無縫地帯

中国のサイバー攻撃予測とか中国「親日」知識人拘束の話など

毎年恒例行事の中国からのサイバー攻撃の予測に加えて、中国でこの数ヶ月頻発している親日知識人の拘束騒ぎなどが大変気になるところであります。

山本一郎です。サイバー攻撃であってサイババ攻撃ではありません。若い人には分かりにくいネタとなったことを、まずはお詫び申し上げます。

ところで、今週から来週にかけて大規模なサイバー攻撃の可能性があると各メディアが報じています。やや異例だったのは、NHKニュースが他に先がけて9月12日の朝にはこの話題を取り上げたことでしょうか。

政府 サイバー攻撃予告で警戒(NHKニュース 2013/9/12)

中国のハッカー集団の掲示板に、来週、日本国内のおよそ270の機関を標的としたサイバー攻撃を呼びかける書き込みがあり、政府は警戒を呼びかけるとともに、対策に万全を期すことにしています。NHKニュース
他メディアは概ね同日の夜、もしくは翌日になってからの報道でした。

今年も「9月18日」にサイバー攻撃発生か、DoSやWeb改ざんに警戒を(ITmedia 2013/9/12)
「9月18日」にサイバー攻撃が急増の可能性(RBB TODAY 2013/9/12)
中国発のサイバー攻撃「14日にも本格化」の予測(日本経済新聞 2013/9/13)

殊更に大きな問題ではないとも思われますが、NHK以外の報道は記事ソースが政府ではなくセキュリティ会社などからとしているものがほとんどで、こうした傾向が出ているのは単に政府よりもセキュリティ企業の方が詳細な情報をメディアへ提供したことの反映なのか、それともNHKだけに特別な情報が提供されたのか、別の意味でちょっと興味をひかれます。

さて、今回のサイバー攻撃予測ですが、すでに具体的な前兆が観測されているため、なにがしかの事態が発生する可能性は高いようです。すでに9月11日の時点で、警察庁からは中国を発信元とする攻撃可能なDNSサーバ探索行為が増加しているという発表がなされています。

中国を発信元とする再帰問い合わせ可能な DNS サーバの探索行為の増加について(警察庁PDF書類)
DNSリフレクション攻撃の準備行動が中国から? 9月18日への警戒を呼び掛け(@IT 2013/9/12)

この探索で発見されるような脆弱なDNSサーバは、「2013年3月に発生した史上最大規模といわれるDDoS攻撃にも悪用」(@IT)された経緯があるため、十分な警戒が必要とされています。

なお日経の記事中では、今年の攻撃は昨年ほどではないだろうという楽観的な見通しが紹介されています。

今年は日中関係を悪化させるような大きな問題や事案がないため、全体の攻撃数については沖縄県の尖閣諸島国有化などで反日感情が高まった2012年の3割程度まで減る見通しだ。日本経済新聞
本当にそうであれば良いのですが、まずは杞憂であることを願いつつも十分に万全な対策を講じておくことが肝要かと思われます。

日中関係でいいますと、最近はこんなトピックスもあり、日中情報戦の景色がちょっとずつ変わってきているのかなあとも感じるところではありますが。

中国、朱建栄氏を拘束東洋学園大教授スパイ活動の疑い(東京新聞 13/9/12)
行方不明の中国人学者、朱建栄氏当局が聴取か(産経新聞 13/8/16)
朱建栄教授、情報漏洩で逮捕へ中国国家安全省が上海で拘束、聴取(産経新聞 13/9/11)

関係者、機関も傍観するわけにもいかず、水面下であれこれ折衝している様子ですが、昨日になって大変微妙な記事が出てきました。

中国、知識人を続々と拘束「温和派」対日関係者・記者ら(産経新聞13/9/15)

穏やかではないのが、日本に対して親和的な人物「だけ」ではなく、台北で台湾基本法に対して理解を示した知識人・学者や、アメリカ市場で上場した中国企業の株主など投資家も拘束されているようで、おいちょっとこれはと思う次第です。

さて、どうなりますか。