無縫地帯

巷ではiPhoneの話題で騒がしいですが、今後の注目はiWork無料化かもしれません

iPhoneでここまで騒げる私たちはとってもナイーブで素晴らしいと思う反面、ビジネスユースで考えますとiWork無料化は結構なインパクトではないのかと思っております。たぶん使うし。

山本一郎です。さっき自販機でコーラを買って開けたらコーラが溢れかえって泣きそうになりました。

ところで、国内3キャリアがもれなくiPhone取扱いを開始するということで、iPhoneを巡る話題がメディア上に溢れかえっている印象です。

ドコモiPhone脱ガラパゴス化の契機に(産経新聞 2013/9/17)
変わるiPhone舞台裏14年モデル製造は4社体制か(日本経済新聞 2013/9/16)
米アップルの新型アイフォーン、将来への布石―新技術を搭載(Bloomberg 2013/9/16)
アップル再起動&電子部品サバイバル(東洋経済 2013/9/17)
「iPhone 5cは新興国向けではない、“型落ち”の5をプレミアムに仕立てた戦略製品」(ITpro 2013/9/17)
ドコモ、iPhone参入のインパクト(ITmedia 2013/9/17)
新型iPhone発表--事情通も読み違った「iPhone 5c」の位置づけなど(ZDNET Japan 2013/9/17)
iPhone 5S/iPhone 5Cリリース雑感(Future Insight 2013/9/16)

昨日~今日までの直近でネット上に公開された記事を簡単に拾ってみましたが、一般紙から経済専門誌、IT系ニュースメディアからテック系個人サイトまで、幅広い層がiPhoneに反応していることが分かります。発売日の9月20日前後にはさらに数多くのメディアが様々な切り口でiPhoneを取り上げることでしょう。

しかし、今のところ話題になっているのは、iPhoneというハードウェアにまつわる諸々と、各キャリアの料金プラン対応等についてだけです。これはまだ現物が市場に出回っておらず、ほとんど誰も実際に新しいiPhoneを日常生活の中で使っていないのですから仕方ないことなのかもしれませんが、単に新しいオモチャが出るので盛り上がっているという話でしかありません。

iPhoneもスマホの1つでしかないわけですが、スマホは単体では意味がなく、その中にあるOSやアプリが提供する機能と外部の様々なサービスが組み合わさることで、はじめて従来の単なるケータイではないスマホとしての意味が実現することを忘れてはいけません。

今回Appleは、同社のオフィスアプリ製品「iWork」のモバイル版を全て無料にすることを発表しました。

アップル、「iWork」「iMovie」「iPhoto」アプリを無料に--「iOS」搭載新製品で(CNET Japan 2013/9/11)

iWorkのモバイル版には、プレゼンアプリの「Keynote」、ワープロの「Pages」、表計算アプリの「Numbers」があり、いずれも個別に販売されていましたが、これらが全て無償になるのはかなり大きなインパクトがあると思われます。と言うのも、各アプリはクラウド対応になっており、PCからもWebブラウザを介して同じデータを利用できるからです。

Appleが企業向けクラウドサービスに本格参入する日(ITmedia 2013/9/17)

最近になってAppleがiCloudを基盤としたオフィススイート「iWork」を提供し始めたからだ。iWorkは米Microsoftや米Googleのオフィススイートに相当するもので、MicrosoftのWordやExcelのファイルもデスクトップからドラッグ&ドロップすることができるという。これをもって企業向けニーズにも応えていこうというAppleの思惑がうかがえる。ITmedia
オフィス製品といえば、Microsoftの「Microsoft Office」シリーズが今のところは独壇場ですが、モバイル向けに関してはそのPCでの圧倒的に有利だった立場を反映できずにいる感があります。

モバイル版「Office」がやっと登場(WIRED.jp 2013/6/17)

6年という時間をかけてようやく、iPhoneユーザーがマイクロソフトの「Office Mobile」を利用できるようになった。(中略)便利な選択肢がまたひとつ増えることになる。だが5年前とは違い、これはもはや「必須」ソフトウェアだとは言えないだろう。WIRED.jp
いまだ、スマホやタブレット環境におけるオフィス製品のデファクトは決定していない状況です。こうした中で、Appleがクラウド対応のiWork製品モバイル版を無料にしてきたというのは、明らかにMicrosoftが出遅れたモバイル市場で機先を制したいという強い意志があることは明白です。新しいiPadが年内中には登場するという噂話もちらほらあって、もしそうであればAppleとしてはそのタイミングでiWorkに関する大きなプロモーションを展開するという可能性もあるのではないでしょうか。なぜならiWorkのようなオフィス製品アプリは、スマホよりも画面の大きなタブレットでこそそのメリットを享受できますから。

新型iPadと新型iPad miniは10月末登場?中国の内部情報

世界的なタブレット市場のシェアを見ると以前に比べてiPadの勢いが無くなっているため、Appleとしてはややタイミングを逸した感もありますが、iWorkの無料化はそれなりに今後影響してきそうに感じます。

2013年Q2の世界タブレット市場、Android端末のシェア67%、iPadは28%(ITpro 2013/7/31)

とくにタブレット市場がまだほとんど開拓されていない日本国内では、JR東日本の例などもありますし、iPhone人気と相乗してAppleが有利となる意外な展開の可能性もあるのかもしれません。

JR東日本が「iPad mini」を全面導入した理由(ITmedia 2013/9/12)

iMixiの登場と壊滅を心待ちにしております。