無縫地帯

iPhoneが本当に売れに売れてているようです

蓋を開けてみたら、日本市場でiPhoneがとても売れていて上位を席巻しているとのことで興味を持って調べてみました。

山本一郎です。意味もなくスマホを3台駆使するという馬鹿馬鹿しい日々を送っています。

ところで、業界でもそれなりに信頼のおける指標の一つとなっているBCNランキングの「携帯電話週間売れ筋ランキング」ですが、その2013年10月28日~11月3日集計においてiPhoneが1位から10位までを独占するという事態が起きております。

携帯電話週間売れ筋ランキング(BCNランキング)

BCNランキングは「全国の量販店のPOSデータを日次で収集し、アイテム(製品ジャンル)ごとに集計した実売データベース」ということなので、その他の流通チャネルにおける動向は加味されておらず必ずしも国内の事情を100パーセント反映したデータではありませんが、それでもやはりこのインパクトはそれなりに大きいものがあります。

iPhone売れてるんですね、本当に。

で、こういう状況を反映するかのような面白記事がありましたのでご紹介しておきます。

アップル、日本が思わぬ「金鉱」に(WSJ.com 2013/11/11)

過去2年間で、日本はアップルにとって最も急成長を遂げる地域に浮上した。その成長ペースは本国の米国や好況に沸く大中華圏、アジアのその他地域を大きく上回っている。日本はアップルが最大の利益率を収めている市場であり、2013年9月期に営業利益が拡大した5地域のうちの1つだ。WSJ.com
Appleがここまで日本で商売に成功することがあるとは、同社がパソコンしか販売していなかった頃には想像もつかないような事態です。なぜ、ここまでiPhoneが日本で成功したのかという理由について同記事では以下のようなポイントを挙げています。

iPhoneの日本でのヒットの背後にある2つの要素は所得水準の高さと、通信会社が端末代金を一部負担しながら複数年契約と共に販売する「ポストペイド」(料金後納)市場である米国との類似性だ。WSJ.com
こういう書き方されると分かりづらいのですが、要するに日本国内では「実質0円」みたいな意味不明の日本語で携帯電話が販売されているため、どの端末を買おうがあまり差はなく、その結果として海外だと高価とされるようなiPhoneでも飛ぶように売れるという話なのでしょう。また逆に、国内でキャリアが流通させている最新端末の本体価格を「一括支払い」とうい条件で見ていくと、iPhoneも他のAndroidスマホもそれほど差はありません。こうなってしまうと、「価格」という経済性でスマホを選ぶことにほとんど意味はありませんから、その時々の流行りや気分で選ばれるのも仕方がないというものでしょう。

日本の消費者がかつてルイヴィトンのバッグやバーバリーのマフラーに殺到したように、iPhoneも日本人のブランド熱に乗じた。WSJ.com
ブランドなのに、他と値段が変わらなければそれは絶大な人気商品となりえるのは当然かもしれません。iPhoneが国内でそこまでの高級ブランドなのかは別として。

ただ、日本国内でiPhoneが人気となったのは単に「ブランド」という価値観だけだったかというとそうではないような気もします。両方の端末を使ってみれば分かることですが、直感的かつシンプルに使えるという点ではiPhoneが優れていると感じることが多いです。

AndroidがiOSに確実に劣るのは、機能(特に設定)の把握しにくさと、機種ごとの違いの大きさだな、と改めて。これが統一されているのがアップルの強みで、機能やUIの大幅変更に付き合う義理のない「普通の」ユーザーには、やはりiPhoneがおすすめになる。丹治吉順 aka 朝P
高度なITリテラシをあまり要せず普通に使えるという意味ではiPhoneはガラケーに近いでしょう。Androidは何でもできる可能性があるので、一般的にギークな人達からは歓迎されますが、普通の人はそこまで求めていないということです。

あとは、Androidにまつわるセキュリティ問題等もiPhone人気への後押しとなっている可能性はあるのかもしれません。

96%のアプリに何らかの脆弱性、SDNA「Androidアプリ脆弱性調査レポート」(INTERNET Watch 2013/10/31)

調査の結果、暗号通信が解読・改ざんされるリスクのある脆弱性や、アプリ内のコンポーネントが他のアプリから勝手に利用される可能性のある脆弱性、不適切なログ出力など、何らかの脆弱性を持っている可能性のあるアプリは、調査対象全体の96%(5902件)に上ったという。INTERNET Watch
Googleはこうした問題についてユーザーの自己解決に任せる傾向が割と強いのですが、そうしたところが日本の市場と相性が悪い要素の一つになっていることはありそうです。何かあったら面倒だ、というのは、そこまでケータイを機能的に使いこなすわけではない一般ユーザーにとっては非常に大事な側面であろうかと思います。

なお、iPhoneに関しては米国で再び人気を盛り返しつつあり、中国でも状況は改善傾向が見られるという情報も入ってきています。

米国でAndroidから「iPhone」に乗り換えるユーザーが増加中(リンゲルブルーメン 2013/11/12)
アップル、中国スマートフォン市場でシェア拡大、メーカー別で5位に上昇(第3四半期)(WirelessWire News 2013/11/8)

またドコモには伏兵のTizenがこの後に控えていますから、来年のスマホ市場はますます波瀾万丈となりそうで楽しみです。

NTTドコモ、Tizenスマホの1月末発売を要求(リンゲルブルーメン 2013/11/12)

他に応援するところも特にないので、とりあえずドコモ頑張ってください。