無縫地帯

iPhoneの噂が巷に溢れていますが、ドコモは結局どうするのでしょうか

相変わらずAppleから出るの出ないのと言われるiPhone新製品の噂が乱舞しております。ツートップでやらかしたドコモは結局何をするつもりなのでしょうか。

山本一郎です。先日、私のiPhoneに誤って醤油を飲ませてしまいましたが今日も元気に稼動しています。

ところで、ここ最近、AppleのiPhoneに関するリーク情報がすごいことになっていますが、噂される発表会の日程にしても今のところはまだ公式な情報ではないんですね。てっきり、正式な日取りだとばかり思っていましたが、米IT情報サイト「AllThingsD」の観測記事がその出所で、これを元に世界中が盛り上がっているということです。

アップル、新 iPhone 発表会は9月10日開催? (AllThingsD報道)(Engadget Japanese 2013/8/11)

Wall Street Journal ネットワークのデジタル担当 AllThingsD はいつもの関係者情報として、アップルは米国時間で9月10日に新 iPhone イベントを開催予定であると伝えています。Engadget Japanese
この記事を書いているのが8月27日で、ちょうど2週間後にはその9月10日なんですが、まだ正式な日程が出ていないというのがさすがAppleという感じです。

それにしても、中日落合監督なみに情報統制の行き届いていたスティーブ・ジョブズが存命中の頃であればここまで出回ることはありえなかっただろうと感じるほどに、今回の新型iPhoneにまつわるリーク情報の数とその具体的な内容には驚かされます。面倒なのでどこかにまとまった情報がないかと思ったいたら、ちょうどそういう記事が出ておりました。

FAQ:アップルの「iPhone 5S」と「iPhone 5C」とは--これまでのうわさから予測 (CNET Japan 2013/8/26)

Appleは機密保持を強化すると述べてきたが、その割には、新しい「iPhone」を隠しておこうという同社の努力はすべて無駄になったようだ。ここ数週間にわたって、プラスチック製と金属製の両方の「iPhone」の画像が立て続けに明らかになっている。これらは、Appleの次世代端末かもしれないし、そうではないかもしれない(おそらくそうだろうが)。CNET Japan
Apple製品のリーク情報が出回ったのは何も今回が初めてではありませんが、さすがにここまで詳細な内容が大量にということは従来はありませんでした。2011年10月にiPhone 4Sが発表される直前にもiPhone 5の噂がネットを席巻し、まったくの偽物の情報が横行した挙げ句、実際に発表されたのは従来モデルのマイナーチェンジだったということもありました。

iPhone 5の実寸が判明? iPhone 4とサイズを比較してみた。(和洋風KAI)
iPhone5はiPodTouch並みに薄くなるらしい(ロケットニュース24)

こういう過去の実績があるので、今回もAppleの情報操作を疑う余地はあるのですが、ただ今回はどうも様子が違うのかなという印象があります。なんというか、わざと大幅に情報をリークすることで、ライバルメーカーの市場動向を止める意図が大きかったのではないかと感じます。まあ、具体的にはサムスンの動きを止めるということですね。もっとも実際にそういう意図があってのリークなのかどうかは中の人にしか分からないことですし、いくら情報戦で相手を牽制しても、その後に実際の製品が市場に出て売れなければあまり意味のないことではありますが。ただ、Appleはもう従来の典型的なスノッブなやり方は、ことスマホに関してはやらないのだろうなという感が強いです。

そこで気になるのが、やはり国内市場ではドコモをどうするかということですね。奇しくもiPhone 5の噂話が横行した2011年は、はたしてKDDIがiPhoneの取り扱いを始めるかどうかで噂になったタイミングでもあり、その結果は皆さんもよくご存じの通りです。

そしてここに来て、いつもの日経がなりを潜めた一方、産経が強力にプッシュしてきており面白い状況です。

iPhone販売「態勢は整った。いつ出すかが問題」NTTドコモ副社長(サンケイビズ 2013/8/26)

「状況は変わっていない。(10日にアイフォーン発売を発表するのは)難しい。ただ、アップルにとって国内最大の携帯電話事業者に扱わせないのは経済合理性がないし、ドコモにとっても顧客が求める端末を売らないわけにはいかない。条件の問題だ」サンケイビズ
ドコモ副社長がこのタイミングでこういう発言をするというのは、たんなる与太話ではないものを匂わせるのですが、はたして実際のところどうなんでしょうか(意味深)。興味深いのは「条件の問題」という言葉です。すでにNTTグループのNTTレゾナントはSIMロックフリー版のiPhone 5にドコモ系モバイルデータ通信用SIMカードをセットで売るという、かなりアクロバティックなことをしており、これもの「条件」をクリアした一つの回答ととらえられなくもありません。

「NTTからiPhone」 グループ会社、SIMフリー版発売(J-CASTニュース 2013/8/16)

今となっては古き良き昔話でしかありませんが、ドコモは当初BlackBerryを法人向けのみに提供し、個人ユーザーには販売していないことがありました。

BlackBerryで何ができるのか個人向けサービス開始でドコモに聞く(ケータイWatch 2008/8/1)

たとえばそれと同じように、iPhoneを法人向け専用サービスとして手がけるという施策はドコモがとりえる可能性の一つとしてあるのかもしれません。Appleにとっても法人iPhoneユーザーの面倒はドコモに一括して丸投げできるのであれば美味しいという考え方はありそうです。また、先にも書いたように打倒サムスンのためにAppleは何でもするタイミングなのかなという予感もあります。

もっとも、法人ユーザーのみという発表をした瞬間、なぜ個人ユーザーはダメなのかというクレームの嵐がドコモを直撃するのは間違いないでしょうし、それはそれで大変なことになりそうですが。