無縫地帯

Googleがテレビ画面占拠の野望へ向けて新たな一歩を踏み出したようです

Googleの新製品「Chromecast」が発表になり、Googleが考えている世界が少しずつ見えてきました。

山本一郎です。私もいい加減バグってきてるので、そろそろ遺伝子レベルでのバージョンアップをしたい年頃になってきました。

ところで、Googleが新製品発表イベントで新しいAndroid端末やOSアップデートと一緒に、家庭用テレビに対応したデバイス「Chromecast」を発表しました。

Google、テレビのHDMI端子に挿すChromecast を発表。価格は35ドル(Engadget Japanese 2013/7/25)
Google、Chromecastを35ドルで今日から発売―居間のテレビに取り付けるとビデオコンテンツをストリーミング受信できる(TechCrunch Japan 2013/7/25)
Google、動画などをテレビで再生するためのスティック型端末「Chromecast」を発表、価格は35ドル(ゼロから始めるスマートフォン 2013/7/25)
Google、テレビ接続のHDMIスティック「Chromecast」(AV Watch 2013/7/25)
グーグル、「Chromecast」を発表--テレビに接続しストリーミングを可能に(CNET Japan 2013/7/25)

各記事を読んでわかる範囲で簡単にまとめると、テレビのHDMI端子につないでネット上にある動画コンテンツを見ることができる小型デバイスということになるようです。ただし、Googleが新たに出したということでIT系ニュースサイトではどこも大きな扱いとなっていますが、実は同じような機能を提供する製品はすでに国内の各キャリアからも販売されています。

・ドコモの「SmartTV dstick 01
・KDDIの「Smart TV Stick
・ソフトバンクの「SoftBank SmartTV

これらの製品がバカ売れしているというような話は今のところ耳にしないので、少なくとも日本国内ではまだそれほど大きな需要が発生していないように感じます。

さて、GoogleのChromecastと国内キャリア製品を比べてみて、まず目立つ差異は価格戦略にありそうです。Chromecastは35ドルという今の日本円に換算して約3500円の低価格。それに対してドコモのSmartTV dstick 01は6930円、KDDIのSmart TV Stickが9800円。また、ソフトバンクのSoftBank SmartTVはレンタル形式で月額490円ですが、2年以内にサービスを解約すると解除料金が4750円かかります。Chromecastの日本国内販売は未定ですが、もし販売されることになれば各キャリアは価格戦略についての変更を余儀なくされるのではないでしょうか。

また、対応環境として、GoogleはAndroid端末だけでなくiOS機器やWindows PC、MacOS機器など、特定プラットフォームのみに依存しない条件を挙げてきた点が国内キャリア提供製品と大きく異なっています。国内キャリアが提供する製品の場合は一部の例外を除き、操作はキャリアが販売するスマートフォンからしか行えない仕様でかなり不自由です。

いずれにしても、これらの製品に秘められているのは、従来のテレビ番組が映っていた画面を自社が提供するコンテンツサービスで埋めてしまいたいという野望であって、それはGoogleも国内キャリアも変わらないと思います。まあ、気持ちは分かる。はたして彼らの思惑通りにこうしたデバイスの需要が今後高まっていくのかは今しばらく様子を見たいところですが、Chromecastを紹介するYouTube動画を見ていると、Googleは以前の「Google TV」の失敗からテレビ画面はパーソナルなものではなくソーシャルなものだという解釈を得たのかなと感じます。

Chromecast: For Bigger Fun(YouTube)

結局、メディアを通じて人々の目玉をどう自分のコントロール下に置くかってことの争いなんだとは思いますが。