無縫地帯

世界スマホシェアでAndroidが8割を占めたそうですが大変なのはこれからでしょうねという話

世界の台数ベースでのスマホシェアにおいて、およそ八割がAndroidという調査結果が出て世の中が揺れております。

山本一郎です。最近、帰宅した後の自分の履いていた靴下の匂いが衝撃的です。

ところで、市場調査会社IDCの発表したスマホシェアの数字がかなり衝撃的だったことから、IT系ニュースメディアが一斉にそれを報じています。

「Android」、世界スマートフォン市場シェア81%に--IDC調査(CNET Japan 2013/11/13)
Android、世界スマートフォン総出荷で8割超――IDC調べ(ITmedia 2013/11/13)
世界のスマートフォン出荷台数、7-9月にAndroidがついに8割超え(マイナビニュース 2013/11/13)
10台に8台はAndroidが売れている!?スマホ世界出荷(ASCII.jp 2013/11/13)
世界スマートフォン市場、AndroidとWindows Phoneがシェア拡大、AppleはiPhoneの出荷台数増加もシェアは減少(TechCrunch Japan 2013/11/13)

スマートフォン世界出荷台数で「Android」の市場シェアが初めて80%を突破した。CNET Japan
で、実はこの調査結果が出る少し前にも、別の調査会社が同様な調査結果を発表しております。

Q3スマートフォン市場、「Android」がシェア81%--Strategy Analytics調査(CNET Japan 2013/11/1)

異なる2つの調査会社がほぼ同じような数字を出していることから、現時点でAndroidが世界におけるスマホシェアにおいて8割を占めているというのはほぼ間違いないことなのでしょう。

今回のIDCの調査結果で興味深いのは、Androidの躍進に加え、これまであまり注目されていなかったWindows Phoneがそのシェアを着実に伸ばしている事実が明らかにされたことです。

スマホ出荷台数、伏兵Windows Phoneが驚きの躍進(APPREVIEW 2013/11/13)

MicrosoftのWindows Phoneは前年の370万台を大きく更新し、前年同期比156%増しの950万台を記録。2013/11/13
元々販売台数が微々たるものだったので「前年同期比156%増し」と言われても、先を行くAndroidやiPhoneとの差が詰まることはまだしばらくは無いと思われますが、それでもWindows Phoneに需要が生まれてきたことは確かなようで、とくに欧州方面で善戦しているようです。

「Windows Phone」、欧州でシェア拡大--ノキア端末が寄与(CNET Japan 2013/10/1)
Windows Phoneのシェア、イタリアでiOSを抜く─欧州で大躍進(リンゲルブルーメン 2013/11/5)

AndroidとWindows Phoneがそれぞれ対前年比でシェアを拡大している一方で、「Appleの世界市場シェアは、昨年の14.4%から12.9%へと縮小」(TechCrunch Japan)している理由としてIDCは以下のようなコメントを出しています。

AndroidとWindows Phoneのマーケットシェアには違いがあるのにも関わらず、両プラットーフォームは成功する重要な要因を1つ持っている:それは「価格」だ。AndroidとWindows Phoneは、大衆に向けて十分に低い価格を提供するほどの、低価格な端末セレクションがあるAPPREVIEW
経済的に余裕がない新興国市場や、景気回復が立ち後れている欧州市場を中心に安価なスマホが求められるのは当然の成り行きで、そうしたニーズに今のところは対応していないAppleのiPhoneがシェアを落とすのは致し方無いことでしょう。

Motorolaが発表したばかりの最新モデルも明らかにそうした需要にしっかりと的を絞った製品となっています。

Motorola、低価格スマホ「Moto G」を発表!(リンゲルブルーメン 2013/11/13)

価格は契約なしで$179(1.8万円)と安価です。Moto Xとは異なりグローバル市場展開される予定となっています。リンゲルブルーメン
他方、日本ではiPhoneが抜群の人気を誇っていることについては先日の記事でも書きましたが、キャリアの端末販売施策によりどの端末を買っても経済性に差が生まれないことが大きく影響していると思われます。このような状況では、Motorolaのような最低限の機能しか搭載しない低価格モデルのスマホがそのまま日本市場に導入されることはまずありませんし、仮に販売したとしても様々な付加価値を求める日本のユーザーに受け入れられることはかなりむつかしいのではないでしょうか。日本は世界経済の中で見れば、突出した富裕層の数はそれほど多くなくても、平均すればやはり相当なお金持ちということになるんですよね。

改めてIDCの数字を見て今後注目したい動きは、やはりこれからのスマホの主戦場は新興国市場であり、そこでは高級モデルが全く必要とされないという点でしょう。そして、それはイコール、メーカーにとって低価格市場での厳しい戦いであり今以上に収益性が低くなるという現実でもあります。従来の家電やPCといったものに比べて、スマホのコモディティ化していくその速度と勢いは想像を絶するものがありますし、はたして2年後に今のスマホメーカーのうち何社が生き残っているのかは予想するのも困難だなと感じる次第です。

まあ、もちろん台数ベースの問題であって、コンテンツ決済などのトランザクションベースではまた違った市場の読み筋はあるとは思いますけどね。

Tizenの躍進はまだでしょうか。