無縫地帯

Googleが有料制で動く「Yahoo!知恵袋」のようなサービスを開始したようです

Googleが新たな試験サービスを正式に公開ローンチ。有料でいろんなことを動画で、というgoogleらしいサービス構造に心がときめきます。

山本一郎です。私の人生上の疑問もgoogle神の回答で救済されてしまうのでしょうか。

Googleが今年の夏から招待制で試験運用してきたサービス事業の「Helpouts」を、この度米国内で正式に運用開始した模様です。

Googleの極秘プロジェクト、Helpouts、社内テスト中―ハングアウトをベースにしたサービスのeコマース・プラットフォーム(TechCrunch Japan 2013/7/25)
Google、ハングアウトベースのクラウドヘルプサービス「Helpouts」立ち上げ(ITmedia 2013/8/21)
Googleの新サービス「Helpouts」が開始、その道のプロがリアルタイムで手助けしてくれる(アプリオ 2013/11/5)
Googleが有料ビデオチャット(有料Q&A)Helpoutsをローンチ, 危険な冒険に見えるが果たして?(TechCrunch Japan 2013/11/5)

Helpoutsは、同社の統合メッセージングサービス「Hangouts(日本では「ハングアウト」)」を使い、知識やサポートを提供したいユーザーと、それを必要とするユーザーを結び付ける。例えばヨガを習いたいユーザーは、ハングアウトでインストラクターと接続し、リアルタイムで指導を受けることができる。(中略)カテゴリーとしては、「芸術&音楽」「コンピュータ&エレクトロニクス」「料理」「教育」「ファッション&美容」「フィットネス&栄養学」「健康&カウンセリング」「ホーム&ガーデン」「その他」が用意されている。ITmedia
この説明だけを見ると、従来からよくある様々なオンラインスクール等と何が違うのかよく分かりませんが、TechCrunchの記事が指摘するところによれば「1~2分の、有料の、ビデオチャットセッション」とあるので、オンラインスクールのように予め決まったカリキュラムに沿って教えてもらうというよりは、ユーザーがその都度単発で質問をしてそれに答えてもらうサービスということなのでしょう。なんとなくですが、「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」「はてな」がビデオ形式で提供され、しかも1分ごとに料金がチャージされる状況をイメージすると良いのかもしれません。

Twitterのフォロワーたち、YouTubeのhow-to、YahooのAnswers、Facebookの友だち、などなど、あなたの質問に無料で答えをくれるソースはたくさんある。しかしGoogle Helpoutsの唯一最大の差別化要因ないしセールスポイントは、有料であることだ(1分間2ドル)。インターネットでは無料ほど強いものはない、という常識の逆を行って、有料ほど強いものはない(あるいは、“タダほど高いものはない”)を実現しようとする。この逆張りが多くの分野~カテゴリーにわたって成功するための条件、それは、あなたが、緊急の質問に緊急に良質の答えがほしい、という立場になったことを想像してみると、誰にもお分かりだろう。TechCrunch Japan
はたして「1分間2ドル」の料金に見合うサービス内容を担保できるか否かがサービス成功のカギなのでしょうが、サービス提供側の視点で考えるとプロがその程度の収入では事業コストが見合わないような気もしますし、サービス利用側の視点で考えると的確な答えを得られなかった際のコストがやはり見合わないような気がしなくもありません。これまでの経緯から考えても、Googleがそうしたサービス内容の担保までもしっかりと考えていることは想像しにくいので、誰か第三者がこのHelpoutsというプラットフォームで最適なノウハウを確立するようなことがない限りは「Google ReaderやWaveのようにやがて消えていく実験の一つに終わる」(TechCrunch Japan)可能性が高いようにも感じます。

もっとも、このHelpoutsは別にして、近頃のネットではビデオ機能等を利用したオンラインスクール的なものが随分普及してきていますし、事業の大型買収も国内外で行われ一つの注目株となってきているのも事実です。

クックパッド、個人指導サービス「Cyta.jp」を10億円で子会社化(CNET Japan 2013/9/6)
Amazonが数学のオンライン学習サービスTenmarksを買収表明!教育アプリに本格参入か!?(EdTech Madia 2013/10/14)

来年あたりにこうした事業の一つが世界的に大きくブレイクして新しい流れが生まれるのかもしれません。そういう意味ではGoogleのHelpoutsも今後の成り行きを注視したいところですが、まずは日本でもサービスを開始してもらわないと話が始まらないという、なんともしまらないオチでして。

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