無縫地帯

ドコモとiPhoneの話はもう飽きたのでTizenでドコモ復活みたいな方向で与太をお願いします

日経がドコモのツートップ戦略批判を繰り広げるにあたって、またiPhoneの話題をくっつけているので飽きました。そろそろいい加減Tizenはクソだという方向で新境地を拓いてもらえませんかね。

山本一郎です。暑いので熱中症にならないようにしようと水分をいっぱい摂っていたら水ぶくれみたいに浮腫んでしまいました。民主党が悪い。

ところで、また日経が懲りずに「iPhone」や「誤算」といったキーワードを使う扇情的な見出しのドコモネタでPV稼ぎに精進しております。商業メディアはかくあるべしという見本のような展開で感動を覚えずにはいられません。

ドコモ、ツートップ戦略の誤算iPhone当面見送りか(日本経済新聞 2013/7/11)

残念ながら、この記事の中でiPhoneについての話はそれほどカギとはなっておりません。それよりも注目は、結局「ツートップ戦略」を実施してもMNPによる流出は防げなかったということを加藤社長自身が認めていることです。対策としては「ツートップ戦略開始後、MNPでのドコモへの乗り換えを促す施策をやめていたこともひとつの原因と考えられる。今月末ぐらいからは再び強化したい」と答えており、同日の他の日経記事でもそのことが報じられております。もっともソースは日経なので、ドコモからの正式な発表を待つまでは確定とは言えませんが。

iPhone当面見送りという文字を挿入する余地は本来ない記事なのですが、というか淡々とドコモのツートップ戦略を馬鹿にしていればそれで済む話なのに、なぜiPhoneが混ざっているのか不思議で成りません。

ドコモ、乗り換え客に2万円還元再開販売立て直し急ぐ(日本経済新聞 2013/7/11)
ドコモ、他社からの乗り換えで2万円をキャッシュバックするキャンペーンを明日より再開 ― 日本経済新聞(ゼロから始めるスマートフォン 2013/7/11)

ツートップによる値引きとMNPによるキャッシュバックを合わせて利用できるのかどうかは今のところ分かりませんが、もしこの2つを併用できるとすれば新品のスマホが実質タダ同然でさらにお得ということになりそうです。そうなると他キャリアもさらに激しいダンピング合戦を始める可能性もあり、また各社疲弊するという泥沼の戦いになりそうです。もっとも、iPhone最新モデルの発表があると戦局は大いに代わりそうでもありますが。

さて、インタビュー記事によると相変わらず加藤社長は「dマーケット」をはじめとしたサービス事業にご執心です。これらのサービスの売上が実際にはドコモショップの店頭における営業力のみに依存していることは疑う余地がないと思います。つまりドコモの端末を購入しようとすると、これらのサービスに実質強制加入させることで見かけ上の会員を増やしているわけです。さらに、ドコモのスマホには「キャリアアプリ」が多数プリインストールされており、これらが端末のリソースを必要以上に消費している傾向もあって一部のユーザーからは鬱陶しがられているのも事実です。

キャリアアプリについてはなにもドコモに限ったことではなく、世界中のキャリアが同じような施策を展開していますが、これに対する批判的な声は少なくありません。その結果としてGoogleのブランドで販売される「Nexus」シリーズに人気が集まっている理由も、そうした不要なキャリアアプリがインストールされていないという点が挙げられます。まだ噂レベルですが、今度モトローラから販売される新モデルもキャリアアプリを排除するマーケティングが取られると報じられています。

Motorola Moto Xは今秋発売。5億ドルの広告費、キャリアアプリ排除、世界展開―WSJ(リンゲルブルーメン 2013/7/11)

またMoto Xではキャリアアプリのインストールは最小限に抑えられており、ユーザーの長年の不満が解消されたようだとWSJは報じています。リンゲルブルーメン
こうしたキャリアアプリを嫌う傾向が今後さらに世界的に広まるとすれば、ドコモの目指す事業計画とは真っ向から反することになり好ましい状況とは言えません。そういえば、ドコモがiPhoneを否定する主の理由の一つにも、ドコモのプロプライエタリなサービスがiPhoneでは展開できないことが挙げられていましたから、キャリアアプリが否定されるスマホの世界はまずあり得ないでしょう。モトローラ製のスマホが今後ドコモからそのまま販売される可能性はかなり低いのではないでしょうか。

一方で、Tizenに関する計画に変更はなく粛々と事業が進んでいるようです。

先週、一部で「タイゼンは死んだも同然だ」と報道された。サムスン電子などが手を引き始めているというのだ。

この報道に対し、加藤社長は「一向にそんなことは聞いたことはない」と一蹴。計画通り、NTTドコモからも発売されるとした。日本経済新聞
与太話にしても、そろそろ「ドコモでiPhoneが云々」という話は世間も飽き飽きしていますから、「ドコモはTizenと運命を共にします」といった感じでより盛り上がる方向をお願いしたいと思います。Tizenならばドコモ色に染まった理想のスマホもきっと可能なのではないでしょうか。iモードの夢よもう一度ということで中の人達の期待も最大限に高まっているのではないかと想像すると胸熱です。

ところで、私どもの関係会社へTizen開発の見積もり依頼が多数舞い込んできているんですけれども、あの「何をするかは分からないけどお金を払います」という仕組みは単純にバブルを誘発して何の効果も及ぼさないと思うのでやめたほうが吉ではないかと思います。

どうもドコモの意志決定者は、ビジネスの根幹に対する理解が不足しているというよりは方針に自信がないので予算を突っ込んで力づくで解決していこうというアプローチを取りたがっているようにも感じられます。大丈夫なんでしょうか。大丈夫じゃないからこういう雰囲気になっているのかもしれませんが。