キャロラインさん、日本へようこそ
ホワイトハウスはキャロライン・ケネディ氏を次期駐日大使に指名すると発表しましたが、アメリカでは彼女が適任かを巡って賛否両論のようです。日本としては、ぜひとも暖かく迎え入れたいところです。
私の大好きなゲームに"Sid Meier's Alpha Centauri"という名作があります。
地球を滅ぼしてしまった人類が長い旅の果てに辿り着いた惑星がアルファ・ケンタウリのチロンで、この惑星には意志がある。その惑星と人間の間に熾烈な闘争があったのちに、人類の代表の一人であるディアドラの一派を惑星は仲間として迎え入れ、やがて人類は惑星と一体化して進化し、超人類になるわけですね。
アメリカと日本の関係は、地球とチロンほど異質ではないけれども、この困難な時代に新しい関係をより強固に築くこと、その強固な関係が、不確定要素の強いアジア・太平洋地域の安全に資することは間違いありません。
しかし、実際には日米関係はぎくしゃくし、日本の真意をアメリカ側がなかなか理解できず、また逆にアメリカの要望を日本がきちんと受け止め切れていないという現実があります。日本にとっても、恐らくアメリカにとっても、極めて重要な二国間関係であるにも関わらず、です。
今回、駐日大使に指名された、キャロライン・ケネディ女史を日本人は歓迎します。
期待することは、従来どおりの政治手腕や外交能力ではなく、アメリカと日本の間で新たな対話を率直に行える関係作りであり、この貴重な同盟関係の目標を日米双方合意の下で再定義し、今後ますます不安定になるであろうアジア・太平洋地域の安全保障に重要な影響を与えることです。
何が両国にとっての利益であり、民主主義にとっての前進であるかの議論が、いままで以上に日米両国間で行われることで、むしろ「東京の漂流(Tokyo Drift)」を起こさせないことが日本にとっての使命であるようにも思えるのです。
この人事は侮辱でもなければ人事ミスでもありません。現任のルース大使も素晴らしい人物でした。同盟国の日本であるからこそ、この段階での批判を恥じることはないと思います。非常に日米関係や周辺の安全保障がむつかしい時期だからこそ、まっさらなケネディ女史の眼で、日本政府を見て、日本社会を感じて、そして日本人と議論してみて欲しいのです。
ラッシュ時以外は快適な日本の地下鉄も、ぜひケネディ女史にご堪能いただきたいと願っております。