無縫地帯

Android 4.4が出ましたけれど国内キャリアやメーカーは現行モデルで対応する気あるのでしょうか

Android方面で最新OSが機能面でハードルを下げてきました。これによってどのくらいユーザーに恩恵があるのかは現段階では未知数ですが、試みとしては興味深いですね。

山本一郎です。私自身、現行モデルではガタが来ているので若返りたいです。

ところで、GoogleがAndroidの最新版を発表したようです。

Google、“没入感”アップの「Android 4.4(コードネーム:KitKat)」を発表(ITmedia 2013/11/1)
Google、新バージョン Android 4.4 KitKat (キットカット)正式発表、RAM 512MB のロースペック端末でも快適に作動(GPad 2013/11/1)

細かい機能の追加や仕様変更云々はひとまず置いておくとして、今回の目玉はどうやらOSを稼働させるために要求するハードウェアスペックのハードルをこれまでよりも下げた点にあるようです。

ChromeやYouTubeも含むシステム全体で必要なメモリ消費量を削減し、搭載RAMが512Mバイトの端末でも問題なく稼働できるようにしたという。これにより、これまで最新OSに手が届かなかった10億人に新OS搭載の廉価な端末を提供できるとしている。ITmedia
Androidに関しては、多彩なメーカーから数多くの種類の端末が販売されるため、端末ごとのハードウェア仕様がバラバラになってしまう「フラグメンテーション問題」が指摘されてきました。Googleとしては今回のメモリ消費量削減でその問題をいくらかでも緩和しようということなのかもしれません。

iOSとAndroid、「フラグメンテーション問題」がやっかいなのはどっち?(マイナビニュース 2013/7/5)

現状のAndroidはOSとハードウェアがほぼ一体として提供されており、売り切りスタイルの体裁の製品となっているといえる。開発者は最大公約数をターゲットにアプリをリリースし、ユーザーもまたこの多様性が存在することをある程度受け入れなければならない。マイナビニュース
ただし、Googleでは発売後18か月以上が経過してしまった端末についてはサポートしないことを公言していますから、「これまで最新OSに手が届かなかった10億人」のうち今回の最新OSに手が届くのがはたして何人なのかは謎です。

Galaxy Nexus と Android 4.4(KitKat)に関するよくある質問(Google)

Galaxy Nexus の発売が開始されたのが 2 年前のため、Google などが通常端末をアップデートする 18 か月のアップデート期間の適用外になるためです。
また、Android端末のOSアップデートの提供判断は、Google扱いのNexusブランド製品を除くと、全てが各キャリアとメーカーの事業戦略に委ねられているのが実態です。Googleがいくら最新OSの提供を開始しても、必ずしも全ユーザーがそのアップデートを享受できるというわけではありません。事実、日本国内で流通しているAndroid端末のほとんどは、いまだに一つ前の世代のOS、Android 4.3にすらアップデートされていません。結局のところ、現在キャリア扱いで国内流通している端末がAndroid 4.4を利用できるようになる可能性はあまり高くないのかもしれません。

Googleは、しばらく前から日本国内でもNexusブランド製品の販売を開始しました。今回も最新モデルのNexus 5をすでに自社Web通販で販売開始しています。SIMロックフリーなのでキャリアもユーザーが自由に選ぶことが出来ます。

Nexus 5(16 GB、ブラック) (Google Play)

Google扱いのため、このモデルであればOSのアップデートについてもキャリアの事業戦略に左右されることなく、Googleが提供するタイミングで入手可能です。そのかわり、この端末で何かトラブルが生じた場合、国内キャリアなら当たり前となっているような至れり尽くせりのサポートはありません。基本的にはGoogleとのWebを通じてのやりとりで問題を自己解決するしかないため、ITリテラシの低いユーザーには全くおすすめ出来ない商品ということになります。なんとも、いかにもGoogleらしい展開ですね。

で、まあ、たまにWebを見て、あとはメールやSNSを利用するだけであれば、スマホだからといって何も最新OSにこだわる必要はないじゃないかと考えるのが普通かとは思います。しかし本質的なところとして、OSが新しくなるほどセキュリティ面での改善が期待できるわけです。逆に言うと、古いOSはセキュリティの穴がたくさん残されており、そのまま使っていると危ないという話でもあります。これはWindows XPのサポートがまもなく終わるのですが、それをそのまま使い続けるのは危険だということと同じです。

Windows XP、サポート終了でマルウェア感染率が激増か過去には66%アップも(ITmedia 2013/10/31)

こうした不安を解消するためにも、国内キャリアやメーカーはできるだけGoogleと同じようなタイミングでOSアップデートを提供できるような体制を整えるべきなのではないかと思う次第です。もちろん、OSが新しくなっただけで全てのセキュリティ問題が解消するという話でもないのですが。