ドコモとAppleの関係は新型iPadの国内展開を見れば推し量れるのかもしれないという話
いまなお品薄状態とも言われるiPhone5 5c/5sについての情報をまとめてみました。それにしても、日本はAppleごとガラパゴスになるという選択もあるんですかね。
山本一郎です。今回も出張先で高齢者に間違われましたが、私はまだ40歳です。
ところで、国内3キャリアが揃って新型iPhoneを売り出してから約1か月が過ぎましたが、いまだに購入を希望しつつも手に入らないというユーザーが数少なくないようです。
「iPhone5s」品薄続く発売1カ月…予約残抱え大手3社伸び悩み(サンケイビズ 2013/10/22)
携帯電話大手3社が9月20日に米アップルの新型スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5s」と「5c」を発売して1カ月が過ぎたが、供給不足により販売台数は3社とも伸び悩んでいる。中でも上位機種「5s」は品薄状態が続いており、各社とも数十万件規模の予約残を抱えているようだ。サンケイビズ3キャリアそれぞれが数十万件規模の予約残を抱えているということは、合計すると100万台近くのバックオーダーの可能性もあるのでしょうか。入荷の目処についても人気モデルの場合は1か月近く待たなければならないようです。
ソフトバンク、「iPhone 5s」の入荷めどを案内ゴールドは約4週間待ち(ITmedia 2013/10/22)
こうしたiPhone人気が今後国内スマホ関連市場へじわじわと影響を及ぼしそうな予感もありますが、この勢いがタブレット市場においてもiPad有利へと働きかけるのかどうかが気になるところです。
ドコモiPad新モデル発売へ法人向けに本格展開(MSN産経ニュース 2013/10/22)
ドコモは、インターネット上で情報をやりとりするクラウドコンピューティング環境でアイパッドを活用した法人向け事業を本格展開する方針。個人向けにはアイフォーンとの組み合わせ販売も検討している。MSN産経ニュース法人に強いドコモが本格的な形でiPadを企業向けソリューションとして販売しだせば、それに合わせて企業向け携帯電話もiPhoneへ置き換えという動きもあり得るでしょう。Appleとしてもこうした相乗効果を狙ってのドコモへのiOS機器供給開始であることは間違いありませんから、そうなれば両社はかなりガチで仕掛けてくるのではないでしょうか。
ドコモとAppleの提携については日経新聞が先日かなり煽り気味かつ長文の観測記事を掲載しておりました。
アップルの密約ドコモに与えた最恵国待遇(日本経済新聞 2013/10/21)
米アップルの新型iPhone(アイフォーン)発売から1カ月。アップルはかつてのような熱狂までは生み出せず、鳴り物入りで投入したNTTドコモはスタートダッシュでつまずいた。ところが、両社とも慌てふためく様子はない。実は、「次」をにらんだ秘密の約束があるからだ。日本経済新聞同記事によれば、加藤社長はドコモ幹部会議の席上で「毒リンゴを食らわば皿まで、だ」と言い放ったそうで、これはもうAppleと心中する覚悟ということなのでしょうか。ともかく、両社は「次世代通信規格を採用した端末の開発で協力する契約」を交わしており、今後の事業展開において相互に大きな役割を担い影響を与えていくことになるだろうというニュアンスで話は締められています。これらの話がどこまで本当なのかはともかく、これからのドコモにとってAppleの存在が決して小さくないであろうことは想像に難くありません。そして、Appleとの提携事業でドコモにとって今後大きな比重を占めそうなのが先にも触れたiPadの法人向け販売なのではないかと予測されるわけです。
現在の国内市場でタブレットの勢いはまだまだという感じですが、すでに世界市場ではPCとその立場を入れ替えつつある様相を呈してきました。
2013年のタブレット出荷台数は42.7%成長の見込み。従来型PCは11.2%の減少か(TechCrunch Japan 2013/10/22)
全世界における今年のタブレットの出荷は53.4%の伸びを示す見込みで、台数にして1億8400万台ということになる。一方でPCの方も台数ベースで言えば、タブレットよりも多く売り上げる見通しだ(今年は3億310万台)。しかしこれは2012年比で11.2%減の数字となっている。PCの出荷台数は年々減少する傾向にある。TechCrunch Japanとくに注目されるのは、PCの出荷が減少傾向であることは年初から予測されていたものの、4月時点での予測が「昨年比7.3%減」という数字であったのに対して、実際にはその数値を下方修正しなければならなかったという点でしょう。
世界市場におけるOSシェアという観点では安価なAndroidベースのタブレットが優位とされていますが、日本国内市場に限ればまだ今のところはAndroidもiOS機器もそれほど差はないというのが実情でしょう。もし、加藤社長の「毒リンゴを食らわば皿まで」発言が本当であれば、来年に向けての国内タブレット市場でドコモはiPadをかなり強力に推してくるのかもしれませんし、逆に言えばドコモとAppleの関係の実態は、今後のiPadの市場展開を見ていればなんとなく推し量れそうな気がしなくもないという話でもあります。
で、この記事を書き終わった時点で丁度Appleから新しいiPadが発表されたわけですが、今のところドコモでの取扱いは未定です。
アップル、「iPad Air」とRetina版「iPad mini」を発表(ケータイWatch 2013/10/23)
ドコモ広報では、新型iPadの取扱について「現時点では決まっていない」とコメント。「iPadはタブレットのラインアップとして魅力的。ドコモとして、取り扱いは検討しているが、現状では決まった事実はない。(アップルと交渉中か?という問いに)他社との交渉については差し控えます」としている。少なくとも現時点で、“ドコモ版iPad”は登場しないものと見られる。ケータイWatchドコモ広報による回答はいささか歯切れの悪いものになっていますが、こうしてみると、ドコモとAppleの関係は日経の観測記事が景気よくぶち上げたほどには親密な状態ではない可能性も十分ありそうです。まあ、どちらも海千山千の強者、まさに狐と狸の化かし合いといった感じでしょうし、その実態は外から野次馬見物しているだけでは分からない部分が多いです。
それにしても、新しい「iPad Air」を見ると、Appleはタブレット市場への攻勢を一気に強めた感があります。これに対してGoogleやAmazon、Microsoft、そしてmixiはどう出てくるのか。その辺りの話はまた改めて。