無縫地帯

総務省がスマホ時代に向けてのリテラシー問題について声をあげたようです

総務省が「平成25年度青少年のインターネット・リテラシー指標等」と「スマートフォン安心安全強化戦略」を公表、内容が程よくまとまっていたので取り上げてみました。

山本一郎です。リテラシーとは無縁の生活を送っています。

ところで、総務省が「平成25年度青少年のインターネット・リテラシー指標等」を公表しました。

「平成25年度青少年のインターネット・リテラシー指標等」の公表(総務省)

これは、全国の高校1年生相当にあたる約3500名の若者を対象に実施した調査の結果を発表したものですが、各報道メディアもそれぞれ独自の切り口でこの話題を取り上げていました。

「スマホ」持っている高1は8割以上…総務省(読売新聞 2013/9/4)
総務省が青少年のネットリテラシー指標を公表(日本経済新聞 2013/9/4)
総務省、高校1年生のネットリテラシーを調査 - スマホのみ利用する方が低く(マイナビニュース 2013/9/4)
スマホ所有高校生の過半数が「1日2時間超」総務省が青少年ネット利用調査(ITmedia 2013/9/4)
総務省が青少年のネットリテラシー指標公表、「スマートフォン対応が急務」(ITpro 2013/9/3)

公表された事実はひとつなのに、各社の捉え方が違うのは相変わらず面白いですね。読売にいたっては、タイトルに「高1ちゃんの8割以上がスマホ持ってるでござる」とだけ書いてて、それを総務省が言ったから何なのかと心配になってしまうような柱で好感が持てます。

で、まず実態として、調査に参加した高校1年生のほぼ全員がネット接続環境を保有、しかも約8割以上がスマホを持ち、ネット接続でも主にスマホが利用している点が注目されます。

全体の99%がネット接続機器を保有しており、うちスマートフォンの保有者は84%と、昨年度の59%から大幅に増加した。ネット接続に最もよく利用する機器としては、スマートフォンが75%で1位となり、ノートPC(7%)や携帯電話/PHS(6%)を大幅に引き離した。ITmedia
また、PCからゲーム機まで各種機器の平均使用時間をたずねる質問に対して、6割弱がスマホを「2時間以上」使用していると答えている点が目立ちます。他の機器について2時間以上という回答はいずれも2割に満たず、多くは「30分未満」と答えていることから、スマホが突出して長時間利用される傾向にあると判断していいでしょう。もっとも、おそらくはスマホの利用に関してはコミュニケーションからゲームまで全てが含まれているという実態もあるのでしょうが。

ネットリテラシーに関するテストについては昨年度より平均点が上がり全体的にはリスク対応能力が上がっているそうですが、電子商取引やセキュリティ対策についての能力は相対的に低いスコアが出ています。

気になるのは、スマホしか使っていないユーザーのリテラシーが、PCを使うユーザー層よりも低い傾向を示したという点です。

最も利用するインターネット接続機器別に、ネット・リテラシーに関するテストの正答率をみると、PCをよく利用する青少年の正答率が最も高い73%だった。一方で、スマートフォンをよく利用する青少年の正答率は68%と相対的に低く、そのうちスマートフォンのみを所有する青少年の正答率は、さらに低い64%だった。マイナビニュース
まあ、何でもできてしまう半面、使いこなすのに相応の自学時間が必要なPCと比べるとそうなるのも仕方ないところではあるんですけどね。

今回の調査結果を踏まえ、総務省では「スマートフォンは手軽にインターネットを利用できる一方、特に高いリスク認識がないまま使っているケースがあると見られ、スマートフォンに関するリテラシー向上が急務」(ITpro)と考察していますが、この話はなにも青少年だけに当てはまる話ではなく、スマホが一気に普及しだした社会全体にも同じことが言えます。よく年寄りがうっかり発言をネットでやらかして炎上というのもありますし。とくにPC利用体験等がほとんどないままガラケーユーザーが突然スマホに乗り換えるという事例が増えつつある昨今の状況では、学校で情報教育を受けている現在の青少年以上に多くの成人ユーザーがネットリテラシーを欠いていると考えざるを得ません。当然、電子商取引やセキュリティ対策についての知識も浅く、それを狙った犯罪が増えることは必至です。まさに社会全体でスマホに関するリテラシー向上を目指さねばなりません。

ということで、総務省は「スマートフォン安心安全強化戦略」も公表しました。

「スマートフォン安心安全強化戦略」の公表(総務省)

ここに示されている事柄はあくまでも提言であって、具体的な対策はこれから一つ一つ組み立てていかねばならないわけですが、まずはこうした動きが政府から出てきたことを歓迎したいと思います。