無縫地帯

BlackBerryもいよいよ身売りのようですが、スマホ時代は余波さまざまですね

BlackBerryが身売りへ向けて基本合意され、コンパクトデジタルカメラ市場もスマホに吸収されていく情勢ですが、事業環境が激変していても10年越しで研究開発しないとならないのは興味深いですね。

山本一郎です。私も首から下を身売りして若い身体を買収したいです。

ところで、このところ身売りの話でかなり話題になっていたBlackBerryですが、遂に買収案へ向けて基本合意したという報がありました。

加ブラックベリー:筆頭株主主導の買収に暫定合意、非上場へ(Bloomberg 2013/9/24)
ブラックベリーが身売りで基本合意、企業連合へ4600億円規模(ロイター 2013/9/24)
BlackBerry、買収案に基本合意(CNET Japan 2013/9/24)

カナダのスマートフォン(多機能携帯電話)メーカー、ブラックベリー は、筆頭株主のフェアファックス ・ファイナンシャル・ホールディングス率いる投資家グループによる47億ドル(約4600億円)の買収案に暫定合意した。米アップル の「iPhone(アイフォーン)」や米グーグル の基本ソフト(OS)「アンドロイド」に押され続け、株式の非公開化を目指すことになった。Bloomberg
大丈夫なんでしょうかね…。

まだ完全に買収が決定したという話ではありませんが、現状のBlackBerryの経営状態を考えれば、たとえ今回の話が途中でご破算になったとしても、またどこかへの身売り先を探すという状況に変わりはなさそうに思えます。

これで、iPhoneやAndroidが台頭する前に世界の携帯電話端末メーカーを代表していたMotorola、Nokia、そしてこのBlackBerryの三社がすべて身売りをすることになるわけですが、同じようなタイミングで日本国内においてもiモードの時代に栄華を極めたNECやパナソニックが個人向けスマホ市場から撤退という話があり、改めてスマホがもたらした携帯電話産業へのインパクトは大きかったことが分かります。

しかし、スマホがもたらす影響は何も携帯電話端末メーカーだけが被るものではなく、他にも様々な産業がその余波を受けています。特に影響が大きいのはカメラメーカーです。特にこれまで収益の大きな支えとなってきたコンパクトタイプのデジカメ市場はスマホによってかなり厳しい状況に直面しています。

デジカメ、危急存亡の秋スマホが市場侵食、生存競争に拍車(MSN産経ニュース 2013/9/24)

SMBC日興証券の高山裕介アナリストは「コンパクトタイプの需要は今後も減り続ける」と予測する。そうなれば交換レンズの販売で収益を稼げる一眼レフ中心のメーカーはまだしも、コンパクトタイプが主力でシェアも低い下位メーカーは厳しさを増す。高山氏は「事業の赤字が続けば、メーカーは撤退も視野に入れざるを得ない」と指摘している。MSN産経ニュース
上記記事では、スマホと連携するカメラという形でソニー製品が紹介されていますが、実はソニーの場合はさらにもう一歩踏み込んでエントリークラスのコンパクトデジカメ市場はスマホに吸収されるという観点からカメラ専業メーカーではできないスマホへのカメラ機能強化という策に打って出ているのが興味深いです。

IFA 2013から見るソニーとパナソニックが迎えた転機(AV Watch 2013/9/10)

平井社長はインタビューの中で「サイバーショットを買ってくれていた人がスマートフォンに行ってしまうのはしかたがない。しかし、スマートフォンに行くのであれば、しっかりとXperiaで受け止めたい。そのためにXperia Z1のカメラ性能・画質を徹底的に磨き上げた」と話した。AV Watch
この他にもスマホの普及によって、個人向けノートPC市場などは今後急速にそのパイが奪われていくことはおそらく避けがたいでしょうし、さらに当初は誰もが予想しなかったような分野にも徐々に影響は広まっていくものと思われます。

そうなると、昔はケータイでのウェブ接続は事実上の「プアマンズPC」、つまりは貧乏人向けネットだという理解もまた古び、もはやワイヤレス前提ですべてのサービスを設計しなければ立ち行かない現状があるのでしょうね。