人で稼働と言えば、飛行機のあり方とはやや異なりますが、自動車の自動運転に関する研究もこのところ急速に進んでいる感があります。

ボルボ、自動走行車実験プロジェクト「Drive Me」実施へ - 2017年の実用化を視野に(WirelessWire News 2013/12/4)

ボルボはスウェーデン政府などと協力しながら、実際に100台程度の自動車を走らせ、幹線道路や高速道路、市街地などさまざまな状況での走行状況などを確認していく考え。実証実験の期間は来年からの3年間で、2017年の実用化を目指すという。(中略)同プロジェクトで利用される自動車は、基本的にすべての運転機能を車側に任せられるもので、ドライバーなしでも駐車までできるようになるというWirelessWire News
そして、この手の自動車の自動運転と言えばGoogleが数年前から相当力を入れてきておりましたが、先日はついに人より機械が運転した方が優れているという発表までしています。

【レポート】「機械の方が確か!」Googleが無人走行車は人間の運転より安全と発表(Autoblog日本版 2013/10/31)

2010年から公道で自動走行車の実験を進めているGoogleが、自動走行車は実際のドライバーが運転するよりも安全かつスムーズだというデータを公表した。(中略)2011年に同社が「自動走行車は飲酒運転よりも安全だ」と発表した時のことを考えると、わずか2年で自動運転の技術が大きく進歩したといえるだろう。Autoblog日本版
さすがGoogle、こういうのは強いなと思っていたら、さらに驚くべき事実がNew York Timesによってスクープされました。

Googleのルービン氏、「次のムーンショットはロボット」――New York Times報道(ITmedia 2013/12/5)

米Googleの次の“ムーンショット”はロボット――。Googleの幹部らがそう認めたと、米New York Timesが12月4日付の記事で報じた。(中略)このプロジェクトを率いるのは、3月にAndroid責任者を退いたアンディ・ルービン氏。10年以上ロボティクスの商業利用の可能性を考えてきた同氏は、Googleの共同創業者であるラリー・ペイジCEOとGoogle Xの責任者でもあるサーゲイ・ブリン氏を説得し、ロボティクスプロジェクトのゴーサインを獲得したとNew York Timesに語った。ITmedia
アンディ・ルービンさんは名前だけのAndroidでは飽き足らず、遂に本物に手を出したということなんでしょうか。ま、つまらない冗談はさておき、この詳細不明なプロジェクトの注目点は、既に世界中からロボット技術を持つ企業の数々を買収済みで、さらにその買収規模を拡大する目論見である点です。

グーグルがロボットを開発、日本企業も買収ずみ(WIRED.jp 2013/12/5)

グーグルが買収した企業には、ヒト型ロボットを開発しているロボット研究者チームで構成された日本のSCHAFT(東京大学情報理工学系研究科・情報システム工学研究室からスピンアウトした企業)や、サンフランシスコでヒト型ロボットやロボットアームを製造しているMeka社やRedwood Robotics社も含まれている。(中略)ルービン氏はNew York Times紙に対して、「移動できる器用なロボット」の開発を目指して、さらに買収を進めていくつもりだと語っている。WIRED.jp
なんといいますか、ここに来て世界のトップIT企業各社が一気にバーチャルからリアルな分野の各種テクノロジーへ手を出してきたなという様相です。ウェアラブルデバイスなどもまさにバーチャルとリアルの接点。そして、スマホの急速な進化も実は内蔵される各種物理センサー類の発達に負うところが大きいです。

しかし、こうしたテクノロジーの急速な発達と普及は、同時にセキュリティ問題の増大にもつながる可能性を孕んでいます。Amazonの無人飛行機による配送計画発表にタイミングを合わせるように以下のような話が出てきました。

無人マシンを乗っ取る「SkyJack」、セキュリティ研究者が開発(ITmedia 2013/12/5)

SkyJackはWi-Fiの範囲内にある他の無人機を自動的に探し出してハッキングし、無線で乗っ取る設計になっている。これにより、「ゾンビ無人機の軍団を編成して自分の支配下に置く」ことが可能になるという。ITmedia
この話そのものはネタの匂いもしますが、近い将来、自動運転で稼働する飛行機や車、そしてロボットが世界中で利用されるようになれば、こうしたクラッキングによる乗っ取りの脅威は当然高まります。今のWebでの不正アクセスなどのサイバー犯罪の急増を考えると、はたして乗っ取りを防ぐことは可能なのかという思いが脳裏をかすめてしまいます。心配しすぎなんでしょうかね。

この手の管制システムや、走っている自動運転車両そのものをクラックすることができれば、文字通り人を死に至らしめる惨事を自在に起こせるという点で脆弱性は確実です。さて、どうなりますか。