無縫地帯

スマートな未来にちょっと思いを馳せてみようと思いましたがなかなかむつかしいですね

ソニーが発表した「スマート」なかつらについての報道を読み返しつつ、ウエアラブルデバイスについて思いを馳せてみました。

山本一郎です。心の中はスマートです。

ところで、先日ソニーが「スマート」なかつらを欧米で特許出願したというニュースが各種メディアを賑わせておりました。

スマートかつら:ソニーが欧米で特許出願究極のウエアラブル?(毎日新聞 2013/11/26)
かつら型端末「スマートウィッグ」、ソニーが特許出願(AFPBB News 2013/11/28)
ソニー、「スマートかつら」の特許を申請(CNN.co.jp 2013/11/29)
ソニー:「スマートかつら」を米で特許申請―新ウェアラブル(Bloomberg 2013/11/27)
ズレの検知も可能!ソニーがまさかの「スマートかつら」特許を出願(ギズモード・ジャパン 2013/11/22)
ソニー、かつら型の情報端末を研究―発想ズラして商機(日刊工業新聞 2013/12/2)

ソニーがかつら型情報端末の研究を進めている。身に着けて使う「ウエアラブル端末」は、腕時計型やメガネ型が実用化され、今後の成長分野と期待される。一方で消費者のニーズがつかみ切れていない側面もある。ソニーは発想をズラした斬新なアイデアで商機を探る。日刊工業新聞
今流行りのウェアラブルコンピューティングデバイスにおける新たなコンセプト製品ということ以上に、かつらというネタとしていじりやすいアイテムだったこともあってか、硬派から軟派まで含めてかなり多種多様なメディアに取り上げられ、ネット民の間でも一時話題独占という趣がありました。

家電メーカーは新しい製品を売るために、話題となるような新たな付加価値を絶えず求められるわけで、中の人達もスマートであったりウェアラブルであったりとアイディア出しに大変なんだろうなと思った次第ですが、そうしたところまさに従来では絶対に思いもつかなかったユニークな新製品がまた登場しておりました。

パナvs.外資「掃除機戦争」パナの新型は“ハイブリッド”スマホ充電も可能(ITmedia 2013/12/2)

USBポートが搭載され、スマートフォン(高機能携帯電話)などの充電が可。ITmedia
バッテリー稼働が可能な掃除機が開発されたということで、そのバッテリーを「災害時などの非常用電源機能」としても使えるようにしたということのようですが、わざわざ掃除機でスマホを充電できるというアピールへ持っていかざるを得ないあたりに、今の家電業界の大変さが垣間見えるようです。

パナソニックはしばらく前からスマート家電のコンセプトを大々的に打ち出し、ネットやスマホと連携できることを大きなメリットとしてアピールしていますが、今のところまだ製品として画期的な成果を上げられていないようにも思えます。また、残念ながら一般向けスマホ市場からは事実上の撤退をしてしまったのも痛手かもしれません。

スマート家電のはじめ方(パナソニック)
パナソニックが個人用スマホの開発休止、携帯事業を縮小(ロイター 2013/9/26)

もっとも、こうしたスマート家電に熱心なのは何もパナソニックだけではありません。今や世界の家電市場で大きな存在感を誇るサムスンも着々とその開発を進めているようです。

Samsung、Tizen OS搭載「スマート冷蔵庫」をCES2014で公開へ(リンゲルブルーメン 2013/11/17)

SamsungはTizen OSをスマートフォンだけでなく、カメラや車載機器、プリンターなどに導入予定であることが明らかになっています。SamsungはTizen OSを家電全般に適用し「スマート家電プラットフォーム」を構築する戦略と情報元は付け加えました。リンゲルブルーメン
この報道が事実だとすると、サムスンにとってTizenはスマート家電王国を築くという大いなる野望を実現するための重要な鍵となりそうです。

一方で、こうしたスマート家電やウェアラブルデバイスが普及すればするほど、セキュリティ面で危惧される事柄も増えるだろうという観測もあります。以下はAndroidが前提となった論考になっていますが、Androidを他のモバイルOSに当てはめて考えれば、スマートな時代は単に便利という話だけでは済まされないことが容易に想像できます。

Androidとともに広がる…2014年の脅威予測トップ10(RBB TODAY 2013/12/3)

Androidの開発者はGoogle OSの未開拓市場として、タブレット、ポータブルゲーム機、ウェアラブルデバイス、ホームオートメーション装置、産業制御システム(ICS/SCADA)などに目をつけている。こうした機器にAndroidが搭載された場合、サイバー攻撃者の標的になる可能性が大きく、たとえば新型のホームオートメーション装置などに不正アクセスされ、サイバー攻撃者に新たな犯罪アイデアを与えるとしている。RBB TODAY
また、高齢者向けにiPadを使わせようとしたら上手くいかなかったという事例報告などを読むと、万人が便利に使えるスマート家電への道のりはそれほど平坦なものではないことも分かります。

高齢者へのiPad導入を阻んだiOSのUI/UXの話(株式会社たからのやま 2013/12/2)

それにしても、Amazonが先日発表したばかりの新サービスの説明などを見ていると、未来というのはとんでもない方向からやって来るんだなと思い知らされるばかりです。

Amazon、ドローンでの配送サービス「Prime Air」構想を発表(ITmedia 2013/12/2)

「早ければ2015年にスタートする計画」とのことですから是非実現できるように頑張ってもらいたいものですが、それにしても現時点のデモ画像を見る限りはどう考えてもあまりスマートでないのが気になるところです。

願わくば、スマートさとは関係なく自分がヅラを被っている未来は想像したくないものです。