ドコモはiモードをいつまで続けることになるのでしょうか
ドコモがまた買収戦略を一歩進める傍ら、置き忘れてきたi-modeサービスのトラフィックが急落しつつも高齢者ユーザーがしがみつきで撤退しづらい状況に見舞われているようです。
山本一郎です。今日も育児で子供たちに料理される存在に成り下がっています。
ところで、ドコモが料理教室大手を買収して話題となっておりました。
ドコモ、料理教室「ABCクッキング」を買収--“学び”領域を強化(CNET Japan 2013/10/25)
ドコモはネットで大学レベルの授業を無償で受けられることを目指す「JMOOC」に参画するなど、ITやスマートデバイスを活用した“学び”の領域に注力しており、今回のABCの買収もその一環となる。CNET Japanまさにこれからのスマホの時代を見据えた投資ということでしょう。もっとも、こうした最近のドコモの動きについては疑問を呈する意見も見受けられます。
ドコモのABCクッキング買収「戦略不明」と疑問続々(キャリコネ 2013/10/25)
現在リストラが進行中と噂されるミクシィも、最近いくつかの会社を買収していた。事情通によれば、傾きかけた会社に接近するM&Aブローカーがおり、一か八かの賭けに出た経営者がつい手を出してしまうケースが少なくないという。NTTドコモも、なりふり構わぬ段階に突入したのだろうか。キャリコネ最初から儲かることが分かっている投資案件なんていうものはそうそう無いのですから、もしかしたら大きな博打で当たるということもあるでしょう。しばらくは生暖かい目で見守ってあげるのがよろしいのかと。
一方で、ドコモは過去の大きな資産としてiモードというシステムを抱えているわけですが、こちらは徐々に厳しい状況となりつつあるようです。
i-modeからの総ページビューは既にピーク時の26%ガラケー向けサイトは辛い…(かもめのはとば Re:[2])
i-mode契約のゆるやかな減少(といってもピークの60%)に対して平均webアクセスの特に2012年春からの急速な落ち込み、そしてそれを掛け合わせたページビューの急落が見て取れます。かもめのはとば Re:[2]現在のiモード契約者の多くはWebアクセス機能をそれほど利用しなくなってきているということで、まずはiモード向けコンテンツ提供事業者の商売が厳しくなってきていることは明白なんですが、ドコモにしてもそれほど利用されないシステムに対して、以前と同じような体制でインフラを維持するのはコスト的に割に合わなくなってきていると考えるのが道理でしょう。そうしたドコモの考え方がよく分かる事例として、こんな発表が最近ありました。
「iモード.net」の新規受付停止及びサービス終了について(NTTドコモ 2013/10/11)
スマートフォン市場の拡大に伴うiモード契約者の減少等の事業環境の変化を踏まえ、経営資源を集中すべくサービスを終了することにいたしました。NTTドコモこうしたサービスの縮小は世の流れとしては致し方無いことなのかもしれませんが、しかし、これからもiモードを使い続けるであろうユーザー層がいることは想定できるわけでして、実際問題としてこのiモード.netが終了することで不安を覚えている方もいるようです。
iモード.net終了へ(周回遅れの日記 2013/10/11)
まだ親戚からiモードメールが来るんだよう、うちは。周回遅れの日記こうした残されるユーザー層に対してどう対応していくかというのが実は今後のドコモが抱える大きな課題なのかもしれません。とくに、今後もiモードを使い続ける可能性が高いのは高齢者ユーザーということが想定されます。
i-modeユーザの高齢化が進んでるよねって件(かもめのはとば Re:[2])
ドコモは現在、高齢者ユーザーを想定したスマホを開発・販売し、iモードからの乗り換えを奨励しているようですが、全ての高齢者がそうした新しい機器を使いこなせるかは分かりませんし、また使ってみたいという意向がないユーザーに乗り換えを強制するのはむつかしいでしょう。
PCとネットがある程度普及してデジタルデバイドの問題をどうするかという話もありましたが、スマホの普及はこれまで以上にデジタルデバイドの問題を大きくするのかもしれません。スマホにつては使える使えないといった単純な差に加えて、リテラシーの問題もついて回ります。当初スマホが生まれた頃には思いもつかなかった課題が雪だるま式にどんどんと大きくなってきたなという感があります。さて、ドコモはいつまでiモードのサービスを継続しなければならないのでしょうね。
もっとも、そういうものをスパーンと切ってしまう思い切りの良いドコモというのもなかなか考えづらい気もします。なんでしょう、このもにょもにょする感じは。