日経がスマホネタで平常運転してみたら株式市場も好感触で良かったですね
最近の日経の平常運転は飛ばし記事含量が多めになっていて、うっかり信じて売買する投資家がいたら大変なことになるんじゃないかと思っています。
山本一郎です。平常運転が一番危険な男です。
ところで、日経がまたいつものようにスクープをやらかしたのででしょうか(棒)。
NEC、スマホ撤退へレノボとの携帯統合見送り(日本経済新聞 2013/7/17)
NECが中国レノボ・グループと交渉していた携帯電話事業の統合を見送る見通しとなった。赤字の同事業をレノボ主導で立て直す考えだったが、出資比率などで条件が折り合わなかった。NECは独力での事業構造の維持は困難と判断、スマートフォン(スマホ)事業から撤退する。他社の手薄な従来型の携帯電話に特化し、携帯事業の大幅縮小で収益の改善を急ぐ。日本経済新聞記事の冒頭では「~する見通しとなった」という得意技の伝聞調文体で軽く助走を始めながらも、続くフレーズでは一気呵成に言い切る文体の連打。さすがプロは違います。魅せてくれます、惚れ惚れします。
当事者たるNECもこれは放っておけずということで早速お約束の形でコメントを発表しておりますが、まさに良いプロレスの試合というのはこういうものだなと感慨に耽るばかりです。
当社に関する一部報道について(NEC PDF書類 2013/7/17)
NECが「スマホから撤退」報道「決定した事実ない」(ITmedia 2013/7/17)
NECがスマートフォンの新規開発を凍結するという一部報道に対し、同社は7月17日、「当社として発表したものでない。市場が急激に変化する中で様々な検討を行っているが、報道された内容について決定した事実はない」というコメントを発表した。ITmediaまぁ、今回の日経の記事で注目すべきはレノボとの交渉がどうやら頓挫したらしいという一点のみで、そのほかは特に目新しい話でもありません。NECがスマホ事業について撤退戦を開始しているのではという観測記事は以前から随分ありましたし、当のレノボとの交渉開始が報じられた際にもNECはわざわざ否定するコメントを出しています。
NEC携帯電話事業撤退沈みゆくガラケー(朝日新聞 2013/3/29)
NEC、携帯事業からの撤退報道に対しコメント(ASCII.jp 2013/3/29)
なんといいますか、火のない所に煙は立たないということわざを思い出すばかりです。もっとも、NECは大企業の割にしっかりとした情報統制の取れている会社ですので、いろんな仕掛けを隠し持っているのかなとも邪推したわけなんですが、結局何もありませんでしたね。
それにしても、日経の報道を受けてNEC株が続伸という現象も面白いですね。NECの中の人達はこうした市場の反応をどういった思いで見ているのでしょうか。
NEC株が続伸、スマホ撤退との報道を材料視(ロイター 2013/7/17)
日経平均107円安スタート、スマホ撤退報道のNECが高い(サーチナ 2013/7/17)
NEC株上昇、一時5%高スマホ撤退報道受け(日本経済新聞 2013/7/17)
17日の東京株式市場でNECが一時前日比12円(5%)高の243円まで上昇し、5月31日以来約1カ月半ぶりの高値を付けた。日本経済新聞が17日付朝刊で「スマートフォン事業から撤退する」と報じたのを受けて、不採算事業の縮小への期待感が高まった。日本経済新聞結局は日経が平常運転で飛ばしてみたら株式市場がちょっと活性化されたという、なかなか心温まる話だったようです。まあそれで損した投資家からしたらたまったものではないとは思いますけどね…もう少し、日経にはこの辺の慎重さを取り戻して欲しいと切に願うところであります。