無縫地帯

Nintendo 2DSから3Dが無くなった理由はやはりアレなんでしょうか?

3DSが2Dに。ダウングレードかと思いきや、あるいは何の冗談かと思ったら、本当にリリースするようです。その辺の事情について、いろいろと憶測してみるのが楽しいのかなあと。

山本一郎です。2Dにも3Dにも反応しない年齢に差し掛かってきました。

ところで、任天堂が北米および欧州市場向けに新型ポータブルゲーム機「2DS」を発表しました。

Nintendo 2DS(米国市場向け任天堂公式サイト)

外信系メディアやITニュースサイト、ゲーム情報サイト等がいち早くこのニュースを取り上げておりました。

任天堂が新型機「2DS」を欧米で発売、「WiiU」は値下げ(ロイター 2013/8/29)
任天堂、「ニンテンドー2DS」欧米で発表3D機能省くWii Uは値下げ(ITmedia 2013/8/29)
ニンテンドー3DS用ソフトが2Dモードで動作するニンテンドー2DSが北米で発表、10月12日発売、価格は129.99ドル(ファミ通.com)
Nintendo 2DS,北米と欧州で10月12日に発売。Wii Uも50ドル値下げ(4Gamer.net 2013/8/29)

スマートフォンやタブレット端末にゲーム専用機が押される中、クリスマス商戦を前にテコ入れを図る。ロイター
2DSの実態は従来製品「3DS」の機能を簡略化した廉価版であり、同時に据え置き型モデル「Wii U」の値下げも発表していますから、今回の任天堂の動きはハードを値下げすることによって、このところの苦境をなんとかして打開したいという意図が見えてきます。しかし、ハードを値下げしても肝心のソフトに良いものがなければゲームビジネスは成り立ちません。開発会社が任天堂のプラットフォームから離れつつあるという観測記事もありますし、その辺りの課題を今後どう解消していくのかが気になるところです。

“王者”任天堂、なぜ苦境に?深刻化するソフト不足、開発会社離れ…対応策に懸念の声も(ビジネスジャーナル 2013/8/4)

ただ、今回の2DSそのものについては、北米・欧州市場向けという割り切り方に徹しているあたり、少しは評価できる部分があるのかもしれません。

ジョークではない『Nintendo 2DS』が突然発表!その衝撃の外観とは(週アス PLUS 2013/8/29)

YouTubeの紹介ムービーを見ると分かりますが、乱暴に扱っても壊れにくそうな匡体設計は欧米の子供向け玩具市場では大いに歓迎されそうに思えます。ヒンジを使った折りたたみ機構に起因する破損については、これまでかなりの数の改善要望などがあったのではないかと想像されます。欧米の子供達は日本の子供達以上に力があったりしますからね。

また、3D表示にしても子供の目への負担や悪影響が懸念されていましたから、これはこれでありなのではないでしょうか。もっともこちらの件については、米国における特許訴訟のゴタゴタが影響しているのではという憶測もあるわけでして、当初の陪審評決で決まった額が半減されたとしても1510万ドルという額から考えれば、今後も裸眼3D技術の使用を継続するのは任天堂にとってリスクや負担が大きすぎるかもしれません。

任天堂の3D特許侵害訴訟、陪審認定の賠償額を米地裁が半減(Bloomberg 2013/8/15)

それにしても、この特許訴訟にまつわる件では弁理士の栗原氏による論考がとても面白いので皆さんにもご一読をおすすめします。こういうことって結構世の中で多いのでしょうねぇ、実は。

任天堂が裸眼3D特許侵害で訴えられた件について:企業に自分のアイデアを売り込む際の心得(栗原潔のIT弁理士日記 2013/3/11)

さて、今回の任天堂の施策に対する国内株式市場の反応ですが今のところはネガティブでして、やはり世の中なかなか甘くないなと改めて思い知る次第です。

ニンテンドー2DSとWii U値下げを発表した任天堂がついでに株価まで値下げ(市況かぶ全力2階建 2013/8/29)

まあ、この手の博打は蓋を開けてみないと結果は分からんのですけどね。
こういう勝負もできる任天堂は凄いねってことで。