iPad mini Retinaの件はモノの売り方が変わる瞬間なんでしょうか(追記あり)
Appleが前触れもなく突然「iPad mini」の新型モデルを販売開始したことで、その売り方や意図についていろいろと議論になっています。
山本一郎です。旧型日本人です。
ところで、Appleが突然「iPad mini」の新型モデル販売開始を発表しました。
ガタッ:「iPad mini Retina」販売開始(ITmedia 2013/11/12)
正式な発売日が確定していなかったアップルの新型タブレット「iPad mini Retinaディスプレイモデル」に関して、11月12日の夕方にメンテナンスを終えたApple Storeが販売を開始した。ITmediaApple Storeがしばらく落ちていたという以外にはほとんど何の前ぶれもなく唐突にオンラインストアに製品が登場したそうで、Appleからのプレスリリースもその後に出されたような話を聞いていますが、かなり意表を突く形でありました。
で、この件についてなかなか面白い見方をしているブログ記事がありました。
列ばせない、列べないiPad miniは異例の発売(ふーてんのiPad 2013/11/13)
これまで、Apple製品の発売日はApple Store前に行列ができるのが通例でした。そいかし今回はWeb販売、もしくはWeb予約で店頭受け取りという方法しかなくなっています。列ばせない、列べない、Appleの販売方法が変わったのかもしれません。ふーてんのiPadなるほど、確かに発売日が事前に知されなければ、これまでのiPhone発売でよく見かけられた何日も前から行列が出来るようなお祭り騒ぎはしようがありません。あれは店側も迷惑と思いながらも大事なお客さんなのでぞんざいな扱いにも出来ず、対応には苦労が絶えないことでしょうから、そういう事態を体よく避けるためには有効な手段にも思えます。
台風襲来もずっとApple銀座前にいたiPhone行列が開店前の店内に収容される(NAVERまとめ)
行列によるPR効果は、それに対応するための各種コストやリソース面を考えれば、この手の商材の発売においてはそろそろメリットが見いだせなくなってきたと判断する可能性はあります。iPad mini Retinaのように放っておいても世界中のファンがその動向を逐一監視してくれる製品であれば、突然のオンライン発表でも十分にPR効果は望めるという解釈もあります。
また一方で、もっとシビアな見方も当然あります。
iPad Airの初動が鈍く、iPad mini Retinaを前倒しで発売しないと前年割れになってしまう。しかし、供給数が絶対的に足りない→オンライン優先販売(予約販売)になったと推測。ななし@湘南事前情報では、新しいRetinaディスプレイの生産で問題が生じており、Appleが希望するだけの数を確保できず発売延期されるだろうという噂がまことしやかに広まっていました。
「iPad mini Retina」に発売延期の可能性――SHARP製の歩留まりが悪く、液晶供給にサムスン追加も?(すまほん!! 2013/11/9)
火のない所に煙は立たないという諺に則れば、そうした噂にそれなりの根拠があったとも考えられますし、数を確保できないAppleとしては売り方を色々検討した結果、今回のような売りだし方になったという見方もできます。
しかしながら、この新しいiPad mini Retinaディスプレイモデルですが、オンラインで販売開始発表した翌日には渋谷のauでも既に店頭展示されているという報告も入っており、Appleとしてはそれなりにしっかりと下準備を進めての展開であったことは間違いないようです。まさにApple侮りがたしといったところでしょうか。
もうiPad mini Retina展示してあった。 pic.twitter.com/r7ZRXMUk7tイイヅカアキラこうしてみると、なんといいますか「モノの売り方」が昔とは変わってきていて、そうした分かりやすい例をこの瞬間に丁度垣間見ているのかもしれません。まぁ、Appleのことなので今回と同じことをまた繰り返すのかどうかは全く謎ですが、他のメーカーが真似して大惨事というのは今後ありそうです。
まあ、それもこれも、Appleという知名度の高い大会社様の筆頭製品だからこそできる技なのだ、と言われればそれまでなんですけどね。
(追記 12:01)
ここまでApple側が並ばせない工夫をしていたにも関わらず、それでも並ぶ人が出現したようです。
Retina iPad mini発売初日のApple Store渋谷(こぼねみ 2013/11/13)
もうね、この人たちは著名なものは並んで買うのが習慣になっているんでしょうか。まるで冷戦下のモスクワ市民のようです。